更新日:
2024年06月21日
目次
- 国際テロ情勢
- 我が国を標的とする国際テロの脅威
- 警察の国際テロ対策
- ・情報収集・分析
- ・水際対策
- ・警戒警備
- ・違法行為取締りと事態対処
- ・官民連携
- 県民の皆様へのお願い
- 各種事業者様へのお願い
- 資料・リンク
国際テロ情勢
車両を用いたテロを呼び掛ける
インフォグラフィック
(ISIL機関紙「RUMIYAH」)
ISIL(いわゆるイスラム国)は、従前から、「対ISIL有志連合」に参加する欧米諸国等に対してテロを実行し、その実行の際に爆発物や銃器が入手できない場合には刃物、車両等を用いるよう呼び掛けており、令和2年(2020年)以降、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大している状況においても、テロの実行の呼び掛けを継続しました。こうした中、ISIL等の過激思想に影響を受けたとみられる者によるテロ事件が発生しています。
アル・カイーダ(以下AQ)及びその関連組織については、反米・反イスラエル的思想を繰り返し主張しており、オンライン機関紙等を通じて欧米諸国におけるテロの実行を呼び掛けています。また、アフリカにおいては、現地のAQ関連組織が、政府機関等を狙ったテロを行っています。令和4年(2022年)7月31日、米国の作戦により、指導者アイマン・アル・ザワヒリが殺害されたものの、AQ及びその関連組織は、依然としてテロを実行する能力を有しているとみられ、その脅威は継続しています。
アフガニスタンでは、令和3年(2021年)8月末に駐留米軍が撤退を完了した後、タリバーンが全土を制圧しました。タリバーンはAQとの密接な関係が指摘されているほか、アフガニスタンでは同月にカブール国際空港付近でISIL-K(イラクとレバント地方のイスラム国ホラサン)による大規模な自爆テロ事件が発生するなど不安定な治安情勢が続いており、同国を拠点としてイスラム過激派組織の活動が活発化することが懸念されています。
我が国を標的とする国際テロの脅威
平成25年1月の在アルジェリア邦人に対するテロ事件、平成28年7月のバングラデシュ・ダッカにおける襲撃テロ事件、平成31年4月のスリランカにおける連続爆破テロ事件等、邦人や我が国の権益がテロの標的となる事案が現実に発生しており、今後も、邦人がテロや誘拐の被害に遭うことが懸念されます。
オンライン機関誌
ISIL機関紙
「DABIQ」
AQ機関紙
「ONE UMMAH」
また、ISILは、オンライン機関誌等において、我が国や邦人をテロの標的として繰り返し名指ししています。
AQについても、オサマ・ビンラディン殺害時の押収資料によれば「韓国のような非イスラム国の米国権益に対する攻撃に力を注ぐべき」と同人が指摘していたことなどが明らかになっています。
米国で拘束中のAQ幹部は、我が国に所在する米国大使館を破壊する計画等に関与したと供述しています。こうした資料や供述は、米軍基地等の米国権益が多数存在する我が国に対するイスラム過激派組織によるテロの脅威の一端を明らかにしたものといえます。
これらの事情に鑑みれば、我が国を標的とする国際テロの脅威は継続しているといえます。
警察の国際テロ対策
平成27年6月、我が国におけるテロの未然防止及びテロへの対処体制の強化のため、警察が重点的に取り組むべき事項を「警察庁国際テロ対策強化要綱」として取りまとめ、下記のとおり各種テロ対策を推進しています。
情報収集・分析
テロ対策の要諦は未然防止であり、インターネット上のテロ関連情報のほか、過激化・テロ発生等の兆候を確実に把握し、実行を未然に防ぐための情報収集・分析を推進します。
水際対策
海上保安庁、税関、出入国在留管理庁等と連携し、外国人が出入国する横浜・川崎・横須賀の国際海港、三崎港等における警戒監視等、テロリストを上陸させない、危険物を持ち込ませないための対策を推進します。
令和6年度川崎港水際危機管理対応合同訓練 令和6年5月15日開催
令和5年度横須賀港テロ対策合同訓練 令和6年2月7日開催
令和5年度横浜港水際危機管理対応合同訓練 令和5年11月22日開催
警戒警備
【G7広島サミット等
開催に伴う警戒警備】
在日米軍基地をはじめとする重要施設に対する従来の警戒警備に加え、大規模集客施設や公共交通機関等の施設管理者・事業者等と連携した諸対策を推進します。
