考えよう やって良いこと 悪いこと こうえんで 作:神奈川県警察本部少年育成課 小島久美子 絵:神奈川県警察本部少年育成課 平野洋子 【 表  紙 】 ◎ 今日は、「やって良いこと、悪いこと。」について、皆さんと一緒に、お勉強していきましょう。 ○子ども達に語りかける。 ◎ それでは、紙芝居のお話を聞いて下さい。 途中で、私が、皆さんに、「これって、やって良いことかなぁ、悪いことかなぁ。」とか、「皆さんだったら、こういうとき、どんな気持ちになりますか。」 などと質問します。 皆さんは、お話を聞きながらよく考え、元気に手をあげて答えて下さいね。 ◎ それでは、「考えよう やって良いこと 悪いこと 公園で」の始まり始まり。 【 場面 1 】 まる吉君、ひしがた君、てん子チャンの三人は、公園で「たか鬼」をして遊んでいます。(ナレーションはゆっくり) 鬼のまる吉君が、勢いよく走っています。 まる吉  「てん子ちゃん、捕まえた。」(元気よく) てん子  「また、私がおに〜。もう、つまらない。もっと、面白い遊びしたいなぁ。」(ふてくされた様子で)   てん子ちゃんが、ふてくされて言うと、ひしがた君は、 ひしがた 「なんだよ。自分が鬼になったところで、そんなこと言うなんてずるいぞ。」(真面目に) と、言いました。   でも、てん子ちゃんは、 てん子  「だって、この公園、高いところは、鉄棒とタイヤくらいで、本当につまらないんだもの。ブランコとか滑り台のある公園で遊びたい。」(言い訳がましく)と言いました。 【 場面 2 】 そのとき、まる吉君が、思い出したように言いました。 ナレーションはゆっくり まる吉  「あっ、そうだ。星がた公園に、すごく長い滑り台ができたんだよ。とっても楽しいんだ。」(自慢げに) てん子  「私、行ったことない。ねぇ、今から、三人で行かない。」(うきうきした様子で) てん子ちゃんは、もう、行く気、満々です。 でも、ひしがた君は、 ひしがた 「星がた公園は、遠いよ。歩いて行ったら、三〇分位かかるよ。」(思慮深げに)  と冷静です。   まる吉君は、自分の言った公園に、てん子ちゃんが行きたがっているので、うれしくなり、すぐに提案しました。 【 場面 3 】 まる吉  「自転車で行こうよ。自転車なら、すぐだよ。」(素晴らしい提案をするように)   でも、てん子ちゃんは、 てん子  「私、自転車は持ってないもん。」(しょんぼりと)  と、しょんぼりして言いました。   すると、まる吉君は、 まる吉  「僕とひしがた君は、家に帰れば自転車があるよ。だから、てん子ちゃんは、どっちかに、二人乗りすれば良いよ。」(調子良く)と、言いました。 ◎ それでは、ここで、皆さんに質問します。 ○子ども達に語りかける。   子ども同士で、自転車の二人乗りをすることは、やっても良いことでしょうか。  それとも、いけないことでしょうか。   では、どちらかに手を挙げて答えて下さい。  ・ 子ども同士での自転車の二人乗り、やっても良いと思う人。 ○挙手を求める。  ・ やってはいけないと思う人。 ○挙手を求める。 ◎ みんな、大正解ですね。自転車の二人乗りは危ないので、絶対にやめましょう。 ◎ では、お話の続きを見ていきましょう。 【 場面 4 】   ひしがた君は、言いました。(ナレーションはゆっくり) ひしがた 「二人乗りはだめだよ。この前、学校で習ったじゃないか。」(真面目に)   まる吉君は、自分の言ったことが、まずかったと思いながらも、 まる吉  「それは、そうだけど…(口ごもりながら)てん子ちゃんが、行きたがっているんだから、何とかして行こうよ。」(強い口調で誘うように)  と、言いました。   てん子ちゃんも、 てん子  「なんか、良い方法ないかしら。」(思案している様子で)  と、考えています。 【 場面 5 】 とき、まる吉君が、手をたたいて(ナレーションはゆっくり) まる吉  「そうだ、隣の空き地に、ずっと、置きっ放しの自転車があったよ。あの自転車を使えば良いよ。」(明るくひらめいた感じで)  と言いました。   ひしがた君は、また、冷静に言いました。 