考えよう やって良いこと 悪いこと 君なら、どうする?どう思う?【小学生(高学年)・中学生用】 作:神奈川県警察本部少年育成課 小島久美子 絵:神奈川県警察本部少年育成課 平野洋子 ※授業が始まる前に「やって良いことか、悪いことか、 判断する力を持つ」「他人の気持ちを考えて行動する」「悪いことはしない、悪いことに流されない、強い意思を持つ」の三枚を黒板に貼る。 【 はじめ 】 今日は、「考えよう やって良いこと 悪いこと 君なら、どうする? どう思う?」と題し、皆さんに、「他人の気持ちを考えて行動する大切さ」を再確認してもらい、「悪いことはしない、悪いことに流されない、強い意思」を持ってもらおうと、やってきました。 これから、十の行動例を紹介します。皆さんは、それぞれの行動例から「そのとき、自分だったらどうするか」や「その場面の人の気持ち」などについて、考えてください。 それぞれの行動例が、犯罪に該当する場合は、法律名などについても、簡単に解説します。 【指す】「やって良いことか、悪いことか、 判断する力を持つ」「他人の気持ちを考えて行動する」「悪いことはしない、悪いことに流されない、強い意思を持つ」 皆さんは、この授業の後には、「やって良いことか悪いことかを判断する力」がつき、「他人の気持ちを考えて行動する」ことのできる思いやりの心や「悪いことはしない、悪いことに流されない、強い意思を持つ」ことの大切さについても、再確認できると思います。 しっかり学び、日々の行動の中で生かしていきましょう。 それでは、「考えよう やって良いこと 悪いこと 君なら、どうする? どう思う?」の授業を始めます。 注目 問題を読み、問いかけたら、 ・数名に聞く。 ・全員に、挙手を求める。 等の方法で、参加型の授業にすると効果的です。 【場面 1】 第1問です。 場面の説明 グリーン君とあお吉君が一緒にゲームをしていました。そのとき、グリーン君はあお吉君に言いました。「このゲームソフト、僕が万引きしてきた物なんだ。あお吉君も一緒にゲームをやったんだから、今度はあお吉君が万引きしてきてよ。あお吉君は使うばっかりで、新しいのを持ってこないのは、ずるいぞ。万引きぐらい、平気だよ。あの店なら店員も少ないから成功するよ。」 質問 皆さんがあお吉君だとしたら、グリーン君に「今度は、万引きしてきてよ。」と言われたとき、万引きをしますか。それとも、断りますか。 ○ 数名に聞く。又は、全員に挙手を求める。 解説 万引きは、悪いことなので、断らなくてはいけません。 質問 では、どのように断りますか。何人かに聞いてみましょう。 ○ 数名に聞く。 解説 断り方の良い例は、「僕はやらないよ。」と、冷静に自分の意思をはっきり伝えることです。断り方の悪い例は、「えー。どうしよう。やだなぁ。」と優柔不断な言い方をすることです。悪いことを誘われたら、「自分はやらない。」という自分の意思をはっきり伝えることができるようになりましょう。 質問 グリーン君はあお吉君に「万引きしてこいよ。」と言いました。では、この後、あお吉君が、本当に万引きしたら、お店に行かなかったグリーン君は、「犯罪を犯したことになる」でしょうか。それとも、「犯罪にはならない」でしょうか。 ○ 数名に聞く。又は、全員に挙手を求める。 【示す】「窃盗の共犯」 解説 窃盗の共犯(教唆)になります。万引きを頼んだり、命令して友達に万引きをさせたら「冗談」では済みません。お店に行かなくても、万引きしたことになります。 質問 では、何故、お店に行っていないのに、共犯になるのでしょうか。 ○ 数名に聞く。 解説 お店の立場で考えてみましょう。万引きを頼む人がいるから、頼まれた人が万引きして、お店は被害を受ける。つまり、万引きを頼む人がいなければ、お店は、万引きはされず、被害を受けずに済みます。だから、万引きした人は、もちろん、万引きを頼んだ人も、「万引きした。」「犯罪を犯した。」ということになるのです。 【参考】 ・教唆 刑法第六十一条 第一項 人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科す。 【場面 2】 第二問です。 質問 友達に、「万引きするから、見つからないよう、側にいて。」と頼まれました。もし、皆さんが、友達に頼まれたら、見つからないよう、一緒に行ってあげますか。それとも、断りますか。 ○ 数名に聞く。又は、全員に挙手を求める。 