考えよう やって良いこと 悪いこと ネットの利用。君なら、どうする?どう思う?(中・高校生用) 作:神奈川県警察本部少年育成課 小島久美子 絵:神奈川県警察本部少年育成課 平野洋子 【はじめ】 今日は、「考えよう。やって良いこと、悪いこと。ネットの利用。君なら、どうする?どう思う?」と題し、皆さんと一緒に、携帯電話やゲーム機、パソコンを使ったインターネットの利用の問題について、考えていきたいと思います。 ※授業が始まる前に「やって良いことか、悪いことか、 判断する力を持つ」「他人の気持ちを考えて行「他人の気持ちを考えて行動する」「悪いことはしない、悪いことに流されない、強い意思を持つ」の三枚を黒板に貼る。これから、携帯電話やゲーム機、パソコンを使った行動例などをいくつか紹介しながら問題を出します。 皆さんは、それぞれの行動例から 「そのとき、自分だったらどうするか」や「その場面に遭遇した人の気持ち」について考えたり、それが、 「悪くないこと」か、「悪いこと」か、それとも「悪いことの中でも犯罪になること」かどれに該当するかを判断してください。 行動例が、犯罪に該当する場合は、法律名などについても、簡単に解説します。 皆さんは、この授業の後には、携帯電話やゲーム機、パソコンを使うときの注意点を理解して、「やって良いことか悪いことかを判断する力」が、身につくと思います。 また、「他人の気持ちを考えて行動する」思いやりの心や、「悪いことはしない、悪いことに流されない、強い意思を持つ」ことの大切さについても、再確認できると思います。 しっかりと勉強し、日々の行動の中で生かしていきましょう。 それでは、「考えよう。やって良いこと、悪いこと。ネットの利用。君なら、どうする?どう思う?」の授業を始めます。 ※参加型で行うと効果的です。 ※指導者が、ランダムに二人位を指し回答を求める方法は、生徒にも緊張感が生まれ、集中が続きます。答えられない人には、「ちょっと、難しいかな。」などと声をかけ、打ち切りましょう。 ※全体に「答えてくれる人。」と挙手を求める方法は、学年が上がるほど、特定の生徒しか手を上げず、参加意識が弱まります。 【場面 1】 問題です。 場面の説明 「ネットショッピングの会員募集!先着会員五〇名様に、最新デジカメプレゼント。」という広告がありました。ショッピングをするつもりはないけれど、登録をすれば、デジカメがもらえるかもしれないと思い、携帯番号、メルアドの他、氏名、住所、家の電話番号、学校名などを入力し、会員登録をしました。 質問 これは、「悪くないこと」「悪いこと」「悪いことの中でも犯罪になること」のどれに該当するでしょうか。 ○ 数名に聞く。又は、全員に挙手を求める。 解説 これは、「悪いこと」に該当する場合があります。返信先は、信用できる相手でしょうか。もしかしたら、相手は、皆さんの個人情報を盗むことが目的かもしれません。 質問 では、個人情報が盗まれたら、どうような被害に遭うと思いますか。 ○ 数名に聞く。 【場面 2】 解説 個人情報である、名前や住所、電話番号を入力したことで、自宅に、有害な郵便物や架空請求が届くようになったり、人が押しかけてきたり、ストーカーの被害者に遭ったりと、様々な被害やトラブルに巻き込まれる可能性があります。また、みなさんの留守を見計らい、電話で親に「お宅の○○君が、自転車でぶつかってきて、百万円の腕時計が壊れた。今すぐ、お金を振り込め。直ぐに振り込まないと、警察に訴えるぞ。」などと言い、振り込め詐欺のターゲットにされてしまうこともあります。 他にも、メールアドレスを入力したことで、迷惑メールに悩まされる可能性があります。迷惑メールとは、皆さんの意思とは関係なく、違法な商品の宣伝や、出会い系サイトの勧誘など、トラブルに発展するような内容のメールです。それが、毎日、多量に送信されてきます。迷惑メールに返信すると、相手に「有効なアドレスだ。」と教えることになり、更に、新たな迷惑メールが送られてきます。アドレスを変更したり、無視をしましょう。 一度、盗まれたり、流出した個人情報は、インターネットの中でコピーが繰り返されてしまうと、取戻すことは不可能です。インターネットの掲示板や、自分のホームページはもちろん、街中でのアンケートやお店の会員登録などにも、十分、注意しましょう。個人情報の登録は、相手の信頼度をチェックしてからでないと、大変、危険です。 