ひしがた 「誰のものか分からない自転車に乗るなんて、ダメだよ。」(強く厳しい口調で)   すると、まる吉君は、真剣な顔をして、 まる吉  「あの自転車は、捨てたものだよ。だって、すごく古いし、二週間くらい、全然、動いてないんだよ。とにかく、見に行ってみよう。」(力を込め説明するように)   と言い、二人を隣の空き地に案内しました。 【 場面 6 】   自転車は、古く、鍵は壊れていて、直ぐに乗れそうです。(ナレーションはゆっくり)   まる吉君は、言いました。 まる吉  「ねっ。鍵も壊れているし、きっと、これ、誰かが捨てたんだよ。ちょっと、大きいけど、てん子ちゃんなら、乗れるよ。鍵を直して、てん子ちゃんの自転車にすると良いよ。」(自慢げに)   ひしがた君が、言いました。 ひしがた 「本当に、誰かが、捨てたものなのかなぁ。たとえば、おじいさんが、止めた場所を忘れてしまったとかで、持ち主が探しているんじゃないかなぁ。」(思慮深げに)   てん子ちゃんが、言いました。 てん子  「でも、こんなに、汚れているのよ。誰かが使っていたとは、思えないわ。」(反論するように) (間を置く。) ◎ 皆さんは、道路や公園、空き地などに、置きっ放しになっている自転車を見たことがありますか。 ○子ども達に語り掛ける。 ・ 見たことがある人、手を挙げて下さい。 ○挙手を求める。   ありがとうございます。 ◎ では、皆さんに質問します。   ずっと、置きっ放しの自転車があったとき、その自転車を自分の物にして使うことは、良いことでしょうか。いけないことでしょうか。 では、どちらかに手を挙げて答えて下さい。 ・ 自分の物として使っても良いと思う人。 ○挙手を求める。 ・ 使ってはいけないと思う人。 ○挙手を求める。 ありがとうございます。 ◎ この答えは、お話の中に出てきます。では、お話の続きを見ていきましょう。 【 場面 7 】   ひしがた君は、誰かが困っているように思え、その自転車で、星がた公園に行く(ナレーションはゆっくり)  ことには、どうしても賛成できませんでした。   そこで、二人に提案しました。 ひしがた 「そうだ。お巡りさんに、この自転車に乗って良いか、聞きに行こう。お巡りさんなら、捨てたものか、誰かが探しているものか、分かるかもしれないよ。」(提案するように)   てん子ちゃんは、言いました。 てん子  「えー。お巡りさんのところに行くなんて、何か怖いわ。」(嫌そうに) すると、まる吉君が言いました。 まる吉  「悪いことをしている訳じゃないし、お巡りさんは怖くないよもしかしたら『物を大切にする子は偉い。』って、褒められるかもしれないよ。行こう。行こう。」(明るく調子よく)   こうして、三人は、空き地にあった自転車を押し、交番へ行ったのです。 【 場面 8 】   お巡りさんは、三人から、自転車が何日も、空き地に置きっ放しになっていた話を聞くと、直ぐに自転車を調べました。(ナレーションはゆっくり)   調べ終わると、お巡りさんは、言いました。 警察官  「この自転車は、一か月前に、だいけいスーパーの自転車置き場から、盗まれたものだったよ。教えてくれてありがとう。今、持ち主に連絡したよ。」(優しく説明するように)   てん子ちゃんは、捨てたものではなく、持ち主がいたことに驚き、言いました。 てん子  「えー。こんなに汚れているから、捨てた物だと思ったわ。」(驚いた様子で)   すると、 警察官  「それは、一か月も放ってあれば、汚れてしまうよ。」(明るく) 【 場面 9 】 警察官  「まさか、捨てたものだと思って、自分の物にしようなんて、思ったりはしなかっただろうね。」(冗談っぽく)  とお巡りさんが言うと、まる吉君とてん子ちゃんは、うつむいてしまいました。(ナレーションはゆっくり)   ひしがた君は、もし、自転車をてん子ちゃんが、自分の物にしていた場合は、どうなったのか知りたくて、お巡りさんに聞きました。 ひしがた 「僕達、星がた公園に行きたかったんですが、てん子ちゃんの自転車がなくて、困っていたんです。もし、この自転車を勝手に乗っていたら、僕達は、どうなったんですか。」