考えよう やって良いこと 悪いこと 教室の中で (小学生高学年用) 作:神奈川県警察本部少年育成課 小島久美子 絵:神奈川県警察本部少年育成課 平野洋子 【表紙】 ○授業が始まる前に、「やって良いことか悪いことか判断する力を持つ。」「悪いことはしない悪いことに流されない強い意思を持つ。」「他人の気持ちを考えて行動する。」の三枚の紙を黒板に貼る。 演出ノート○子ども達に語りかける。 今日は、「やって良いこと、悪いこと。」について、皆さんと一緒に、勉強していきましょう。 それでは、紙芝居の話を聞いて下さい。 途中で、私が、皆さんに、こういうときは、どうしたら良いでしょうか。 とか、これは、悪いことでしょうか。それとも、悪くないことでしょうか。 などと質問します。 皆さんは、話を聞きながら考え、質問に答えて下さい。 それでは、「考えよう。やって良いこと 悪いこと。教室の中で」の始まり始まり。 【場面 1】 かし太君が、攻略本を読んでいるずる美ちゃんのところに来て、言いました。 ・強い口調で かし太 「ずる美ちゃん。何で、昨日、公園に来なかったんだよ。この前、僕が貸したゲームソフト、返すって、約束をしただろう。」 ヤンキ君も、近くに来て、言いました。 ・強い口調で ヤンキ 「そうだよ。僕たち、ずっと待ってたんだぞ。」 すると、ずる美ちゃんは、 ・言い返すように ずる美 「だって、急に、お母さんに留守番を頼まれちゃったんだもの。仕方ないでしょ。」 と、強い口調で言いました。すると、かし太君は怒って、 ・非難するように かし太 「それなら、僕の家に電話をするべきだよ。黙って、約束を破るなんて、ひどいよ。」 と言い、ヤンキ君も ・文句を言うように ヤンキ 「そうだよ。僕が、次に借りる約束になっているんだ。早く返せよ。」と言いました。 ・言い返すように ずる美 「そんなこと言ったって、私だって、急に頼まれちゃったんだから。文句があるなら、お母さんに言ってよ。」 怒っているかし太君とヤンキ君を横目に、ずる美ちゃんは攻略本を読み始めました。 【場面 2】 ・怒った様子で かし太 「なんだよ。謝りもしないで。あっ、その攻略本、僕が貸したゲームソフトのじゃないか。本当は、昨日、返す気がなかったんだろう。」 かし太君は、ずる美ちゃんが、約束を破っているのに、全く反省していないことに腹を立て、 ・感情的に かし太 「こんなもの、捨ててやる。」 と言って、ずる美ちゃんが読んでいた攻略本を取り上げ、走り出しました。 ・あわてた様子で ずる美 「やめて。返して。」 ずる美ちゃんは、かし太君を追いかけようとしました。 【場面 3】 ヤンキ君がずる美ちゃんの前に立ちはだかり、 ・いじわるするように ヤンキ 「おっと。ここは、通れませんよ。かし太君、それ、どっかに隠しちゃえよ。行け、行け。」 と、言いました。ずる美ちゃんは、 ・泣きそうになりながら ずる美 「かし太君。お願い。返して。それは、隣のお姉さんから、借りているの。汚したら、怒られちゃう。」 と叫び、泣きそうです。 ○子ども達に語りかける。 ○ それでは、皆さんに質問します。 ずる美ちゃんは、とられた本を返して欲しいと思っていますね。 このようなとき、皆さんがずる美ちゃんだったら、どのような行動をとりますか。 1 謝って返してもらう。 2 追いかけて取り返す。 3 先生に言う。 4 その他の方法をとる。 皆さんだったら、どうしますか。どれか一つに手をあげて下さい。 1 「謝って返してもらう。」という人。 2 「追いかけて取り返す。」という人。 3 「先生に言う。」という人。 4 「その他の方法をとる。」という人。 ○ ありがとうございます。 まず、どのような理由があろうと、約束を破ったことを謝ることは大切ですね。 