更新日:
2023年07月25日
電動車椅子の特性
●視線が低く、視界が狭くなる
電動車椅子に座ったときの高さは、小学校低学年児童の身長と同じくらいとなります。
そのため、電動車椅子を利用しているときは、視線が低くなり、視界も狭くなります。
また、駐車車両や障害物があると、利用者も車等の運転者からもお互いが見えにくくなりますので、安全確認をしっかり行いましょう。
●内輪差がある
自操用ハンドル型電動車椅子には内輪差が生じます。
内輪差を見誤ると、後輪が段差に引っかかるおそれがあるだけでなく、歩行者の足を轢いてしまうなど、思わぬ怪我をさせてしまう可能性があります。
●段差や溝の通行が難しい
電動車椅子は、機種により、段差や溝を乗り越える走行性能に違いがあります。
利用する電動車椅子では、乗り越えられない段差や溝を無理に通過しようとすると、転倒したり溝にはまって動けなくなるおそれがありますので、大きな段差や溝は避けて通行しましょう。
段差や溝を乗り越える場合には、前輪タイヤを段差や溝に対して直角にして通行しましょう。
小さな段差や溝であっても、ハンドルを両手でしっかりと握りましょう。
●傾斜地の通行が難しい
電動車椅子は、機種により傾斜地走行に差があります。
傾斜の急な道路を無理に通行しようとすると、転倒するおそれがありますので、無理な通行は避けましょう。
傾斜地を通行するときは、身体を斜面の高い方に傾けましょう。
角度の緩やかな傾斜であっても、ハンドルを両手でしっかりと握りましょう。
●重い
電動車椅子は、機種により100キログラムほど重量があるものもあります。
そのため、電動車椅子の利用中にバランスを崩すと、立て直しが難しく、一人で持ち上げることも困難です。
また、歩行者等に衝突すると、怪我をさせてしまうおそれがあります。
電動車椅子を利用する際は、転倒防止のためにも段差や傾斜地等の無理な通行は避け、周りの歩行者等に注意し、安全に利用しましょう。
電動車椅子を利用する上での交通ルールや注意点
「電動車椅子」は道路交通法により「歩行者」とされていますから、歩行者としてのルールを守らなくてはなりません。「電動車椅子」を利用する上での交通ルールや注意点をまとめました。
出かける前に必ず行いましょう
1 出発前には・・・
出発前には点検をしましょう。
ランプ、警告ブザーなど・・・
バッテリーの残量チェックは忘れずに!
2 初めて道路に出るときは・・・
初めて道路に出るときは広い場所で十分練習し、介助者を付け、安全な通行場所と危険な箇所の確認をしましょう。
歩行者としての交通ルールを守りましょう
1 歩道のある道路では・・・
歩道のある道路では、歩いている人に注意しながら通行しましょう。
2 歩道のない道路では・・・
歩道のない道路では、道路の右側を車両等に注意して通行しましょう。
対向する車両等がある場合、安全な場所に停止し通過するのを待ってから通行しましょう。
3 道路の中央を・・・
道路の中央を通行するのはとても危険です。
電動車椅子は「歩行者」であるので、車道を自動車等と同じように通行することはできません。
道路を横断するとき
1 信号機や横断歩道を利用しましょう
遠回りでも、横断歩道を横断します。
信号は守りましょう。青の点滅信号は渡り始めてはいけません。
すでに青信号の場合は、すぐに信号が変わってしまうこともあるので、次の青信号まで待ちましょう。
2 信号機や横断歩道がない場合は・・・
信号機や横断歩道がない場合は、見通しのよいところで道路に対して直角に横断します。
斜め横断は大変危険です。
また、歩道等の段差にも注意しましょう。
3 「横断禁止」の標識がある場所は・・・
「横断禁止」の標識がある場所では、道路を横断してはいけません。
周囲に十分注意しましょう
1 交差点では・・・
交差点では止まって周囲を確認し、右折や左折をしてくる車両等に注意しましょう。
2 交差点の角では・・・
車両には内輪差があるので、交差点の角では巻き込まれないように気を付けましょう。
3 大型車には・・・
死角に入りやすく見えにくいので、大型車には近づかないようにしましょう。
4 見通しの悪いところから出るときは・・・
見通しの悪いところから出るときは一旦停止し、左右の安全確認をしましょう。
危険です!やめましょう!!
1 車体から身体をはみ出さない
バランスを崩し、転倒するおそれがありますので車体から身体をはみ出さないようにしましょう。
2 坂道で、クラッチを切って押したりしない
坂道でクラッチを切って押したりすると、自動ブレーキ(電磁ブレーキ)がかからず大変危険です。
3 二人乗りやけん引はしない
二人乗りやけん引をすると操作を誤ったり、バランスを崩す等大変危険です。
4 携帯電話等を使いながらの操作をしない
携帯電話等を使いながらの操作は、注意力が散漫になり危険です。
5 お酒を飲んだら使用を控えましょう
お酒を飲んで使用すると判断や操作を誤るおそれがあるので、大変危険です。
※ 電動車椅子は、遊具ではありません。子どもが遊ばないようにしっかりと鍵の管理をしましょう。
こんなことにも気をつけましょう
1 悪天候や夜間の使用は・・・
悪天候や夜間の使用はなるべく控えましょう。
(降雨、降雪、濃霧、強風、ぬかるみ、凹凸の激しい道、深い砂利道など)
2 人通りの多いところを通るときは・・・
他の歩行者が通行する場合は、一度止まるなどして、接触しないように気をつけましょう。
(接触すると、相手に怪我をさせるおそれがあります。)
3 踏切を通過するときは・・・
踏切の手前で一旦停止し、左右の安全確認をしましょう。
警報機が鳴っているときや、遮断機が閉じようとしているときは、踏切内に入ってはいけません。
脱輪や線路の溝にタイヤが挟まらないようにするため、両手でハンドルをしっかりと握り、端に寄りすぎず、線路に対して直角に横断しましょう。
踏切内で立ち往生してしまったときは、慌てず介助者や周りの人の協力を得て非常ボタンを押してもらうとともに、直ちに踏切内から脱出してください。
※ できる限り、介助者に同行してもらいましょう。
4 服装は・・・
身体の保護、疲労の防止、操作性を考えて服装を選びましょう。
頭:帽子を着用(夏はつば付きが良い)
身体:長袖、長ズボン(明るい色の服装に心掛ける。冬は体温低下が疲労に結びつくので、防寒に留意)
足:下駄やハイヒールは避ける
※ 服装だけでなく、電動車椅子にも反射材をつけましょう。
5 突然止まった時は・・・
電動車椅子が突然止まったときは、慌てず速やかに安全な場所へ避難します。
移動できないときは、周囲の人に援助を求めましょう。
※ 電動車椅子は、運転免許証を必要とせず手軽に移動でき便利である反面、正しく利用しないと、交通事故に遭うばかりでなく、自身や他の歩行者等に怪我をさせてしまう可能性も高いことを忘れないでください。
※ 電動車椅子の取扱説明書をよく読んで、正しく安全に利用してください。
情報発信元
神奈川県警察本部 交通部交通総務課
電話:045-211-1212(代表)