(真面目に)   すると、お巡りさんは、三人を見ながら、優しく聞きました。 警察官  「君達は、この自転車に乗って良いかを交番に聞きに来たんだね。」(ゆっくりと優しく)   みんなは、黙ってうなづきました。 【 場面 10 】   お巡りさんは (ナレーションはゆっくり) 警察官  「それでは、君達に説明しよう。」(はっきりと優しく)  と言い、三人を交番の中に案内しました。 お巡りさんは、言いました。 警察官  「もし、仮に、この自転車を自分の物のように乗りまわしていたら・・・」 (はっきりとした口調で) 【 場面 11 】 警察官  「君達は、警察に捕まっていたよ。」(はっきりとした口調で) 三人   「えー。」(大きな声で驚いた様子で)   三人は、警察に捕まるような、犯罪を犯す寸前だったことに驚きました。(ナレーションはゆっくり)   お巡りさんは、三人に聞きました。 警察官  「君達に聞くけれど、この自転車は、自分の物かい。それとも、自分以外の他人の物かい。」(優しく問いかける)   てん子ちゃんが、 てん子  「それは、自分の物ではないけど…」(口ごもりながら)  と、口ごもると、お巡りさんは、言いました。 警察官  「そう。自分の物ではないよね。他人の物を自分の物にしたら、それは、ドロボウになるんだ。ドロボウは、警察に捕まる犯罪だよ。いいかい。いつでも、自分の物と他人の物をしっかりと区別して考えないといけないよ。」(ゆっくりと説明する) ※「自分の物と他人の物を区別する。」の文字をボードに貼る。   まる吉君は、どうしても、納得できず、お巡りさんに聞きました。 【 場面 12 】 まる吉  「でも、もし、この自転車が捨てた物だったら、どうなんですか。僕は、物を大切にすることは、良いことだと思うのですが。」(訴えるように)   すると、お巡りさんは、穏やかに(ナレーションはゆっくり) 警察官  「確かに、自分の物、家族の物、学校の物などを大切に扱うことは、大事なことだね。でも、『物を大切にする。』ということと、『他人の物を自分の物にして(はっきりした口調で)しまう。』ということは、全く別の話だよ。」(ゆっくりと優しい口調で)  と言い、三人が分かるよう、ゆっくり説明しました。 警察官  「自転車は、ゴミ置き場とか、空き地などに捨ててはいけない、という、(ゆっくりと説明する)社会の決まりがあるんだ。だから、自転車が必要なくなったときは、お店の人に頼んで、引き取ってもらうんだ。街で、捨ててあるように見える自転車は、盗まれた自転車で、『盗んだ人が、乗り捨てた。』ということが、よくあるんだ。」 【 場面 13 】   その話を聞き、ひしがた君が言いました。(ナレーションはゆっくり) ひしがた 「それでは、捨てたものと間違えて、自転車を自分の物にしたら、持ち主のところに、自転車は返らなくなっちゃいますね。」(思慮深げに) 警察官  「そうなんだよ。君は、良い点に気付いたね。(褒めるように)君達も、もし、自分の自転車が盗まれたら、どうだい。(質問する口調で)誰かが、どこかで、大切に使っていれば、それで満足かい。」   まる吉君は、すかさず まる吉  「それは、嫌です。自転車が、自分のところに戻ってこないと困ります。」(訴えるように)  と言いました。   すると、お巡りさんは 警察官  「そうだろう。(ゆっくり説明する)見つけた人が、警察に届け、警察が持ち主に連絡すれば、自分のところに自転車が戻ってくる。そしたら、うれしいだろう。(間を置く。)この自転車の持ち主も、自転車が見つかって、君達に感謝するんじゃな(穏やかに)いかな。」   と、笑顔で言いました。 【 場面 14 】   てん子ちゃんが、(ナレーションはゆっくり) てん子  「私、お巡りさんは、もっと、怖い人かと思ってました。」(はずかしそうに)  と言うと、お巡りさんは、 警察官  「それは、違うよ。警察官は、悪いことをする人には立ち向かっていくが、(優しく)困っている人を助けることも、大事な仕事なんだよ。(間を置く。)そうだ、いい機会だから。君達に、大切なことを教えよう。」  と言い、話を続けました。 