謝って、返してもらう。 それでも返してもらえないときは、先生など大人に相談しましょう。 自分たちだけで解決できないときは、先生などに頼り、間違いを早く正し、みんなが、正しい行動をとれるようにしていくことは大切なことです。 では、話はどうなっていくのか、続きを見ていきましょう。 そそ香ちゃんが、通せん坊をしていたヤンキ君に、体当たりをしました。 ・注意するように そそ香 「ちょっと、何やってんのよ。ずる美ちゃんが、困っているじゃない。」 ヤンキ君は、いきなり、体当たりをされ、尻餅をついてしまいました。 ・痛そうに ヤンキ 「いてぇー。何するんだよ。」 ・注意するように そそ香 「ずる美ちゃんを、いじめているからよ。」 そそ香ちゃんは、きっぱり言うと、ヤンキ君は、痛そうに立ち上がりながら、 ・文句を言うように ヤンキ 「何だよ。そそ香ちゃんは、関係ないだろう。でしゃばってくるなよ。」 と言い返しました。そそ香ちゃんは、ヤンキ君を睨み付けながら ・注意するように そそ香 「もっと、やられたいの。いじめるのは、よしなさいよ。」 と、また、押し倒しそうな勢いです。 ○子ども達に語りかける。 ○ それでは、皆さんに質問します。 ヤンキ君は、そそ香ちゃんに、体当たりされました。そして、「もっと、やられたいの。」と言われ、更に、暴力を振るわれそうな勢いです。 こういうとき、皆さんが、ヤンキ君だったら、どうしますか。 1 やり返す。 2 逃げる。 3 話し合う。 4 その他の方法をとる。 皆さんだったら、どうしますか。どれか一つに手をあげて下さい。 1 「やり返す。」という人。 2 「逃げる。」という人。 3 「話し合う。」という人。 4 「その他の方法をとる。」という人。 ○ ありがとうございます。 暴力でやりかえすことは、いけないことです。話し合うことが、一番良い方法ですが、相手が興奮していて、話し合えないこともあります。 そういうときは、自分が何度も暴力を受けないためにも、相手に何度も悪いことをさせないためにも、逃げてその場を離れたり、助けを呼んだりしましょう。 そして、お互いに気持ちが落ち着いてから、暴力ではなく、言葉を遣って、話し合いで解決ができるようになりましょう。 では、ヤンキ君達はどうしたのか、話の続きを見ていきましょう。 【場面 5】 ヤンキ君は、 ・感情的に ヤンキ 「そそ香ちゃんなんか、理由も知らないくせに、頭にくるなぁ。もう、こうしてやる。」 と言うと、そそ香ちゃんの机に行き、中から筆箱を取り出し、四階の窓から、思いっきり、下に投げ落としたのです。 【場面 6】 そのとき、丁度、攻略本を隠そうと、下を走っていたかし太君の頭に筆箱が当たり、かし太君は、その場にうずくまってしまいました。 近くにいた先生が、走ってきて、かし太君に声をかけています。 ○子ども達に語りかける。 ○ それでは、この場面で、2問、皆さんに、質問します。 一問目です。 ヤンキ君は、筆箱を4階の窓から、思いっきり投げ落とし、偶然ですが、かし太君に当たり、かし太君は怪我をしました。 偶然、他人に怪我をさせた場合、その行為は、わざとではなくても、悪いことになるでしょうか。それとも、仕方のないことなので、悪くないことでしょうか。 ・ 「悪いこと。」だと思う人。 ・ 「悪くないこと。」だとと思う人。 ありがとうございます。 ○ それでは、2問目です。 ヤンキ君は、筆箱を4階から、思いっきり、投げ落としましたが、誰にも当たらなかったとします。 このような場合は、筆箱を落とした行為は、悪いことでしょうか。悪くないことでしょうか。 ・ 「悪いこと。」だと思う人。 ・ 「悪くないこと。」だとと思う人。 ありがとうございます。 それぞれの答えは、話の中に出てきます。話の続きを見ていきましょう。 