解説 第一問と同じですね。万引きは、悪いことなので、断らなくてはいけません。繰り返しますが、悪いことを誘われたら、「自分はやらない。」「係らない。」という、自分の意思をはっきり伝えることができるようになりましょう。それから、友達に、万引きをやめさせるため、注意をすることも大切です。 質問 では、皆さんだったら、どのように注意しますか。 ○ 数名に聞く。 解説 悪いことは、「ダメだよ。」「やってはいけないよ。」などと、注意し合えるのが、本当の友達です。「万引きは、犯罪だよ。」「他人に迷惑をかけてはダメだよ。」などと注意をし、悪いことは、止めるよう言いましょう。どうしても、自分で注意ができないときは、早く悪いことをやめさせるため、先生や家の人に話をすることも、一つの方法です。 問題 では、この場面で、もう一問、質問します。万引きをする友達の側にいることは、嫌だったのですが、「友達だから、近くで万引きがバレないよう、周りを見てあげよう。でも、万引きした物をもらったり、借りたりは絶対にしない。」と決め、側にいました。この場合、側にいた人は、「犯罪を犯したことになる」でしょうか。それとも、「犯罪にはならない」でしょうか。 ○ 数名に聞く。又は全員に挙手を求める。 【示す】「窃盗の共犯」 解説 窃盗の共犯(幇助)になります。万引きをする人は、「友達が、自分の近くで万引きがバレないよう、見ている。」というだけで、気持ちが大きくなります。近くにいる人は、それだけで、「犯罪を犯すことを手伝っている。」ということになるのです。 【指す】「やって良いことか、悪いことか、 判断する力を持つ」 「やって良いことか、悪いことかを判断」し、正しい行動をとりましょう。 【参考】 ・幇助 刑法第六二条 第一項 正犯を幇助した者は、従犯とする。 ・従犯軽減 刑法第六三条 従犯の刑は、正犯の刑を軽減する。 【場面 3】 第三問です。 問題 では、万引きした人を捕まえた、お店の人の気持ちを考えてみましょう。もし、皆さんが、お店の経営者で、万引きした子どもを捕まえたとしたら、どのように思いますか。 ○ 数名に聞く。 解説 「何故、こんなことをするんだ。」とか、「万引きしやすい店と思われているのだろうか。」など、怒りや不安な気持ちでいるかもしれません。 では、続いて、第四問です。 問題 万引きについて、もう一問、考えてみましょう。ここでは、お店は、一つの商品を売ると、何割が利益になるかを考えてみましょう。どのお店でも、値段の変わらない、「本」の場合で質問します。本を1冊売ると、何割が利益になると思いますか。 ○ 数名に聞く。 【場面 4】 解説 本は、仕入れ値が八割、お店の利益は二割です。 問題 では、利益の中から捻出しなくてはならない、お店を経営するために必要な経費には、どのようなものがあるでしょう。 ○ 数名に聞く。 解説 お店を経営するためには、商品の仕入れるための経費のほか、人件費、家賃、光熱費等が必要です。本屋さんは、二割の利益から、お店を経営するための人件費、家賃、光熱費などを支払い、その残りが、実際の収益になるのです。一冊の本を万引きされた場合、その損害を回復するには、人件費、家賃、光熱費が、全く必要ないと考えても、四冊、売る必要があり、四冊売れても、利益はゼロです。お金を出して仕入れてきた大切な商品を万引きされて、お金がお店に入らず、支払いができなくなり、潰れてしまうお店もあります。万引きは、お店の人の仕事や生活を奪ってしまう、とっても悪いことなのです。一生懸命、働き、お店を守り、家族を支えているお店の人の気持ちを考えてみましょう。 【指す】「他人の気持ちを考えて行動する」「悪いことはしない、悪いことに流されない、強い意思を持つ」 「お店の人の気持ち」、つまり「他人の気持ちを考えて行動する」ことができるようになりましょう。 そして、「悪いことはしない、悪いことに流されない、強い意思」を持ちましょう。 【参考】 ※ 本は、仕入れ値が八割の場合が多いが、商品によって仕入れ値の割合は異なる。 ・ 窃盗 刑法第二三五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 【場面 5】 第五問です。 場面の説明 自分の自転車が盗まれてしまい、友達と遊ぶときなど、とても不便でした。いつも遊んでいる友達と、買い物に行くことになったとき、友達が「この自転車、あげるよ。