違法行為取締りと事態対処
【事態対処訓練】
国内でテロの兆候を把握した場合は、各種法令により違法行為の取締りを推進するとともに、テロが発生した場合には、事態に的確に対処し、被害を最小化するための対策を推進します。
官民連携
テロリストが利用するおそれのある各種事業者(爆発物の原料となり得る化学物質の取扱事業者、レンタカー事業者、旅館・ホテル、住宅宿泊事業者(民泊)、インターネットカフェ事業者)等に対し、利用時における本人確認の徹底、不審利用者に関する警察への通報を依頼し、情報共有・協力体制の強化を推進します。
テロ・災害対策神奈川協力会
大規模警備、テロ、大規模災害、突発事案に関し、関係機関・団体と地域住民が相互理解を深め、連携・協力して地域の安全を確保するための危機管理対策を推進するとともに、突発事案等の発生に際して相互に協力・支援することを目的に約340団体で構成されています。
県民の皆様へのお願い
テロの未然防止のためには、警察のみならず、関係省庁、地方自治体はもとより、地域住民の皆様等と緊密に連携して行う官民が一体となった対策を広く推進することが不可欠です。
不審者・不審物等、変だな?おかしいな?と感じたら、最寄りの交番・警察署にご連絡ください。
各種事業者様へのお願い
爆発物の原料となり得る化学物質の取扱事業者・学校等
国外における爆発物使用テロ事件や国内における爆発物製造事件等が発生しているところ、爆発物の原料となり得る化学物質については、薬局、ホームセンター、インターネット通信販売等で容易に入手が可能であるほか、それを管理している学校からの窃盗事件も発生しています。
販売事業者様には、
- 販売時における本人確認及び使用目的の確認
- 関係法令に基づく譲渡手続等の遵守
- 譲受書等、販売の記録に関する書類等の適切な作成と保管
- 販売に係る不審情報の迅速な通報
- 盗難防止のための保管管理及び盗難・紛失認知時における迅速な通報
をよろしくお願いします。
学校等関係者様には、
- 定期的な数量の確認と簿冊等による確実な管理
- 施設設備のある保管場所への保管と確実な施錠
- 学生等のみでの保管場所への立入り及び取扱いの禁止
- 盗難・紛失事案発生時における迅速な通報
- 化学物質の誤った取扱いによる危険性等に係る学生等への指導・教養
をよろしくお願いします。
レンタカー事業者
国際テロ組織は、インターネット上で車両を使用してテロを実行するよう呼び掛けており、欧米諸国においては、トラック等のレンタカーを使用した車両突入テロ事件が発生しています。
我が国における同種事案の発生を防ぐために、レンタカー事業者様には、
- レンタカーを借り受けようとする者の氏名、住所及び運転免許証の確認(外国人にあっては国内における運転資格の有無)
- レンタカーの使用目的及び行先の聴取の徹底
- レンタカー返却後の車内の不審物チェックの徹底
- 不審者・不審物発見時及び車両盗難時の迅速な通報
をよろしくお願いします。
旅館・ホテル事業者・住宅宿泊事業者・住宅宿泊管理事業者(いわゆる民泊サービス)
国外では、テロリストがホテル等の宿泊施設、滞在施設に潜伏してテロの準備を行っていたり、実行に必要な凶器等の物品を保管していた事例もあります。
旅館・ホテル事業者・住宅宿泊事業者・住宅宿泊管理事業者様には、
- 宿泊者名簿の正確な記載
- 日本国内に住所を有しない外国人宿泊者については
- ・宿泊者名簿への国籍及び旅券番号の記載
- ・旅券の呈示依頼
- ・旅券の写しの保存
- ・旅券の呈示を拒否する場合は、当該措置が国の指導によるものであることを説明して呈示を求め、更に拒否する場合は警察に通報
等の適切な対応をよろしくお願いします。
インターネットカフェ事業者
テロリストは、インターネットを連絡手段としてだけでなく、過激思想の伝播やテロリストの勧誘等、様々な活動に利用しています。
また、インターネットカフェは、生活の拠点として利用可能な設備を備えた施設もあることから、テロリストが潜伏先等として利用する可能性もあります。
インターネットカフェ事業者様には、
- 利用者の本人確認及び利用状況記録の保存
- 防犯カメラの設置及び撮影記録の保存
- 不審利用者を認知した際の迅速な通報
をよろしくお願いします。
資料・リンク
爆発物原料対策資料
警察庁刊行物
情報発信元
神奈川県警察本部 警備部外事第二課
電話:045-211-1212(代表)