【場面 7】 暫くすると、救急車が来ました。警察官も来て、かし太君に話を聞いています。 ヤンキ君は、 ・心配そうに ヤンキ 「かし太君、大丈夫かなぁ。」 と心配そうです。 ずる美ちゃんは、それには答えず、 ・不思議そうに ずる美 「何で、お巡りさんまで来たのかしら。」 と言うと、そそ香ちゃんも、 ・同調するように そそ香 「本当だ。事件でもないのに変よね。いったい、誰が呼んだのかしら。」 と、不思議そうに言いました。 かし太君は、救急車に乗り、病院に運ばれていきました。 【場面 8】 そのときです。かし太君を見送った先生が、4階の窓からのぞいていた、ヤンキ君、ずる美ちゃん、そそ香ちゃんの3人を見て ・厳しい口調で 先生 「この筆箱と、攻略本を下に落としたのは、誰だ。」 と叫んだのです。 【場面 9】 ヤンキ君、そそ香ちゃん、ずる美ちゃん、それに先生の4人が、相談室にいます。 先生が、言いました。 ・説明するように 先生 「かし太君は怪我をしたぞ。今、かし太君のおうちの人には、病院に向かってもらった。 ・強い口調で 君達は、大変なことをしたんだぞ。」 ヤンキ君は、言いました。 ・ふてくされた様子で ヤンキ 「わざとやった訳ではありません。偶然、当たってしまっただけです。」 すると、先生は、厳しい顔をして、 ・厳しい口調で 先生 「わざとでなければ、許されると思っているのか。エンピツが目に刺さっていたら、どうするつもりだ。これから、みんなのお父さん、お母さんにも連絡して、学校に来てもらうから、それまで、ここで、反省していなさい。」 と言いました。 「お父さんやお母さんを呼ぶ。」という、先生の話を聞くと、ヤンキ君は、突然、 【場面 10】 ・感情的に ヤンキ 「何で、親を呼ぶんだよ。目に刺さったって、間違いないのかよぉ。だいたい、警察まで呼んで、大袈裟なんだよ。僕たち、そんなに悪いこと、してないだろう。」 と、先生のネクタイをひっぱり、怒鳴りました。 そそ香ちゃんは、慌てて ・あわてた様子で そそ香 「やめて。先生に、そんなことしちゃ、ダメだよ。」 と言い、ヤンキ君の腕をつかんで止めました。 先生は、ヤンキ君をじっと見つめ、 ・厳しく落ち着いた口調で 先生 「自分の思い通りにならないから、やっているのか。丁度、お巡りさんが来ているから、先生のネクタイを引っ張ることは、やって良いことか、悪いことか、聞いてみなさい。」 そう言うと、相談室を出て行ってしまいました。 ○子ども達に語りかける。 ○ それでは、皆さんに質問します。 ヤンキ君は、先生のネクタイを引っ張りました。これは、悪いことですね。 では、このような行為は、犯罪になるでしょうか。それとも、犯罪にはならないでしょうか。 ・ 「犯罪になる。」と思う人。 ・ 「犯罪にはならない。」と思う人。 ありがとうございます。 この答えと、それから、『お巡りさんは、誰から通報を受けて、学校に来たのか。』についても、答えは、話の中に出てきます。 では、話の続きを見ていきましょう。 【場面 11】 しばらくすると、救急車の近くにいたお巡りさん、先生、それぞれのお父さんやお母さん、それに、治療を終えて帰ってきた、かし太君とお母さんが、相談室に入ってきました。 ヤンキ君が、かし太君の姿を見ると、直ぐに声をかけました。 ・心配そうに ヤンキ 「かし太君、大丈夫。」 ・説明するように かし太 「うん。まぶたが切れただけだよ。目に刺さっていたら、一生、目が見えなくなったかもしれないんだって。そんなことにならなくて、良かったよ。それにしても、誰だよ。あんなところから、筆箱を落とす奴は。」 ヤンキ君は、自分のお父さんの顔をチラッと見ながら、言いました。 ・素直に ヤンキ 「僕だよ。かし太君、ごめんね。」 