鍵が刺さったままだったから、持ってきたんだ。」と言いました。 問題 自分の自転車がなく、不便な思いをしていたとき、友達に、「盗んできた自転車、あげるよ。」と言われたら、どうしますか。 ○ 数名に聞く。 解説 自転車置き場などには、沢山の自転車が止まっています。当然ですが、その全ての自転車には、それぞれ、持ち主がいます。ですから、自転車を盗めば、その持ち主は、とても困り、不便になります。持ち主の気持ちを考えたら、「もらってはいけない。」ということは分かりますね。 【指す】「他人の気持ちを考えて行動する」 「持ち主の気持ち」つまり「他人の気持ちを考えて行動」しましょう。 問題 では、友達が盗んできた自転車をもらうことは、「犯罪になる」でしょうか。それとも、「犯罪にはならない」でしょうか。 ○ 数名に聞く。又は、全員に挙手を求める。 【示す】「盗品無償譲受け罪」「盗品有償譲受け罪」 解説 刑法の盗品無償譲受け罪という犯罪になります。同じように、友達が万引きした物などを買うことは、刑法の盗品有償譲受け罪という犯罪になります。 問題 では、何故、自分が盗んだ訳ではないのに、犯罪になるのでしょうか。 ○ 数名に聞く。 解説 持ち主の財産が、侵されているからです。持ち主の気持ちになって、考えてみましょう。もし、皆さんが大切にしているゲーム機などが、盗まれたとします。盗んだ人が、「これ、どうせ盗んだ物だから、あげるよ。」と他の人にあげました。そうすると、皆さんの大切な物は、人から人へと渡り、自分のところには、返ってきません。皆さん、そんなことになっても良いですか。持ち主の財産を守るため、盗むことも、盗んだ物をもらうことも、それを買い取ることも、それを預かることも、犯罪になるのです。 【参考】 ・ 盗品譲受け等 刑法第二五六条 第一項 盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、三年以下の懲役に処する。 第二項 前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 ※ 犯罪が成立するためには、盗品等であるという認識(未必的で可)が必要である。 【場面 6】 第六問です。 場面の説明 あお吉君の家で遊んだいたとき、グリーン君は、あお吉君に「このゲームソフト、一日だけ、貸して。」と頼みました。あお吉君は「まだ、セーブしてないけど、一日だけなら良いよ。」と言い、貸しました。とても楽しかったので、グリーン君は、あと二〜三日、借りたいと思いました。 問題 皆さんが、グリーン君のように、もう少しの期間、借りたくなったらどうしますか。 ○ 数名に聞く。 解説 いろいろな方法があります。その中で、「約束を守る。」ということは、とても大切なことです。友達の気持ちを考えてみましょう。自分が遊びたいところを我慢して一日貸しています。その友達の親切な気持ちを裏切ることにならないかを考えましょう。友達の中には、はっきり「嫌だ。今日中に返して。」と言える人もいれば、本当は返して欲しいけれど、頼まれたら断れないタイプの人もいます。 【指す】「他人の気持ちを考えて行動する」 「友達の気持ち」つまり「他人の気持ちを考えて行動する」ことのできる、思いやりの心を持ちましょう。 問題 では、黙って、借り続けることは良いことでしょうか。悪いことでしょうか。 ○ 数名に聞く。 解説 これは、悪いことです。たとえ少しの間でも、黙って借り続ければ、友達は、「盗られた。」と思うかもしれません。自分は、もう少しの期間、借りるだけのつもりでも、「ドロボウ扱い」されてしまうこともあります。ドロボウ扱いされる自分も、自分のことを「ドロボウ」と思う友達も、お互い、辛く悲しく、また、不愉快な思いをします。お互い、楽しく気持ち良い日々を送るため、約束を守り、社会のルールやマナー、モラルを守りましょう。 【場面 7】 第七問です。 場面の説明 グリーン君は、1日だけの約束でゲームを借りましたが、とても楽しかったので、あお吉君に「返して。」と言われても、いろいろと理由を言って、り続け、一週間後に返しました。あお吉君は、グリーン君とは友達なので、その間は、我慢をしていました。そして、今度は、あお吉君がグリーン君の家で遊んでいたときのことです。あお吉君は、グリーン君のゲームが楽しそうだったので、「今だけでいいから、貸して。」と頼みました。でも、グリーン君に、「嫌だ。」