「書き込んでも大丈夫か、危険か」について、判断する力を持ちましょう。 【指す】 「やって良いことか、悪いことか、判断する力を持つ」 【参考】 ・ 信頼度チェックは、企業が個人情報の取り扱い指針をまとめた「プライバシーポリシー」や「セキュリティポリシー」の有無を確かめる方法などがあります。 【場面 3】 問題です。 場面の説明 フィルタリングがされていない携帯電話やパソコンは、いわゆる有害サイトにもアクセスすることができます。 質問 では、中学生が、フィルタリングがされていれば、おそらく見ることができないアダルトサイトに行き、画面を見ました。これは、「悪くないこと」「悪いこと」「悪いことの中でも犯罪になること」のどれに該当するでしょうか。 ○ 数名に聞く。又は、全員に挙手を求める。解説これは、法律違反ではないし、他人に迷惑をかけるマナー違反でもありませんが、「悪いこと」だと理解して下さい。その理由を説明します。大人は、子ども達に、成長に合った内容の物を見たり聞いたりし、健やかに成長して欲しいと願っています。そのため、法律などで、「性を商品として扱っているような本やDVDなどは、子どもに売ってはいけない。」とか、「子どもを不健全な場所へ立ち入らせてはいけない。」などと規制をし、子ども達を有害な環境や情報から守っています。フィルタリングがされてなく、見ることのできる状態でも、自分から、あえて、年齢にふさわしくない物を見るのは「自分自身にとって、有害なこと」なので、「悪いことである」と、理解してください。興味があっても、自制心、がまんする力が大切です。「悪いことはしない、悪いことに流されない、強い意思」を持ちましょう。 【指す】 「悪いことはしない、悪いことに流されない、強い意思を持つ」 また、アダルトサイトなどに、不用意にアクセスすることで、料金を請求されることがあります。それが、正規な請求か、不正な請求か分からず、トラブルに巻き込まれてしまうことも、多くあります。 家族と話し合い、皆さんが利用する携帯電話やパソコンには、フィルタリングをきちんとかけましょう。 【場面 4】 問題です。 場面の説明 ゲームサイトの自分のアバターに素敵な衣装を着せたいのですが、通貨が足りません。そのとき、ゲーム仲間から、「ゴールドをプレゼントするよ。だから、君の裸の写メを送って。」と頼まれました。写メを送る相手は、ネットのゲーム仲間で、どこの誰かは、分かりません。だから、少し恥ずかしいけど、「どうせ、会うわけではないから良いかなぁ。」と思いました。 問題 皆さんだったら、こういうとき、どうしますか。 ○ 数名に聞く。 問題 では、「自分の裸の写メを送ること。」これは、「悪くないこと」「悪いこと」「悪いことの中でも犯罪になること」のどれに該当するでしょうか。 ○ 数名に聞く。又は、全員に挙手を求める。 解説 これは「悪いこと」です。 【示す】 「児童買春・児童ポルノ法違反」 場合によっては、自分の裸の写真を渡しているので、いわゆる「児童買春、児童ポルノ法」の「児童ポルノ提供」という犯罪になることがあります。また、「犯罪になる。」「犯罪にならない。」ということだけで、判断してはいけません。この場合、相手が、受け取った画像を自分だけの物にするとは限りません。その画像が、インターネット上に流れてしまえば、コピーが繰り返され、完全に消去することは非常に難しくなってしまいます。自分の裸がネット上に載ってしまえば、生涯、その画像に怯えることにもなりかねません。また、顔だけの写メでも、パソコンで加工されて、思いもよらない写真になって、ネツト上に流れてしまうこともあるのです。行動を起す前に、自分の行動が、どのような結果になるかを考え、やって良いことか悪いことかを判断しましょう。 【指す】 「やって良いことか、悪いことか、 判断する力を持つ」 【参考】 ・ 児童ポルノ提供 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(いわゆる「児童買春・児童ポルノ法」)第七条第一項 児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電子通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識できる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。 