【場面 12】 ヤンキ君のお父さんが、目を吊り上げて言いました。 ・大きな声で ヤンキ父「ヤンキ。お前か。先生にも、暴力をふるったと聞いたぞ。」 ヤンキ君は、お父さんの大声に、肩をすぼめて言いました。 ・言い訳するように ヤンキ 「だって、そそ香ちゃんが、突然、僕に体当たりをしてきたんだ。だから、そそ香ちゃんの筆箱を窓から捨てたんだ。やり返しただけだよ。」 ヤンキ君のお父さんは、ヤンキ君の話を聞くと、今度は、諭すように言いました。 ・諭すように ヤンキ父「ヤンキは、頭にくると、後先考えず、行動するから、こんな大変なことになるんだ。 ○文字を指す。 「やって良いことか 悪いことか 判断する力を持つ」 いいか。行動をする前に、やって良いことか、悪いことかをしっかり判断して、正しい行動をとらないといけないぞ。かし太君、かし太君のお母さん、怪我をさせてしまい、申し訳ありません。先生にも、ご迷惑をおかけしました。」 【場面 13】 そそ香ちゃんのお母さんが言いました。 ・叱るように そそ香母「そそ香が、いけないのよ。だいたい、暴力を振るうなんて、とんでもないわ。」 すると、そそ香ちゃんは、胸を張って言いました。 ・自信たっぷりに そそ香 「だって、ヤンキ君が、ずる美ちゃんを通せん坊して、いじめていたんだもの。」 ずる美ちゃんも、そそ香ちゃんのお母さんに向かって言いました。 ・説明するように ずる美 「そうなんです。私が、かし太君に本を盗られたり、ヤンキ君に通せん坊をされて、いじめられていたとき、そそ香ちゃんが、助けてくれたんです。」 その話を聞くと、そそ香ちゃんのお母さんは、 ・諭すように そそ香母「いい。暴力を振るうことは、悪いことよ。 ○文字を指す。「悪いことはしない 悪いことに流されない 強い意思を持つ」 『友達を助けたい。』とか『頭にきた。』とか、どんな理由があっても、暴力を振るえば、自分も悪いことをしたことになる。どんなときでも、悪いことはしない、悪いことに流されない、強い意思を持ちなさい。」 と言いました。 【場面 14】 このとき、先生が、ずる美ちゃんに聞きました。 ・質問するように 先生 「ずる美ちゃん。学校には、攻略本など、授業に必要ない物は持ってきてはいけないのは知っていますね。何故、学校に持ってきたのですか。」 ずる美ちゃんは、みんなが、一斉に自分を見たので、正直に話しました。 ・言い訳するように ずる美 「実は、かし太君に借りたゲームソフト、どうしても、攻略したくて…」 その話を聞くと、 ・怒ったように かし太 「やつぱり、わざと返さなかったんだな。」 と、かし太君は言い、ずる美ちゃんを睨みつけながら、みんなに説明するように、言いました。 ・みんなに説明するように かし太 「昨日、ずる美ちゃんから、ゲームソフトを返してもらう約束だったんです。それなのに、約束の公園には来ないし、今日は、謝りもしないで、攻略本を読んでいるから、頭にきて、いじめてやろうと思ったんです。それで、攻略本を取り上げて、どこかに隠してやろうと、隠し場所を探していたとき、筆箱が頭に当たったんです。」 かし太君の説明を聞き、そそ香ちゃんは、言いました。 ・驚いたように そそ香 「それじゃあ、ずる美ちゃんが悪いよ。 ・反省した様子で ヤンキ君、事情も知らずに、体当たりなんかして、ごめんね。」 すると、かし太君のお母さんが言いました。 ・叱るように かし太母「かし太も、悪いよ。ずる美ちゃんをいじめるから、こんな目に遭ったんだよ。約束をやぶられたり、嘘をつかれたり、嫌な思いをすることは、いろいろあるものよ。でも、だからと言って、いじめは、いけないことよ。自分がやられて嫌なことは、絶対に、人にやってはいけないよ。」 【場面 15】 ずる美ちゃんのお父さんが言いました。 ・叱るように ずる美父「ずる美は、かし太君やヤンキ君の気持ちを考えたのか。『自分さえよければいい』という行動は、周りの人を不愉快にさせるんだぞ。 ○文字を指す。 「他人の気持ちを考えて行動する」 他人の気持ちを考えて行動できるようにならないと駄目だ。」 【場面 16】 ずる美ちゃは、みんなの方を向き、 ・反省した様子で ずる美 「ごめんなさい。」と謝りました。ずる美ちゃんのお父さんも、 ・神妙に ずる美父「ずる美のわがままで、こんなことになってしまい、本当に、申し訳ありませんでした。かし太君には、怪我をさせてしまい、すみません。」 と、みんなに謝り、かし太君とかし太君のお母さんに、深々と頭を下げました。 ○子ども達に語りかける。 ○ 皆さん、ここでは、ずる美ちゃんのお父さんの気持ちを考えてみましょう。ずる美ちゃんのお父さんは、よそのお父さん、お母さん、子ども達に謝りながら、どのような気持ちになっているでしょうか。答えてくれる人は、手を挙げて下さい。 ○ 親は、子どもの行動に、責任を持たなくてはいけません。自分の悪い行動で、おうちの人が、謝ったり、相手の人に文句を言われたら、皆さんは、どんな気持ちになりますか。 ○文字を指す。 「やって良いことか 悪いことか 判断する力を持つ」 おうちの人に、迷惑をかけないためにも、やって良いことか、悪いことかをしっかり判断し、正しい行動をとりましょう。 【場面 17】 お巡りさんが、言いました。 ・説明するように 警察官 「四人には、学校が終ったら、警察署に来てもらいます。とりあえず、保護者の方もいらしているので、警察として、今回のそれぞれの行為が、『犯罪になる可能性がある。』ということを説明します。」と前置きをして、言いました。 警察官 「まずは、ヤンキ君だ。」 【場面 18】 ・説明するように 警察官 「注意をして行動すれば、かし太君の怪我は防げたのではないかな。『わざとではない。』と言っても、注意不足で他人に怪我をさせたら、過失傷害罪になることがある。」 ○文字を示す。 「過失傷害罪」 【場面 19】 警察官 「それから、筆箱が人にぶつからなかったとしても、軽犯罪法違反になるんだよ。 ○文字を示す。「軽犯罪法違反」 高いところから、注意もしないで、危ない物、重い物などを投げたら、危険だろう。だから、たとえ人が怪我をしなくても、危ない行為だから、法律で、禁止されているんだ。」 ヤンキ君は、言いました。 ・驚いた様子で ヤンキ 「えー。いけないことだなんて、知りませんでした。」 更に、お巡りさんは、言いました。 【場面 20】 警察官 「もうひとつ、説明するよ。 ○文字を示す。「暴行罪」「器物損壊罪」 先生のネクタイを引っ張る行為は、暴行罪という犯罪だ。頭にきたからと、ロッカーなどを蹴飛ばして壊したり、ガラスを割ったりすれば、器物損壊罪になる。それから、脅かしてやろうと、ナイフなどの危ない物を持ち歩くことも犯罪になるんだよ。」 お巡りさんの説明を聞くと、ヤンキ君は素直な気持ちで言いました。 ・真剣な口調で ヤンキ 「ぼく、これからは、きちんと、やって良いことか、悪いことかを考えて、それから行動します。」 ○文字を指す。「やって良いことか 悪いことか 判断する力を持つ」 警察官 「よし、お巡りさんとの約束だぞ。」 お巡りさんは、そう言うと、次にそそ香ちゃんを見て、言いました。 【場面 21】 ・説明するように 警察官 「次は、そそ香ちゃんに説明するよ。      体当たりすることは、暴力だ。他人に暴力をふるえば、暴行罪。怪我をさせれば、傷害罪になる。暴力をふるうことは、悪いことなんだよ。」 ○文字を示す。「暴行罪」「傷害罪」 ・反省した様子で そそ香 「ごめんなさい。ヤンキ君。痛かったよね。本当にごめんね。