考えよう やって良いこと 悪いこと 公園の砂場で (幼児・小学生低学年用) 作:神奈川県警察本部少年育成課 小島久美子 絵:神奈川県警察本部少年育成課 平野洋子 【表紙】(演出:子ども達に話しかける。)  今日は、「やって良いこと、悪いこと。」について、皆さんと一緒に、お勉強していきましょう。  それでは、紙芝居のお話を聞いて下さい。  途中で、私が、皆さんに、これは、やって良いことでしょうか。それとも、やってはいけないことでしょうか。 とか、  こういうときは、どうしたら良いでしょうか。 などと質問します。  皆さんは、お話を聞きながらよく考え、私が質問したら、手をあげて答えて下さいね。  それでは、「考えよう やって良いこと 悪いこと 公園の砂場で」の始まり始まり。   【場面1】(ナレーションはゆっくり)  マル太君とホシ子ちゃんが、家の近くにある公園の砂場で、山を作り、その下にトンネルを掘っています。  ホシ子ちゃんが言いました。  (元気に明るく) ホシ子 「マル太君、すごーい。もうすぐ、トンネル、出来上がるね。」  マル太君がうれしそうに言いました。  (自慢げに) マル太 「砂に水をかけて、山を硬く作ることが大事なんだ。そうして、シャベルで少しずつ、トンネルを掘っていくんだ。山が硬いと、なかなか、崩れないんだよ。」  (憧れるように) ホシ子 「マル太君って、何でも知っているし、何でもできるのね。」  2人は、楽しそうに、遊んでいます。   【場面2】  サンカク君も、公園に遊びに来ました。  そして、トンネルを掘っているマル太君とホシ子ちゃんの近くに行き、ジーと見ています。  サンカク君は、  (羨ましそうに) サンカク『良いなぁ。僕も、トンネル、作ってみたいなあ。』 と思いました。  でも、今は、おじいちゃんの家に遊びに来ているので、シャベルも水を運ぶためのバケツもありません。  サンカク君は、シャベルやバケツを使いたいと思いました。  でも、マル太君とも、ホシ子ちゃんとも、今まで、一緒に遊んだことも、話をしたこともありません。 【場面3】  突然、サンカク君は、マル太君のバケツを持って、水を汲みに行きました。 ○子ども達に語りかける。 ○ それでは、皆さんに質問します。(絵を示す。)   サンカク君は、黙ってバケツを使っています。   黙ってバケツを使うことは、やっても良いことでしょうか。それとも、いけないことでしょうか。   良いことか、いけないことか、どちらかに手をあげて、答えて下さい。   ・黙って使っても良いと思う人。   ・黙って使ってはいけないと思う人。 ○ ありがとうございます。   人の物を黙って使うことは、いけないことですね。(「×」画面を示す。) ○ では、お友達の物を借りたいときは、どうしたらいいでしょう。(絵を示す。)  1 マル太君のことは知らないけど、「貸して。」と頼む。  2 「仲間に入れて。」と頼んで、一緒に遊ぶ。  どちらかに手をあげて下さい。両方、手をあげても良いです。  1 「『貸して。』と言って、頼む。」という人。  2 「『仲間に入れて。』と頼んで、一緒に遊ぶ。」という人。 ○ありがとうございます。どちらも、良いやり方ですね。  「貸して。」と頼んだときは、「良いよ。」って言われてから使いましょうね。  勇気を出して「仲間に入れて。」と頼むことも、偉いことです。  それから、「貸して。」とか「仲間に入れて。」と頼まれたときは、「いいよ。」と言って、そこで一緒に遊べると、お友達も増えるし、とても良いことですね。    あれっ。  サンカク君は、黙ってバケツを持って行きましたが、マル太君もホシ子ちゃんも、トンネルを掘ることに夢中で、バケツを使われていることに気がついていません。 【場面4】  サンカク君は、汲んできた水を2人から一番離れた砂場に、ジャーとかけました。  砂はべたべたになり、おだんごが上手に作れます。サンカク君は、沢山のおだんごを作り、積み上げています。  お山のようになってきました。 【場面5】  そのとき、マル太君が、自分のバケツがサンカク君の側に置いてあることに気付き、不思議そうな顔をして、バケツを持ちました。そして、サンカク君を見て、  (尋ねるように) マル太 「これ、使った。」 と聞きました。  サンカク君は、ちょっと悲しそうな顔をしながら首を振り、  (暗い感じで) サンカク 「使っていない。」 と答えました。 ○子ども達に語りかける。 ○ では、ここで、皆さんに質問します。   マル太君は、サンカク君にバケツを「使った。」と聞いたとき、サンカク君は「使ってない。」と答えました。   サンカク君は、本当に、バケツを使ってないでしょうか。それとも、使ったでしょうか。   ・「バケツを使った。」と思う人。(挙手を求める。)   ・「バケツを使ってない。」と思う人。(挙手を求める。) ○ 皆さん、よくお話を聞いてますね。   