と断られました。 問題 前回は、延長して、一週間も貸したのに、今回は、貸してもらえません。こんなとき、皆さんだったら、どうしますか。 ○ 数名に聞く。 解説 いろいろな方法があります。その中で、「がまんをする。」ということは、とても大切なことです。世の中には、思い通りにならないこと、理不尽なことは、沢山あります。そういうとき、「がまんをする。」「諦める。」ことも大切です。 【指す】「悪いことはしない、悪いことに流されない、強い意思を持つ」 がまんのできる心を育て「悪いことはしない、悪いことに流されない、強い意思」を持ちましょう。 【場面 8】 第八問です。 場面の説明 この前、延長して、一週間も貸したのに、今回は、「今だけでいいから、貸して。」と頼んだのに、「嫌だ。」と断られたので、あお吉君は、頭にきて「いじわる。」と言い、グリーン君を押しました。 問題 この位のことなら、良いでしょうか。それとも、暴力なのでいけないでしょうか。 ○ 数名に聞く。又は、全員に挙手を求める。 解説 これは、いけないことです。どんな理由があっても、他人をぶったり、蹴ったり、押したりすることは、暴力で悪いことです。 問題 では、友達を押したことは、悪いことの中でも「犯罪になる」でしょうか。それとも、「犯罪にはならない」でしょうか。 ○ 数名に聞く。又は、全員に挙手を求める。 解説 答えは、犯罪になることがあります。暴力を振るえば、刑法の暴行罪、怪我をさせたら、刑法の傷害罪という犯罪になることがあります。 【示す】「暴行罪」「傷害罪」 また、頭にきたからと、物を壊すことも、犯罪になることがあります。友達が約束をやぶったとか、嘘をついたとか、いじわるをしたとか、いろいろな理由があっても、暴力を振るったり、物を壊したりすることは、絶対にしてはいけません。どんなに、腹が立っても、頭にきても、自分は「悪いことはしない、強い意思」を持ちましょう。【指す】「悪いことはしない、悪いことに流されない、強い意思を持つ」 テレビの学園ドラマなどでは、中学生や高校生の喧嘩や乱闘シーンなどがあります。そこには、正義や友情などを守るための暴力であることもありますが、理由はなんであれ、喧嘩や乱闘は、警察に捕まる犯罪です。「ドラマ」や「ゲーム」など架空の世界と「現実」をしっかり区別しましょう。 【参考】 ※ 事件にするか否かは、程度や状況、被害者感情などから、総合的に判断する。 ・ 暴行 刑法二〇八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三〇万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。 ・ 傷害 刑法第二〇四条 人の身体を傷害した者は、一五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金若しくは科料に処する。 ・ 器物損壊等 刑法第二六一条 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。 【場面 9】 第九問です。 問題 ふざけて、4階の教室の窓から、定規を落としました。そうしたら、下で花壇の手入れをしていた生徒に当たり、額が切れて怪我をしました。ふざけて定規を落とした人は、怪我した生徒に対して、どのような思いを持つでしょうか。 ○ 数名に聞く。 解説 「何故、そこに居たんだ。」などと驚いたり、「大変なことをしてしまった。」「どしうよう。」「ごめんなさい。」と、ふざけてやったことを後悔しているかもしれません。でも、全く関係のない人の額に怪我をさせたことを、なかったことにすることはません。親は、謝りに行き、治療費を負担しなくてはなりません。 問題 では、このような行為は、「犯罪になる」でしょうか。それとも、「犯罪にはならない」でしょうか。 ○ 数名に聞く。又は、全員に挙手を求める。 解説 犯罪になることがあります。たとえ、人に当たらなくても、他の人が怪我をしたり、物が壊れたりする可能性のある場所に、物を投げた場合、非常に危険な行為なので、軽犯罪法違反の危険物投注という犯罪になることがあります。 また、今回の行動例のように、怪我をさせてた場合は、過失傷害罪や傷害罪、更に、もっと重い犯罪になることがあります。 【示す】「軽犯罪法違反 危険物投注」「過失傷害罪」「傷害罪」 廊下や教室を走り回り、人にぶつかって怪我をさせた場合も、過失傷害罪や傷害罪になることがあります。 