もう、友達を、ぶったり、押したり、わざとぶつかったりはしません。」 そそ香ちゃんの言葉を聞くと、更に、お巡りさんは言いました。 【場面 22】 ・説明するように 警察官 「よく、テレビのドラマなどで、中学生や高校生が、正義や友情を守るために、喧嘩や乱闘している場面があるけれど、現実に、そんなことがあったら、警察は、全員を捕まえているよ。当たり前のことだけど、テレビやゲームと、現実を区別すること。どんな理由があっても、暴力は悪いことだ。話し合って、解決できるようにならないといけないよ。」 そそ香ちゃんは、お巡りさんをしっかりと見て、言いました。 ・真剣な口調で そそ香 「はい。これからは、どんなことがあっても、暴力ではなく、話し合います。」  お巡りさんは、 警察官 「よし。約束したよ。」 と言い、次に、ずる美ちゃんを見て言いました。 【場面 23】 ・説明するように 警察官 「次は、ずる美ちゃんに説明するよ。借りた物を返さず、自分の物にしてしまえば、横領罪になる。黙って取れば、窃盗罪。だまして盗れば、詐欺罪。他人の物を、無断で自分の物にしたら、どんな場合も犯罪になるんだよ。」 ○文字を示す。「横領罪」「窃盗罪」「詐欺罪」 ずる美ちゃんは、訴えるような顔をして言いました。 【場面 24】 ・言い訳するように ずる美 「ごめんなさい。でも、『そのまま、もらおう。』という気持ちはありませんでした。信じて下さい。」 すると、ずる美ちゃんのお父さんは、 ・諭すように ずる美父「ずる美。約束を破っていると、そういうことも、信じてもらえなくなるぞ。約束を守っていくことが、回りの人に信用されたり、信頼されることに、つながっていくんだよ。」 と教えました。 ・真剣な口調で ずる美 「はい。これからは、みんなに信じてもらえるよう、絶対に、約束を守ります。」 ずる美ちゃんが言うと、お巡りさんは、 ・優しい口調で 警察官 「ただ、ずる美ちゃんは、嘘をつかないで、『わざと約束を破ったこと。』を正直に話すことができたね。人は、間違えてしまうこともある。そのとき、嘘をつかず、正直に話して、あやまり、反省することは、大事なことだ。良くできたね。」 そう言うと、最後は、かし太君に向かって言いました。 【場面 25】 ・説明するように 警察官 「かし太君、他人の物を隠すことは、器物毀棄罪になる。他人の物を汚したり、破いたりすることも同じだ。持ち主は、いつもどおりに使えないと困るだろう。だから、そういうことは、やってはいけないと法律で決められているんだ。『友達が約束をやぶった』など、理由があっても、悪いことをすれば、それは、自分で責任をとることになるんだよ。」 ○文字を示す。「器物毀棄罪」 ・驚いた様子で かし太 「えっ。僕も、そんなに悪いことをしていたんだ。」 かし太君は、自分は、悪いことはしていないと思っていたので、驚きました。 でも、直ぐに、みんなに向かって言いました。 【場面 26】 ・反省した様子で かし太 「最初に、僕が、ずる美ちゃんと話し合えば、こんなことにならなかったんだ。みんな、ごめんね。」 すると、ヤンキ君が言いました。 ・反省した様子で ヤンキ 「何、言っているんだよ。僕のせいで、かし太君が、怪我をしたんだ。僕が、一番悪いよ。かし太君、それから、先生、ごめんなさい。」 ずる美ちゃんが言いました。 ・反省した様子で ずる美 「一番悪いのは、私だわ。約束を守っていれば、こんなことにならなかった。みんな、ごめんなさい。」 そそ香ちゃんも言いました。 ・反省した様子で そそ香 「私も悪い。仲裁するつもりだったのに、暴力を振るうなんて、仲裁になんてならない。きちんと、話を聞くべきたった。ごめんなさい。」 子ども達の話を聞き、先生が言いました。 