嘘をつくことは、いけないこと、悪いことです。   黙って借りて悪かったときは、嘘をついてごまかすのではなく、正直に話をして、「ごめんなさい。」と謝りましょう。 ○ サンカク君は、直ぐに、謝ることができたでしょうか。   お話の続きを見ていきましょう。 【場面6】  マル太君は、 マル太 『バケツ、風でとんでいっちやったのかなぁ。』と思いながら、水を汲みに行きました。  サンカク君は、マル太君が水道のほうに歩き始めると、直ぐに立ち上がりました。   【場面7】  そして、今度は、マル太君が使っていたシャベルを持ちました。  そのときです。ホシ子ちゃんが、(怒ったように) ホシ子 「それ、マル太君のだよ。とったらダメだよ。」 と大きな声で言い、サンカク君をにらみました。  サンカク君は、ホシ子ちゃんの声に驚きました。  マル太君が、ホシ子ちゃんの大きな声に気付いて、こちらに走ってきます。 【場面8】 (怒ったように) マル太 「あっ、それ、僕のシャベルだ。勝手に使うなよ。」 と言い、シャベルを取り上げました。そして、 (怒ったように) マル太 「バケツも勝手に使ったな。嘘つき。」 と言いながら、サンカク君の胸を思いっきり押したのです。  サンカク君は、転んでしまいました。 ○子ども達に話しかける。 ○ マル太君はも、サンカク君が、黙ってバケツを使い、今、また、シャベルまで使おうとしたから、怒って押したんですね。   それでは、皆さんに、質問します。こういうとき、マル太君は、サンカク君を押しても良いのでしょうか。それとも、押してはいけないでしょうか。   どちらかに手をあげて下さい。   ・「押しても良い。」と思う人。(挙手を求める。)   ・「押してはいけない。」と思う人。(挙手を求める。) ○ 答えは、押すことは、いけないことです。(「×」画面を示す。)人をぶったり、蹴ったり、押したりすることは、とても悪いことです。たとえ、お友達が悪くても、ぶったり、押したりすれば、自分も悪いことをしたことになります。 ○ では、こういうときは、どうしたら良いでしょうか。(絵を示す。)  1 「勝手に使うのは、やめて。」と言う。  2 「一緒に遊ぼう。」と誘う。  どちらかに手をあげて下さい。  1 「『勝手に使うのは、やめて。』と言う。」という人。  2 「『一緒に遊ぼう。』と誘う。」という人。 ○ ありがとうございます。どちらも、良いやり方ですね。お友達が悪いときでも、話をして、やめてもらったり、仲良くするやり方を考えましょう。   どんなときでも、ぶったり、蹴ったり、押したりすることは、悪いことです。   そういうことはしないと、約束してくれる人。 ○ ありがとうございます。では、お話の続きを見ていきましょう。 【場面9】  サンカク君は、涙を流し、立ち上がろうとしません。  ホシ子ちゃんが、言いました。 (注意するように) ホシ子 「マル太君。押したりしちゃダメだよ。泣いちゃったよ。」  でも、マル太君は、謝ろうとしません。  そのとき、サンカク君が言いました。 (訴えるように) サンカク 「僕は、とってない。ちょっと、借りただけなのに、とったなんて、ひどいよ。」 ○子ども達に語りかける。 ○ 皆さん、サンカク君は、「とった」と、言われたことが悲しくて、泣いていたんですね。   では、もし、皆さんが「とった」とか「嘘つき」とか、「いじわる」とか言われたら、どのような気持ちになりますか。   悲しい気持ちや嫌な気持ちになりますか。それとも、うれしい気持ちや楽しい気持ちになりますか。では、どちらかに手をあげて下さい。  ・「悲しい気持ちや嫌な気持ちになる。」という人。(挙手を求める。)  ・「うれしい気持ちや楽しい気持ちになる。」という人。(挙手を求める。) ○ ありがとうございます。   「とった」とか「嘘つき」「いじわる」などと、ひどいことを言われたら、悲しい気持ちや嫌な気持ちになる人が多いですね。   自分が言われて嫌なことは、お友達に言うのはやめましょう。   そして、自分が嫌な思いをしたときでも、「お友達を悲しい気持ちにさせないかな。」「嫌な気持ちにさせないかな。」と考えてから、話をするようにしましょう。 ○ では、「とった。」と言った、ホシ子ちゃんはどうしたのでしょう。   お話の続きを見ていきましょう。 【場面10】  ホシ子ちゃんがびっくりして言いました。 (驚いたように) ホシ子 「えー。それで、泣いていたの。(間を置く)(素直に)とったなんて、ひどいこと言って、ごめんね。(優しく)でもね、これからは、貸して欲しいときは『貸して。』って言わなきゃダメだよ。そうしないと、とったのか、借りただけなのか分からないからね。もう泣かないで。仲良くしよう。一緒に遊ぼう。」  ホシ子ちゃんは、サンカク君の横にしゃがみ、謝りました。  サンカク君は、言いました。 (素直に) サンカク 「僕も、黙って借りて、悪かったんだ。