更新日:
2024年03月19日
万引きを防止するための環境づくりに向けて
−ハード面・ソフト面対策の促進−
目次
ガイドライン策定の目的
県警察では、真に犯罪の起きにくい社会の実現に向けた各種対策に取り組んでいるところでありますが、特に万引きの発生については、刑法犯認知件数が減少している中でも高止まりの状況で推移しているほか、その検挙被疑者も少年から高齢者まで各層に広がり、社会の規範意識の低下が窺えます。
また、万引きという犯罪は、被害事業者の経営に支障を生じかねない深刻な打撃を与えるだけでなく、青少年の健全育成の阻害や、高齢者による万引きの増加傾向等、大きな社会問題にもなっています。
さらに、近年では、万引きの検挙人員に外国人の占める割合が増加するなど、外国人グループによる組織的な集団万引きによる被害も広がっています。
その特徴としては、「リーダー、実行犯、見張り役」等の役割が決められた組織的な犯行であり、高額商品を狙った大量万引きの傾向が見られるもので、その手口は大胆かつ巧妙であり、広域性もあるため、今後もその動向に注意していかなければなりません。
万引きをめぐる深刻な状況の背景要因としては、「たかが万引き」という万引きを軽視する風潮があり、こうした風潮を放置すれば、社会の規範意識の一層の低下を招き、万引きのみならず他の犯罪の発生も誘発しかねないところであります。
そこで、県警察では、万引きを発生させないための環境づくりを促進するため、防犯カメラの設置・増設等の施設における防犯対策、店員の声かけ活動を強化するなどの行動による防犯対策といった施設・行動両面にわたる推奨対策を集めた「万引き防止のガイドライン」を策定しました。
当ガイドラインは、百貨店・スーパー等の場合とコンビニエンスストア・ドラッグストア等の場合との別に分けて作製しましたが、各店舗形態によって実施可能な防犯対策が異なるかと思われますので、自分たちの店舗に合った諸対策を取るよう、各事業者様の判断で活用してください。
事業者の皆様におかれましては、このガイドラインを策定した趣旨についてご理解いただきますとともに、施設・環境両面に配慮した「スキのない店」を目指し、万引きをさせない環境づくり等諸対策にご協力いただきますようお願いいたします。
犯罪認知状況の推移
平成 26年 |
平成 27年 |
平成 28年 |
平成 29年 |
平成 30年 |
令和 元年 |
令和 2年 |
令和 3年 |
令和 4年 |
令和 5年 |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
刑法犯認知件数(件) | 67,295 | 61,664 | 58,127 | 53,628 | 46,780 | 41,780 | 35,241 | 33,252 | 36,575 | 43,846 |
万引き認知件数(件) | 7,583 | 7,424 | 6,930 | 5,999 | 5,120 | 4,320 | 4,733 | 4,790 | 4,948 | 5,798 |
万引きの占める割合 | 11.3% | 12.0% | 11.9% | 11.2% | 10.9% | 10.3% | 13.4% | 14.4% | 13.5% | 13.2% |
防犯上のガイドライン
1 百貨店・スーパーの場合
(1)施設における防犯対策
防犯カメラ
設置箇所
売場、店舗出入口、エントランスホールのほか、駐車場など店舗周辺にも防犯カメラを設置し、来店客に防犯カメラが作動していることが一目でわかるように「防犯カメラ作動中」等のプレート等を掲示する。
設置要領
防犯カメラは、撮影対象者の顔等がはっきり認識できる角度に設置する。
映像の保存
映像の記録機能は、画像解像度が高く、メンテナンスが容易なデジタル方式を導入し、録画映像は一定期間(おおむね1か月)保存する。
防犯カメラの保守点検
定期的な保守点検(防犯カメラのアングルの調整、防犯カメラの時刻補正、記録媒体の交換、レンズの清掃等)に努め、死角の解消、防犯カメラの増設等に配慮する。
モニタリングシステムの活用
防犯カメラの映像は、警備員室において録画しながら監視できるシステムを整備するほか、レジコーナー等にテレビモニターを設置し、監視性の高さをアピールする。
※ 防犯カメラの設置・管理に関しては、神奈川県「防犯カメラの設置・管理に関するガイドライン」を参照(神奈川県犯罪のない安全・安心まちづくり推進条例ホームページに掲載)
防犯ミラー
死角となる場所や十分な視認性が確保できない場所には、防犯ミラーを設置する。
万引き防止用機器の導入
高額商品、被害が多い商品、売れ筋人気商品等には、万引き防止用機器を取り付ける。
防犯タグシステム
商品にタグを貼り付けて陳列し、その商品をレジで精算せずにゲートを通過して外に持ち出すと警報音を発する。