【場面 5】 解説 ここまで、アダルトサイトや裸の写真の話をしたので、話がそれますが、男女の性の違いについて説明します。 中学生になると、男女とも、異性に関心が高くなってきます。これは、成長の過程で、当然のことです。 一般的な話で、個人差はありますが、 ・ 女子の場合は、彼氏と一緒にいて、会話を楽しんだりすることで欲求は満たされ、性的接触を持ちたいという欲求は、すぐには起こらないと言われています。 ・ 男子の場合は、異性への関心が、接近欲、接触欲など、ストレートな気持ちにつながりやすいと言われています。 自分がこうだから相手もそうだろうと早合点すると、お互いに傷つけあう結果になってしまいます。 女子は、男子の特性について理解し、自分の服装や言動に注意するとともに、いやなことは、はっきり「ノー」と意思表示しましょう。男子は、自分自身をコントロールする力を持ち、相手の気持ちを尊重し、責任ある態度でのぞみましょう。女子には、理解できないことですが、一般的に、男子は、特定の女子というより、「女の人のからだを見たい。」という欲求を持ちます。このような欲求を持つことは、男子の特性で、自然なことです。 【場面 6】 では、「犯罪になるか」「犯罪にならないか」の問題です。 問題 欲求が抑えられず、近所の家で、お風呂に入っているお姉さんを窓からのぞいた。これは、犯罪になるでしようか。犯罪にはならないでしょうか。 ○ 数名に聞く。又は、全員に挙手を求める。 解説 これは、「軽犯罪法」の「のぞき見」という犯罪になります。また、他人の敷地内に入っているので、刑法の「住居侵入罪」という犯罪にもなります。 【示す】 「軽犯罪法違反」「住居侵入罪」 問題 では、このとき、のぞかれたお姉さんは、どんな気持ちになるでしょうか。 ○ 数名に聞く。 解説 ショックを受ける人もいれば、強い怒りを感じる人など、さまざまだと思います。女子の中には、このような被害で、はずかしさから、「家から出られなくなってしまう人もいる。」ということを知って下さい。 【参考】 ・ 軽犯罪法 第一条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留または科料に処する。 ・ のぞき見 軽犯罪法第一条第二三号 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣室、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者 ・ 住居侵入罪 刑法第一三〇条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。 【場面 7】 では、もう一問、「犯罪になるか」「犯罪にならないか」の問題です。 問題 ちょっと触ってみたいと思い、街ですれちがった女子の胸を「ポン」と軽く叩きました。これは、犯罪になるでしようか。犯罪にはならないでしょうか。 ○ 数名に聞く。又は、全員に挙手を求める。 解説 犯罪になります。 刑法の「暴行罪」や「迷惑防止条例」の「卑わい行為の禁止」という犯罪になります。状況によっては、刑罰の重い、刑法の「強制わいせつ罪」という犯罪になることもあります。 【示す】 「暴行罪」「迷惑防止条例違反」「強制わいせつ罪」 この様な事案でも、男性不信になり、街を一人では出歩けなくなってしまう人がいます。 「被害者の気持ち」つまり「他人の気持ちを考えて行動する」自制心を持ちましょう。 【指す】 「他人の気持ちを考えて行動する」 一時の感情や衝動で行動せず、また、商品として作られた写真や動画と現実を、しっかりと区別することも大切です。そして、「やって良いことか、悪いことかを判断」し、自分自身をしっかりコントロールして、「悪いことはしない、悪いことに流されない、強い意思」を持ちましょう。 【指す】 「やって良いことか、悪いことか、 判断する力を持つ」「悪いことはしない、悪いことに流されない、強い意思を持つ」 【参考】 ・ 暴行 刑法二〇八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三〇万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。 ・ 卑わい行為の禁止 神奈川県迷惑防止条例第三条第一項 衣類その他の身につける物の上から、又は直接に人の身体に触れること。(一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。) ・ 強制わいせつ罪 刑法第一七六条 一三歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上一〇年以下の懲役に処する。一三歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。 【場面 8】 問題です。 場面の説明 家のパソコンを開いたら、心当たりのないメールが来ていて「おめでとう。ワクワク、ドキドキのお宝をプレゼント!今すぐ、クリック」と書き込まれていました。 質問 皆さんだったら、メールを開けて、内容を確認しますか。それとも、無視をしますか。 ○ 数名に聞く。又は、全員に挙手を求める。 解説 知らない人からのメールは、十分に注意することが必要です。どうしても内容を確認したいときは、大人に相談しましょう。 質問 では、何故、注意しなくてはいけないのでしょうか。 ○ 数名に聞く。 解説 そのメールには、コンピューターウイルスが入っているかもしれません。 【場面 9】 解説 コンピューターウイルスは、感染すると、直ぐに、そのパソコンを使えなくしてしまう場合があります。逆に、しばらくしてから、勝手に動き出し、何の操作もしていないのに、パソコンにメール登録してある友達に、勝手にウィルスが入っているメールを送って、友達のパソコンまで使えなくしてしまう場合もあります。 以前は、技術を誇示するかのように、突然、パソコンが使えなくなるようなウイルスが主流でしたが、最近のウイルスは「見えない化」が進んでいて、  ・ウイルスに感染しているかどうか、見えない。  ・どの情報が盗まれたか、見えない。  ・どこに情報が流れているか、見えない。 という現状があります。 そのほか、ワンクリック詐欺と呼ばれていますが、クリックしてメールを開けたことで、多額の料金を請求されるというトラブルに遭うこともあります。 ワンクリック詐欺に遭った場合は、料金を払ってはいけないし、自分の個人情報を知らせることも、やってはいけません。脅迫的な文章になってきたり、裁判所や弁護士を装ってくることもあります。心配なときは、大人に相談しましょう。 このように、知らない人からのメールを開けることで、トラブルに巻き込まれたり、友達に迷惑をかけたり、また、不安な思いをすることにもなりかねません。 好奇心をそそるような言葉で送られてきますが、心当たりのないメールは、開けてはいけません。そのまま、削除をしましょう。また、ウイルスが潜んでいる掲示板もあります。 アクセスしても大丈夫か、危険かを、しっかりと判断しましょう。 【指す】 「やって良いことか、悪いことか、 判断する力を持つ」 【場面 10】 問題です。 場面の説明 塾の友達、大勢で、2人組を作り、バスケットのシュートの数を競い合って遊んでいたとき、自分と友達が、ダントツで一番になりました。そのことが、とてもうれしく、ネットの掲示板に「俺ら、○○町では最強!勝負してやってもいいぜ!」と書き込み、写メを貼り付けました。 問題 このような書き込みを見た、事情の知らない人は、どのように思うでしょうか。 ○ 数名に聞く。 問題 では、このような書き込みをすることは、「悪くないこと」「悪いこと」「悪いことの中でも犯罪になること」のどれに該当するでしょうか。 ○ 数名に聞く。又は、全員に挙手を求める。 解説 これは、「悪いこと」です。 「生意気なことを書き込んでいる。」と感じ、「自分たちが最強と言うなら、ケンカで、どっちが強いか勝負しよう。」と、思う人がいるかもしれません。これまで、「自分たちが最強。」「勝負する。」などと、相手を挑発するような書き込みが原因で、ケンカに発展し、仲間が怪我をしたり、大勢の生徒が、警察に捕まるという事案が、実際に起きています。 掲示板への書き込みや、プロフ、リアルなどは、全て、情報の発信であり、そこには、発信者としての責任が伴います。誤解されるような書き込みが原因で、多くの友達に迷惑をかけたり、自分たちが、非行、被害に巻き込まれないよう、書き込みの内容には、十分注意しましょう。書き込む前に、先のことも想像して「書き込んでも良い内容か、悪い内容かを判断」しましょう。 