警察官  「まずは、物事を行うときは、自分の頭で、しっかりと、やって良いことか、悪いことかを判断をすること。そして正しい行動をとることが大切だよ。」(教えるように) ※「やって良いことか悪いことか判断をする力を持つ。」をボードにに貼る。 警察官  「そして、考えても分からないとき、それから、困ったときなどは、お父さん、お母さん、先生、ときには、私達警察官に相談することも大切だ。」(教えるように) ※「わからないときや、こまったときは、大人に相談する。」をボードに貼る。 警察官  「今日、君達が、怖がらず、そして、恥ずかしがらずに、相談に来たことは、正しい行動だったね。」(褒めるように)  と言って、三人を褒めました。 【 場面 15 】   そのとき、自転車の持ち主のお姉さんが、交番にやってきました。(ナレーションはゆっくり) 持ち主  「お巡りさん、私が自転車の持ち主です。古い自転車なのに、よく、見つけてくれました。」(うれしそうに)   お巡りさんは、言いました。 警察官  「見つけてくれたのは、この子ども達ですよ。」(説明するように)   持ち主のお姉さんが、言いました。 持ち主  「あら、そうだったんですか。みんな、ありがとう。(感謝の気持ちで)この自転車は、亡くなったお母さんが使っていた自転車なのよ。(説明するように)今は、私が乗っていて、もう、十年近く使っているから古いけど、外出するときは、いつも、『お母さんと一緒』って、思えていたの。だから、盗まれてからは、寂しくなってしまって・・・(寂しそうに 間を置く。)でも、これで、また、元気に外出できるわ。(うれしそうに)私にとっては、宝物の自転車なの。本当にありがとう。」   まる吉君、ひしがた君、てん子ちゃんは、持ち主が、喜んでいる姿を見て、とても良いことをした気持ちになり、うれしくなりました。 【 場面 16 】   三人は、お巡りさんとお姉さんに挨拶をして帰ることにしました。(ナレーションはゆっくり)   交番から出ると、直ぐに、ひしがた君は、まる吉君を心配して言いました。 ひしがた 「まる吉君。(厳しい口調で)まずは、自分の物と他人の物を区別すること。区別しないと、ドロボウになっちゃうからね。」   まる吉君は、照れ笑いをしながら まる吉  「もう、分かっているよ。(言い訳するように)てん子ちゃんと星がた公園で遊びたかったし、自転車も、まだ乗れそうだったから、つい、もったいないと思ってしまっただけだよ。持ち主の気持ちを考えたら、絶対に、他人の物を自分の物にしようなんて、思わないよ。」  と言いました。てん子ちゃんも てん子  「そうね。他人の気持ちを考えて行動するって、大切なことなのね。(納得した様子で)自転車、あんなに汚れていたのに、お姉さんは、とても喜んでいたわ。」  と、お姉さんのうれしそうな顔を思い出しながら、言いました。 ※「他人の気持ちを考えて行動する。」をボードに貼る。 ◎ お話の中では、お姉さんは、「自転車が盗まれてからは、寂しくなってしまって…」 と言っていました。○子ども達に語りかける。 ◎ では、皆さんに質問します。   もし、みなさんが、自分の自転車を盗まれてしまったら、どんな気持ちになりますか。 答えてくれる人は、手を挙げて下さい。 ○何人かに答えを求める。 ※ 手が挙がらないときは、次のように語りかけましょう。  ◎ 『どうしよう。』と困ってしまう人、『誰が盗んだんだ。』と怒りがこみ上げてくる人、『お母さんに怒られちゃう。』と不安な気持ちになる人、それぞれが、いろいろな思いを持ちますね。 ◎ 今、発表があったように、(このように)自分に置き換え、被害にあった人の気持ちを考えることは、とても大切なことです。 皆さんも、他人の気持ちを考えて行動ができるようになりましょうね。 ※ 小学生低学年は、場面ッ〜場面ウを飛ばして、場面エへ進んでも良い。 【 場面 17 】 ◎ もう一つ、みなさんに質問します。 ○子ども達に語りかける。 ◎ お話では、ひしがた君の提案で、自転車に乗って良いかをお巡りさんに聞きに行き、三人は、警察に捕まるようなことにはなりませんでした。 ◎ では、もしも、空地に自転車を見に行ったとき、まる吉君とてん子ちゃんは「この自転車を使って、星がた公園に行こう。」(楽しそうに)と決め、ひしがた君は、   「僕は、反対だ。そんなことをするなら帰る。」(怒った口調で)  と言い、帰ってしまったとします。 【 場面 18 】 ◎ そして、星がた公園に向かっている途中、まる吉君、てん子ちゃんは、お巡りさんに声を掛けられ、自転車を調べられて、他人の自転車に無断で乗っていたことが分かってしまいました。 ○子ども達に語りかける。 ◎ このとき、罪を犯したことになるのは、誰でしょうか。  【 場面 19 】  1 空地に自転車があることを教えた、まる吉君一人が罪になる。 ○答えを読むように。  2 自転車を持っていない、てん子ちゃん一人が罪になる。  3 自転車に乗ろうと決め、一緒に乗っていた、まる吉君とてん子ちゃんの二人が罪になる。  4 自転車を見に行ったときに一緒だった、ひしがた君も含め、まる吉君、てん子ちゃん、ひしがた君の三人が罪になる。 さて、みなさんは、どれが正解だと思いますか。   四つの答えのうち、どれかに手を挙げて答えて下さい。  1 「まる吉君一人が罪になる。」と思う人。 ○挙手を求める。  2 「てん子ちゃん一人が罪になる。」と思う人。 ○挙手を求める。 3 「まる吉君とてん子ちゃんの二人が罪になる。」と思う人。 ○挙手を求める。  4 「まる吉君、てん子ちゃん、ひしがた君の三人が罪になる。」と思う人。 ○挙手を求める。 ◎ 正解は、3の自転車に乗ろうと決め、一緒に乗っていた、まる吉君とてん子ちゃんの二人が罪になります。 ○子ども達に説明する。 ◎ そして、もし、てん子ちゃんがその自転車に一人で乗り、まる吉君は自分の自転車を使ったとしても、「この自転車で行こう。」「この自転車を使おう。」と二人で決めていれば、まる吉君とてん子ちゃんの二人が罪を犯したことになります。犯罪は、「自分の物にした」とか「自分が使った」という場合はもちろんですが、たとえ、それを自分が使わなくても、「悪いことをしよう。」と一緒に決めた人は、罪を犯したことになります。   そして、ひしがた君のように、「反対」と言い、帰ってしまった人は、罪にはなりません。 ◎ お友達が悪いことをしようとしているときは、「ダメ。」と注意して、止めさせましょう。   そして、みんなで、悪いことはしない、悪いことに流されない強い意思を持ちましょう。 ※「悪いことはしない、悪いことに流されない、強い意思を持つ。」をボードに貼る。 【 場面 20 】 ◎ では、もう一つ、みなさんに質問します。 ○子ども達に語りかける。 ◎ 今度は、罪になるかどうかではなく、人の気持ちを考えてみましょう。 ◎ 「もしも」のお話の続きです。   まる吉君とてん子ちゃんは、お巡りさんに捕まってしまいました。   そして、警察署に連れて行かれ、そこに、知らせを聞いた、まる吉君とてん子ちゃんのお父さん、お母さんがやってきました。 ◎ このときの、自分の子どもが、警察に捕まるような犯罪を犯したと知った、お父さんやお母さんの気持ちを考えてみましょう。 【 場面 21 】 ◎ お父さんやお母さんは、どんな気持ちになっているでしょうか。 ○子ども達に語りかける。    1 子どものことを怒っている ○答えを読むように。    2 ショックを受けている。    3 その他の気持ち。   3つの答えのうち、どれかに手を挙げて下さい。  1 子どものことを怒っている と思う人 ○挙手を求める。  2 ショックを受けている と思う人。 ○挙手を求める。  3 その他の気持ちだと思う人。 ○挙手を求める。  では、何人かに、「その他」どんな思いか聞いてみましょう。 ○挙手した人に答えを求める。 ◎ みなさん、家の中での生活を思い出して下さい。 ○説明するように   お父さんやお母さんは、皆さんが悪いことや間違えたことをすると、叱ったり、注意すると思います。   それは、皆さんに「良い子に育って欲しい。」と願っているからなんですよ。   そして、叱ったり、注意をしたことが、きちんとできている子どもの様子を見て、お父さん、お母さんは、安心して「やっぱり、良い子だなぁ。」