インクタグシステム
商品にタグを取り付け、そのタグを無理に外そうとすると特殊インクが飛散する。
ワイヤー式タグシステム
商品に電子ケーブルを取り付けて陳列し、その商品を持ち出そうとしてケーブルを切断したり、精算せずにゲートを通過して外に持ち出すと、タグとゲートの両方から警報音を発する。
鍵付きショーケースの設置
高額商品等は鍵付きのショーケース内に陳列し、容易に手に取れないようにする。
レジコーナーの設置箇所
レジコーナー等商品を精算する箇所は、店舗内全体の見通しが確保できる位置に設置する。
商品の陳列棚等の配置
店舗内に死角が生じないよう、商品の陳列棚等の設置場所や商品の陳列方法に配慮する。
啓発用ポスター等の掲示
店舗内外の目につきやすい場所に啓発用のポスターやチラシ等を掲示し、店舗側の万引き防止に対する姿勢をアピールする。ポスターには、店の形態等により「試着室への多数の衣類の持込み禁止」、「未精算の商品のトイレへの持ち込み禁止」等、万引きを防止するために定めた店の方針を明示する。また、剥がれかかっているポスターを放置すると、その店舗の防犯の関心が薄いと判断され、逆効果となるおそれがあることから掲示状態を常に確認する。
店内専用買い物カゴの導入
精算前の商品を自分で持ち込んだバッグ等に入れることを防ぐため、店内専用の買い物カゴを設置し、精算前の商品については専用カゴを利用するシステムとする。
(2)行動による防犯対策
従業員の声掛け
来店客には、「いらっしゃいませ。」などと顔を注視しながら積極的に声を掛ける。また、多数の衣料を試着室に持ち込むなど、挙動不審な客には躊躇することなく声を掛け、店の方針に従った対応措置をお願いする。
【声かけの具体例】
- 店内を徘徊している
「何かお探しでしょうか。何かございましたら、遠慮なくおっしゃってください。」 - 多数の衣類を試着室に持ち込む
「恐れ入りますが、試着室への商品の持ち込みは○点までとさせていただいておりますので、ご協力をお願いします。」 - トイレに未精算の商品を持ち込む
「ご精算前の商品をトイレに持ち込まないよう、ご協力をお願いいたします。」 - 店内専用買い物カゴを使用していない
「お手数ですが、当店では専用カゴをご利用ください。」
商品の点検、整理の徹底
商品の乱雑な状態は、「万引きがしやすい。」といった心理状態を招き、万引きを助長することから、常に整理整頓に心掛ける。
従業員の適正配置
死角になりやすい場所や万引き被害の多い商品コーナー等には、従業員の固定配置等に配慮する。
警備業者等による巡回強化
万引きをさせない環境づくりを念頭において、制服警備員による見せる警戒を強化するとともに、従業員にあっても、常に防犯腕章を着装し、極力店舗内の巡回に努める。
従業員に対する指導の徹底
従業員個々の役割分担等の指導を徹底し、店舗一体となって万引きを根絶するための気運を醸成する。
携帯用マニュアルを個々に配布し、従業員一人ひとりが携帯していつでもマニュアルを確認できるようにする。
店内放送
店内放送は、客へのサービスの一環として、また、万引きを防止するための注意喚起として、警戒員が巡回している旨等を定期的に呼び掛ける。
【店内放送の具体例】
- 店員の声かけ
「お客様にお知らせいたします。当店では、お客様に楽しく、安心してお買い物をしていただくため、店員がお客様お一人お一人に声をお掛けしております。ご用の際は、お気軽にお申し付けください。」 - 警備員の巡回
「お客様にお知らせいたします。当店では、お客様が安心してお買い物を楽しんでいただきますよう、警備員が店内巡回を行っています。何かございましたらお気軽にお声を掛けてください。」 - 多数の衣類の持込の抑止
「お客様にご案内申し上げます。当店の衣料品売場でご試着をご希望のお客様は、お近くの店員にお声を掛けてください。」 - 専用カゴの利用
「お客様にご案内申し上げます。当店では、店内専用カゴをご利用くださいますようお願い申し上げます。」
警察への通報
万引き犯人は、一度万引きに成功したり、捕まったとしても商品の買い取りで済ませてしまうと、何度も万引きを行う可能性がある。
万引きを発見したら、すぐに警察に通報し、届出等をするようお願いいたします。
通報のポイント
通報したときは受理担当警察官が質問するので、あわてず、落ち着いて答えて下さい。
- 通報理由(万引き犯人の確保・逃走等)
- 通報者氏名(目撃者、確保者、依頼を受けて通報等、通報した案件との関係)
- 被害を受けた店舗名称、所在地
- 被害品(品名、点数、被害金額)
- 犯人の状況(人数、性別、暴れの有無)
※被害届を受理した際は、通報者から事情聴取等の協力をいただきます。できるだけ短時間となるよう配慮させていただきますので、ご理解をお願いいたします。
コンビニエンスストア・ドラッグストア等の場合