【指す】 「やって良いことか、悪いことか、 判断する力を持つ」 【場面 11】 解説 また、写メを貼り付けたことで、全く知らない人にも、自分の存在を知られます。生意気なことを書き込んだなどと、言いがかりをつけられ、街で会った不良に絡まれて、思わぬ被害にあうことがあります。また、女子は、写メを貼り付けたことで、ストーカーや性被害に遭う可能性があります。自分の住所や名前、学校名、顔写真をネット上に公開することは、やめましょう。リアルタイムに、今、何処で、何をしているかなどを書き込むことも、危険です。書き込んだ情報は、「良い人」や「知ってもらいたい友達」だけが見るのではなく、「悪い人も見ている。」ということも念頭に入れ、書き込む内容には、十分注意しましょう。 【場面 12】 問題です。 場面の説明 クラスの子が、威張ったり、自慢話をするので、頭にきてしまいました。だから、掲示板に、その子の実名をあげ「バカだと思わない。学校に来なきゃいいのに。」「ムカつく。」などと、何度か書き込みました。 問題 悪口を書き込むことは、「悪くないこと」「悪いこと」「悪いことの中でも犯罪になること」のどれに該当するでしょうか。 ○ 数名に聞く。又は、全員に挙手を求める。 解説 悪口を書き込むことは、「悪いこと」です。書き込みの内容によっては、大きなトラブルになったり、刑法の「名誉毀損罪」、「脅迫罪」などの犯罪になることがあります。また、そのことが原因で心の病気にさせた場合は、刑法の「傷害罪」という犯罪になることもあるのです。 【示す】 「名誉毀損罪」「脅迫罪」「傷害罪」 インターネットは、完全な匿名社会ではありません。警察が、犯罪として捜査をすれば、書き込んだ人を特定することができます。「犯罪になる。」「犯罪にならない。」ということだけでなく、書き込む前に、「自分がされたら、嫌ではないか。」など、自分のことに置き換えて考えてみましょう。とても辛い思いをしていても、言葉や態度に表せない人もいます。「相手の気持ち」つまり「他人の気持ちを考えて、行動する」ことができる、思いやりの心を持ちましょう。 【指す】 「他人の気持ちを考えて行動する」 【参考】 ・ 名誉毀損罪 刑法第二三〇条第一項 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損したものは、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。 ・ 脅迫罪 刑法第二二二条第一項 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。 ・ 傷害罪 刑法第二〇四条 人の身体を傷害した者は、一五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 【場面 13】 問題 では、悪口を書き込んだことが原因で、その人が学校に来なくなってしまったら、「学校に来なきゃいいのに。」と書き込んだ人は、どう思うでしょう。 ○ 数名に聞く。 解説 言葉では言えなくても、心の中では、「どうしよう。」「かわいそうなことをしてしまった。」などと、後悔しているかもしれませんね。ネットの書き込みは、文字だけなので、感情がつかめません。例えば、軽い気持ちで「ムカつく。」と書いたつもりでも、読んだ人は、真剣に怒りをこめた「ムカつく。」と読み取るかもしれません。書き込みは、「相手が、どのように感じるか。」ということも考えましょう。 ※「ムカつく。」を口調を変えて読む。 ・前は「明るい声」で。 ・後は「低く強い声」で。 問題 では、悪口を書き込んだ人が、「あいつ、本当に学校に来なくなった。ヤッター。」と喜んでいたとします。そのようなとき、皆さんは、「喜んでいる人」のことをどのように思いますか。 ○ 数名に聞く。 解説 相手を傷つけたり、苦しませて、それを喜ぶ人は、心が貧しい人です。友達の中には、他人に不愉快な思いをさせていると気付かず、話をしている人もいます。そのようなとき、私たち人間には、言葉があります。言葉を使って話し合うことで、お互いの気持ちを考え、理解し、問題を解決することができるようになりましょう。また、友達の短所ばかりに目を向けず、長所、良いところを見つけ、それを認めて、尊重することができるようになりましょう。