【指す】「やって良いことか、悪いことか、 判断する力を持つ」 まわりの状況をよく考えて行動するとともに、「やって良いこと、悪いことを判断」し、正しい行動をとりましょう。 【参考】 ・ 軽犯罪法 第一条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留または科料に処する。 ・ 危険物投注 軽犯罪法第一条第一一号 相当の注意をしないで、他人の身体又は物件に害を及ぼす虞のある場所に物を投げ、注ぎ、又は発射した者 ・ 過失傷害 刑法第二〇九条(親告罪) 第一項 過失により人を傷害した者は、三十万円以下の罰金又は科料に処する。 ・ 傷害 刑法第二〇四条 人の身体を傷害した者は、一五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金若しくは科料に処する。 ※ 親告罪とは、被害者等の訴えが必要な犯罪をいう。 【場面 10】 解説 高いところから、定規など、危ないものを落とす行為は、軽犯罪法違反の危険物投注という犯罪になると説明しました。最近は、軽犯罪法違反で警察に捕まる人が増えています。ここでは、軽犯罪法違反について、例を挙げて、説明します。 【示す】「軽犯罪法違反」「虚偽申告」「火気乱用」「凶器携帯」「銃刀法違反」「禁止場所侵入」「建造物侵入罪」 ・ 虚偽申告 これは、嘘の一一〇番や一一九番をすることです。 ・ 火気乱用 これは、建物や燃える物の近くで焚き火をすることです。 ・ 凶器携帯 これは、護身用などとして凶器になるような物を持ち歩くことです。仕事で使うなど、一般的に考え、認められる理由がある場合は、犯罪にはなりません。また、いわゆる銃刀法違反などの重たい犯罪になることもあります。 ・ 禁止場所侵入 これは、立入り禁止場所に無断で入り込むことです。状況によっては、刑法の「建造物侵入罪」になります。学校の校庭でも、門に鍵が掛かっていたり、「入らないで下さい。」と意思表示がされているのに中に入り、一一〇番通報で駆けつけた警察官に、建造物侵入罪で捕まるという事犯が多く起きています。遊びの延長でやったつもりでも、嘘の一一〇番や、危ない場所での焚き火、危険な物を持ち歩くこと、立入り禁止になっている場所に無断で入ることは、犯罪です。警察官に捕まると、警察署に連れて行かれ、親も呼び出され、その後、取調べを受けたり、家庭裁判所に呼び出されることになります。 「やって良いことか、悪いことか、判断する力」を持ち、「悪いことはしない、悪いことに流されない、強い意思」を持ちましょう。 【指す】「やって良いことか、悪いことか、 判断する力を持つ」「悪いことはしない、悪いことに流されない、強い意思を持つ」 【参考】 ・ 虚偽申告 軽犯罪法第一条一六号 虚構の犯罪又は災害の事実を公務員に申し出た者 ・ 火気乱用 軽犯罪法第一条九号 相当の注意をしないで、建物、森林その他燃えるような物の付近で火をたき、又はガソリンその他引火し易い物の付近で火気を用いたもの ・ 凶器携帯 軽犯罪法第一条二号 正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるものに使用されるような器具を隠して携帯していた者 ・ 禁止場所侵入 軽犯罪法第一条三一号 入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入つた者 ・ 銃砲刀剣類所持等取締法違反 第二二条 (刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物の携帯の禁止) ・ 建造物侵入罪 刑法第一三〇条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。 【場面 11】 第一〇問、最後の行動例です。 問題 友達が約束を何度もやぶったので、頭にきて、友達の教科書に、マジックで「バカ」と書いた。教科書に「バカ」と書いた人は、どのような思いだったのでしょうか。 ○ 数名に聞く。 解説 友達との約束を破ることは、良くありません。自分が、約束を破られたら、腹が立ったり、又は、悲しく寂しい気持ちになったりします。では、友達が悪いことをしたら、自分も悪いことをやり返して良いのでしょうか。