【場面 27】 ・教えるように 先生 「お父さんやお母さんは、とても大切なことを三つ教えてくれたよ。 ・やって良いことか、悪いことかを判断する力を持つ。 ・悪いことはしない、悪いことに流されない、強い意思を持つ。 ・他人の気持ちを考えて行動する。 ○文字を指す。 「やって良いことか 悪いことか 判断する力を持つ」 「悪いことはしない 悪いことに流されない 強い意思を持つ」 「他人の気持ちを考えて 行動する」 この三つのことができれば、 ・約束を守る。 ・暴力を振るわない。 ・いじめをしない。 など、いつも正しい行動がとれるし、みんなが、気持ち良く生活を送れる。みんな、この三つのこと、できるかな。」 4人は、先生の顔をしっかり見て言いました。 ・真剣な口調で 児童4人「はい。約束します。」 ・確認するように 先生 「そうか。今、先生と、それから、お父さん、お母さん、お巡りさんとも約束したぞ。しっかり、守っていこう。」 【場面 28】 お巡りさんが、 ・説明するように 警察官 「みんな、反省しているようですが、警察としては、うやむやのまま、終らせることはできません。では、警察署で待っています。」 と言い、相談室から出ようとしたとき、ずっと不思議に思っていたずる美ちゃんが、勇気を出して聞きました。 ・恥ずかしがりながら ずる美 「あのぉ、どおして、お巡りさんが、学校に来たのですか。」 ・説明するように 警察官 「それは、学校が救急車を呼ぶため、119番をしたとき、救急隊の人が、『筆箱を落とされているので、事件の可能性がある。』と、警察署にも連絡をしてくれたからだよ。警察と消防は、街の安全のために、連絡を取り合っているんだ。」 お巡りさんの説明を聞くと、先生が ・呼びかけるように 先生 「では、これから、全員で警察署に行きましょう。お父さん、お母さん、せっかくの機会ですから、子ども達に、やって良いことや、悪いことについて、しっかり教えましょう。」 【おしまい】 こうして、お巡りさんと一緒に、4人とそれぞれのお父さん、お母さん、それに先生も、警察署に向かいました。 これで、「考えよう やって良いこと 悪いこと 教室の中で」の紙芝居はおしまいです。 (時間があるときは、振り返りをしましょう。) ○子ども達に語りかける。 ○ 皆さんも、生活の中で、腹が立ったり、頭にきたりすることがあると思います。どんな理由があっても、暴力は悪いことです。腹が立ったり、頭にきたときは、その場を離れたり、時間を置いたり、深呼吸をしたりして、自分の気持ちが落ち着くのを待ちましょう。 そして、気持ちが落ち着いてから、自分の思いを相手に伝えるなど、話し合いで解決できるようになりましょう。 ○ 今日は、いろいろな行為が法律で禁止されていることを勉強しました。 子どものやった悪い行為を謝る、親の気持ちも想像してみました。 ○ そして、お父さんやお母さんが教えてくれた大切な三つのことも学びました。 いじめや暴力をなくすためにも、これらを常に心がけて、行動していきましょう。 ○文字を指す。 「やって良いことか 悪いことか 判断する力を持つ。」 「悪いことはしない 悪いことに流されない 強い意思を持つ。」 「他人の気持ちを考えて 行動する。」 では、大切なことなので、みんなで声を合わせて読んでみましょう。 ・ やって良いことか、悪いことか、判断する力を持つ。 ・ 悪いことはしない、悪いことに流されない、強い意思を持つ。 ・ 他人の気持ちを考えて行動する。 ○ ありがとうございます。これは、大人になっても、とても大切なことです。しっかりと身につけて、いつでも正しい行動がとれ、他の人に優しくできる、素敵なお兄さん、お姉さんになって下さい。 それでは、これで「考えよう やって良いこと 悪いこと」の勉強をおしまいにします。 おしまい