そうすると、より良い人間関係が築け、また、新しい発見もあります。 【場面 14】 問題 では、学校に行けなくなった人は、どのような思いでいるでしょうか。 ○ 数名に聞く。 解説 悲しかったり、頭にきたりと、感じ方は違うと思いますが、知らないところで、自分の悪口を言われて、何とも思わない人はいないでしょう。 問題 友達に悪口を言われたり、誤解をされて、辛いときなどは、どのようにしたらいいでしょうか。 ○ 数名に聞く。 解説 悩みのあるときや、辛いことがあるときは、一人きりで悩んだり、苦しんだりせず、必ず、周りの誰かに相談しましょう。悩みがあるとき、仲の良い友達に相談する人が多いと思いますが、解決の糸口が見つからないときは、おうちの人や先生、専門の相談機関など、信頼できる大人を頼って下さい。教育委員会や役所、警察など、公的機関が行っている電話相談は、匿名で相談することもできます。そこには、きっと、分かってくれる人がいるはずです。大人は、皆さんが、元気に健やかに生活することを一番に願っています。辛いときは、決して、一人では、抱え込まないで下さい。 問題 この場面で、もう一問、親の気持ちについて、質問します。 悪口を書き込まれたことが原因で、学校に行くことが嫌になってしまった子どものお父さん、お母さんは、「学校に来なきゃいいのに。」と書き込んだ人のことをどう思うでしょう。 皆さんが、お父さん、お母さんだったら、どう思いますか。 ○ 数名に聞く。 解説 親は、自分の子どもが、とても大切です。 苦しんでいる我が子を見ながら、書き込んだ子に対し、「何故、こんな酷いことをしたんだ。」「訴えてやりたい。」等と思っていることもあり、実際に、警察に相談に来ることもあります。 「犯罪になる。」「犯罪にならない。」ということだけでなく、みんなが、楽しく、気持ちよく生活できるよう、「やって良いことか、悪いことかを判断」し、「自分がやられて嫌なことはしない。」「相手を傷つけることはしない。」ことに心がけ、「相手の気持ち」つまり「他人の気持ちを考えて行動」できるようになりましょう。 【指す】 「やって良いことか、悪いことか、 判断する力を持つ」「他人の気持ちを考えて行動する」 【まとめ】 皆さん、どうでしたか。 携帯電話やゲーム機、パソコンは、とても便利で、手軽に使えますが、軽はずみな使い方をすると、危険なワナにはまって被害者となったり、書き込む内容によって、加害者になることもある、ということが理解できたと思います。また、ネットへの書き込みは、全て、情報の発信であり、そこには、発信者としての責任が伴います。ネット利用者としての責任を自覚し、いろいろなルールやマナーを守って、正しい使い方をすることが大切です。書き込む前に、自分の行動が、どのような結果になるかをよく想像し、「書き込んでも良い内容か、悪い内容か」を判断しましょう。また、「アクセスして良いか、悪いか」を判断しましょう。 【指す】 「やって良いことか、悪いことか、 判断する力を持つ」 また、この勉強を通して、被害者や友達など、「他人の気持ちを考えて行動する」思いやりの心、優しい心の大切さについて、再確認ができたと思います。 「他人の気持ちを考えて行動する」 悪いことをしそうになったとき、悪い方向に流されそうになったときは、一旦、立ち止まり、もし、自分が悪いことをしたらどうなるか、次のことを想像してみましょう。 ・ もし、自分が相手の立場だったら、どのような思いをするのだろうか。 ・ おうちの人は、どのような気持ちになるだろうか。 ・ 友達は、自分のことをどのように思うだろうか。 まわりの人に、つらい思いや悲しい思いをさせないためにも、自分を大切にするためにも、「悪いことはしない、悪いことに流されない、強い意思」を持ち、自分自身をコントロールして下さい。 「悪いことはしない、悪いことに流されない、強い意思を持つ」 三つの大切なこと ・ やって良いことか、悪いことかを判断する力を持つ。 ・ 他人の気持ちを考えて行動する。 ・ 悪いことはしない、悪いことに流されない、強い意思を持つ。 これらは、人として、とても大切なことです。ぜひ、考える力や思いやりの心をしっかり身につけ、素敵な大人に成長して欲しいと願っています。 【はじめの画面に戻る】 それでは、これで、「考えよう。やって良いこと、悪いこと。ネット利用。君なら、どうする?どう思う?」の授業をおしまいにします。 おしまい