友達が、約束を破ったり、嘘をついたり、裏切ったりなど「嫌な思いをすること」や、「傷つくこと」も、ときにはあると思います。 そういうときでも、悪いことをやり返すのではなく、自分は「悪いことはしない、悪いことに流されない、強い意思」を持ちましょう。 【指す】「悪いことはしない、悪いことに流されない、強い意思を持つ」 問題 では、マジックで教科書に「バカ」と書く行為は、「犯罪になる」でしょうか。それとも、「犯罪にはならない」でしょうか。 ○ 数名に聞く。又は、全員に挙手を求める。 解説 犯罪になることがあります。他人の物を元に戻せないよう汚したり、壊したり、傷つけたりすことは、器物損壊罪という犯罪になることがあります。 【示す】「器物損壊罪」 また、他人の物を隠すことも、持ち主が、いつもどおり使うことができない状態にしているので、同じ犯罪になることがあります。(器物毀棄罪) やって良いことか、悪いことかを判断して、正しい行動をとりましょう。 【指す】「やって良いことか、悪いことか、 判断する力を持つ」 問題 では、マジックで教科書に「バカ」と書かれた人は、どのような思いになったでしょうか。 ○ 数名に聞く。 解説 たとえ、自分に悪いところがあっても、注意をされるのではなく、落書きをされたり、無視をされるなど、いじわるをされることは、辛く寂しいものです。私達人間には、言葉があります。言葉を使って話し合うことで、お互いの気持ちを考え、理解し、問題を解決することができるようになりましょう。また、友達の短所ばかりに目を向けず、長所、良いところを見つけ、それを認めて尊重することができるようになると、より良い人間関係が築けます。みんなが、楽しく気持ちよく生活できるよう、「友達の気持ち」、つまり「他人の気持ちを考えて、行動する」ことができる、思いやりの心を持ちましょう。 【指す】「他人の気持ちを考えて行動する」 【参考】 ・ 器物損壊等 刑法第二六一条(親告罪) 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。 ※ 親告罪とは、被害者等の訴えが必要な犯罪をいう。 【まとめ】 解説 皆さん、どうでしたか。 今日は、皆さんに、「自分だったらどうするか」とか「人の気持ち」などについて考えてもらいました。また、同時に、いろいろな行動が、犯罪になるということを学んだので、皆さんは、「やって良いことか、悪いことかを判断する力」が、しっかり、身についたと思います。 【指す】「やって良いことか、悪いことか、 判断する力を持つ」 私達の暮らす社会の中には、沢山の法律やルール、マナーがあります。その法律やルール、マナーをみんなが守るからこそ、誰もが、安全、安心で気持ちよく生活ができるのだということを忘れないで下さい。 また、この勉強を通して、友達や被害に遭った人など、「他人の気持ちを考えて行動する」思いやりの心、優しい心の大切さについて、再確認ができたと思います。 【指す】「他人の気持ちを考えて行動する」 悪いことをしそうになったとき、悪い方向に流されそうになったときは、悪いことをする前に、一旦、立ち止まりましょう。そして、もし、自分が悪いことをしたらどうなるか、次のことを想像してみましょう。 ・ もし、自分が相手の立場だったら、どのような思いをするのだろうか。 ・ おうちの人は、被害者に対して、どのような思いで謝るのだろうか。 ・ 友達は、自分のことをどのように思うだろうか。 まわりの人に、つらい思いや悲しい思いをさせないためにも、自分を大切にするためにも、「悪いことはしない、悪いことに流されない、強い意思」を持ち、自分自身をコントロールして下さい。 【指す】「悪いことはしない、悪いことに流されない、強い意思を持つ」 三つの大切なこと ・ やって良いことか、悪いことかを判断する力を持つ。 これは、「考える力」です。 【指す】「考える力」 ・ 他人の気持ちを考えて行動する。 これは、「思いやりの心」です。 【指す】「思いやりの心」 ・ 悪いことはしない、悪いことに流されない、強い意思を持つ。 これは、「意思の強さ」です。 【指す】「意思の強さ」 これらは、人として、とても大切なことです。しっかり身につけ、素敵な大人に成長して欲しいと願っています。 それでは、これで、 【はじめの画面に戻る】 「考えよう やって良いこと 悪いこと 君ならどうする? どう思う?」の授業をお終いにします。 【おしまい】