(1)施設による防犯対策
防犯カメラ
設置箇所
売場、店舗出入口のほか、駐車場等の店舗周辺にも防犯カメラを設置し、来店客に防犯カメラが作動していることが一目でわかるように「防犯カメラ作動中」等のプレート等を掲示する。
設置要領
防犯カメラは、撮影対象者の顔等がはっきり認識できる角度に設置する。
映像の保存
映像の記録機能は、画像解像度が高く、メンテナンスが容易なデジタル方式を導入し、録画映像は一定期間(おおむね1か月)保存する。
防犯カメラの保守点検
定期的な保守点検(防犯カメラのアングルの調整、防犯カメラの時刻の補正、記録媒体の交換、レンズの清掃等)に努め、死角の解消、防犯カメラの増設等に配慮する。
防犯ミラー
死角となる場所や十分な視認性が確保できない場所には、防犯ミラーを設置する。
レジコーナーの設置箇所
レジコーナー等商品を精算する箇所は、店舗内全体の見通しが確保できる位置に設置する。
商品の陳列棚等の配置
店舗内に死角が生じないよう、商品の陳列棚等の設置場所や商品の陳列方法に配慮する。
特に、高額商品や狙われやすい商品は、目の届きやすいレジ付近に配置したり、空き箱等の見本品を陳列する。
啓発用ポスター等の掲示
店舗内外の目につきやすい場所に啓発用のポスターやチラシ等を掲示し、店舗側の万引き防止に対する姿勢をアピールする。ポスターには、未精算の商品のトイレへの持ち込み禁止等、万引きを防止するために定めた店の方針を明示する。また、剥がれかかっているポスターを放置すると、その店舗の従業員は防犯に関心が薄いと判断され、逆効果となるおそれがあることから、掲示状態等を常に確認する。
(2)行動による防犯対策
従業員の声掛け
来店客には、「いらっしゃいませ。」などと顔を注視しながら積極的に声を掛ける。
大量万引き防止の観点から、買い物カゴやカートに大量の商品を入れている客がいた際には、「一旦レジでお預かりしましょうか。」などの声掛けをする。
長時間滞在している客についても「どのような商品をお探しですか。」などの声掛けをする。
商品の点検、整理の徹底
商品の乱雑な状態は、「万引きがしやすい。」といった心理状態を招き、万引きを助長することから、常に整理整頓に心掛ける。
積極的な店内巡回の励行
商品の点検、整理の際や業務の空き時間等に、店内巡回を実施し、来店客の観察等をする。
また、店舗外についても巡回し、長時間停車している不審車両等については、車種、ナンバー等の記録をする。
従業員に対する指導の徹底
従業員個々の役割分担等の指導を徹底し、店舗一体となって万引きを根絶するための気運を醸成する。
パート、アルバイト等の従業員に対しても、雇用時等に防犯マニュアルの周知及び指導の徹底を図る。
勤務体制の見直し
一人勤務をしている場合は、業務に追われて客の怪しい行動等にも目が行き届かないことが多いため、できる限り複数勤務に努める。
警察への通報
万引き犯人は、一度万引きに成功したり、捕まったとしても商品の買い取りで済ませてしまうと、何度も万引きを行う可能性がある。
万引きを発見したら、すぐに警察に通報し、届出等をするようお願いいたします。
通報のポイント
通報したときは受理担当警察官が質問するので、あわてず、落ち着いて答えて下さい。
- 通報理由(万引き犯人の確保・逃走等)
- 通報者氏名(目撃者、確保者、依頼を受けて通報等、通報した案件との関係)
- 被害を受けた店舗名称、所在地
- 被害品(品名、点数、被害金額)
- 犯人の状況(人数、性別、暴れの有無)
※被害届を受理した際は、通報者から事情聴取等の協力をいただきます。できるだけ短時間となるよう配慮させていただきますので、ご理解をお願いいたします。
万引き防止のガイドライン【ダウンロード】PDFファイル1.3MB)
このページに記載されている内容がまとめられている印刷PDFファイルです。各チェック表や携帯版のみをダウンロードする場合は下記からダウンロードして下さい。
百貨店・スーパー等用防犯体制チェック表(印刷用PDFファイル51KB)
百貨店・スーパー等用のチェック表です。
コンビニエンスストア・ドラッグストア等用防犯体制チェック表(印刷用PDFファイル40KB)
コンビニエンスストア・ドラッグストア等用のチェック表です。
万引き防止のための自主点検チェック票(印刷用PDFファイル47KB)
自主点検用のチェック票です。
万引き防止のガイドライン(携帯用)【ダウンロード】(PDFファイル139KB)
最小限の内容が記載されており、切り取って畳むとカードサイズになる印刷用PDFです。
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神奈川県警察本部 生活安全部生活安全総務課
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