と自分の子どもを信じています。   だから、良い子だと信じている自分の子どもが、警察に捕まるような犯罪を犯していたと知ったときは、とても残念で、悲しい思いをします。 ◎ みなさんは、自分のことで、お父さんやお母さんが泣いたり、悲しい思いをしたらどうですか。   うちの人の気持ちを考え、悲しませるような行動は、止めましょう。 【 場面 22 】   家への帰り道、まる吉君が(ナレーションはゆっくり) まる吉  「お姉さん、とっても喜んでいたね。(うれしそうに)達、なんか、すっごく良いことしたよね。」  と言いました。すると、てん子ちゃんは、 てん子  「でも、ひしがた君がいなかったら、私達、ドロボウになっていたわ。(反省している様子で)自分の物と他人の物を区別しないといけないわね。」 ※ ボードの文字を指す。  と、反省して言いました。  ひしがた君は、真面目な顔で ひしがた 「やって良いことか、悪いことか、しっかり判断しないと、大変なことに(真面目に)なるんだね。」 ※ ボードの文字を指す。  と、言いました。 てん子  「そして、分からないときは、怖がったり、恥ずかしがったりしないで、(説明するように)大人に相談することも大事なのよね。」 ※ ボードの文字を指す。  と、てん子ちゃんが言うと、まる吉君も、 まる吉  「そう。それから、他人の気持ちを考えて行動すること。(理解していることを自慢するように)考えたら、悪いことなんかできないよね。」 ※ ボードの文字を指す。  と、付け加えました。   ひしがた君は、 ひしがた 「今日は、いろいろと勉強になったよ。(真面目に)僕たちは、悪いことはしないって、約束しよう。」 ※ ボードの文字を指す。  と言うと、まる吉君は、 まる吉  「もちろんだよ。」 (真剣に)  と答え、てん子ちゃんは、 てん子  「大人になっても、ずっとよ。」 (真剣に)  と、付け加えました。   ひしがた君は、まる吉君やてん子ちゃんの言葉を聞いて、うれしくなり、 ひしがた 「ねぇ、今度の日曜日、三人で星がた公園に遊びに行こうよ。そのときは、歩いていこう。」 (うれしそうに)  と誘い、三人は日曜日の約束をして、それぞれの家に帰りました。 【 おしまい 】 ◎ これで「考えよう やって良いこと 悪いこと 公園で」の紙芝居はおしまいです。○子ども達に語りかける。 ◎ みなさん、何日も置きっ放しになっている自転車でも、勝手に乗っていったら、警察に捕まる犯罪になるということが分かりましたか。分かった人は、手を挙げて下さい。○挙手を求める。 ◎ それでは、そういうことは、絶対にしないと約束してくれる人は、手を挙げて下さい。○挙手を求める。   ありがとうございます。   みなさん、今日のお話を忘れず、警察に捕まるようなことは、絶対にしないで下さいね。 ◎ それから、お話の中で、大切なことを教えていましたね。  ・ 自分の物と他人の物を区別する。  ・ やって良いことか、悪いことか、判断する力を持つ。  ・ 分からないときや困ったときは、大人に相談する。  ・ 他人の気持ちを考えて行動する。  ・ 悪いことはしない、悪いことに流されない、強い意思を持つ。   この五つのことをしっかりと身につけましょう。 ※ 時間があるときは、質問1〜5を行う。 ※ 終わりにするとき ◎ この五つのこと、皆さん、できますか。できる人は、手を挙げて下さい。  ありがとうございます。大勢の皆さんの手が挙がりました。 ◎ では、とても大切なことなので、みんなで声を出して読んでみましょう。  ・ 自分の物と他人の物を区別する。  ・ やって良いことか、悪いことか判断する。  ・ 分からないときは、質問する。  ・ 他人の気持ちを考えて行動すること。  ・ 悪いことはしない、強い意思を持つ。   大きな声で、元気に言うことができました。この五つ、しっかり身につけ、他人に迷惑を掛けず、正しい行動がとれる、お兄さん、お姉さんになりましょう。 ◎ それでは、これで「やって良いこと 悪いこと」のお勉強をおしまいにします。 おしまい