『使ってない。』って嘘もついた。ごめんなさい。本当は、一緒に遊びたかったんだ。」 【場面11】  マル太君が言いました。 (明るく) マル太 「なんだ。一緒に遊びたかったのか。それなら、最初から『仲間に入れて。』て言えば良かったんだよ。押したりして、ごめんね。もうすぐ、トンネルができあがるんだ。手伝って。」 (うれしそうに) サンカク 「うん。ありがとう。僕、サンカクっていうんだ。今、おじいちゃんのうちに遊びにきているんだよ。」  サンカク君は、元気に言いました。 (明るく) ホシ子 「そうだったの。私はホシ子。よろしくね。」 (明るく) マル太 「僕は、マル太。これからは、仲良くしよう。そうだ。トンネルが出来上がったら、そっちも山を作って道を作ろう。」 (楽しそうに) サンカク 「うん。よし、がんばるぞー。」  3人とも、とてもうれしそうな顔をしています。 ○子ども達に話しかける。 ○ 皆さん。ここまで、  ・ホシ子ちゃんは、「とったなんて、ひどいこと言って、ごめんね。」と謝りました。  ・サンカク君も、「黙って借りた。嘘もついた。ごめんなさい。」と謝りました。  ・マル太君も、「押したりして、ごめんね。」と謝りました。   みんな、自分のやった悪いことを謝り合えたから、今、うれしそうな顔をして、一緒に遊ぼうとしているんですね。   間違えてしまったときは、直ぐに「ごめんなさい。」と謝ることは、とても大切なことです。   そうすれば、こんなに、仲良くできるんですね。 ○ 3人は、この後、どうするのでしょう。お話の続きを見ていきましょう。 【場面12】  このとき、サンカク君のおじいちゃんが、公園にやってきました。 (うれしそうに) サンカク 「おじいちゃん。僕、友達ができたんだ。これから、みんなで、トンネルや道を作るんだよ。」  サンカク君は、おじいちゃんに走りより、ニコニコしながら、言いました。 (穏やかに) 祖父 「そうか、良かったな。みんな、ありがとう。よし、おじいちゃんは、出来上がるのを楽しみに、待っていよう。」 と言い、ベンチに向かいました。 【場面13】  このあと、マル太君、サンカク君、ホシ子ちゃんは、もう1つの山も作り、トンネルを掘り、道を作り、力を合わせて、素敵な、2つのトンネル付きの道路を完成させました。 【おしまい】 ○子ども達に話しかける。 ○ これで「考えよう やって良いこと 悪いこと 公園の砂場で」の紙芝居はおしまいです。 ※子ども達の様子を見ながら、時間があるときは、ふりかえりをしましょう。 【ふりかえり1】 ○子ども達に話しかける。 ○皆さん、今日のお話で、  ・お友達の物をとったり、黙って使うことは、いけないこと。 ということを勉強しました。  では、お友達の物を貸して欲しいときは、何て言えばいいでしょう。  みんなで声を合わせて言ってみましょう。 (声を合わせて「貸して。」と言わせる。) (絵を示す。) そうですね。「貸して。」と聞き「良いよ。」と言われてから借りましょう。 ○できる人?(挙手を求める。) ありがとうございます。 【ふりかえり2】 ○子ども達に話しかける。 ○ それから、どんなときでも (「×」画面を示す。)  ・お友達をぶったり、蹴ったり、押したりすることは、いけないこと。 ということも勉強しました。  お友達に嫌なことをされたときは、ぶったり、蹴ったりはしないで、「やめて。」などと話をして、仲良くするやり方を考えましょう。 ○できる人?(挙手を求める。) ありがとうございます。 【ふりかえり3】 ○子ども達に話しかける。 ○ それから、自分が言われたら、悲しい気持ちや嫌な気持ちになることを、お友達に言ってはいけません。   では、皆さんに質問します。   間違えて、お友達を嫌な気持ちにさせてしまったときは、何て言えばいいでしょうか。では、みんなで声を合わせて言ってみましょう。 (声を合わせて「ごめんね。」を言わせる。) ○ そうですね。間違えたときは、「ごめんね。」とか「ごめんなさい。」と謝れるようになりましょう。 (「できる人。」と挙手を求めても良い。) ○ それから、間違えてしまったとき、絶対にやってはいけないことは、嘘をつくことです。   「嘘をつかない。」と約束してくれる人? (挙手を求める。) ○ ありがとうございます。大勢の手があがりました。 【まとめ】 ○子ども達に語りかける。 ○ 今日は、沢山の約束をしました。  ・ぶたない。  ・とらない。  ・嘘をつかない。  ・間違えたときは、「ごめんなさい。」と、素直に謝る。  ・その他、自分が言われて嫌なことは、お友達には言わない。 というのもありましたね。  これは、小学生や中学生になっても大切なことです。  みんなが、楽しく、気持ちよく過ごせるよう、しっかり守っていきましょう。 ○ それでは、これで「考えよう。やって良いこと 悪いこと」のお勉強をおしまいにします。 おしまい