考えよう やって良いこと 悪いこと −マンガを読んで− (高学年用) 作:神奈川県警察本部少年育成課 小島久美子 絵:神奈川県警察本部少年育成課 平野洋子 【表紙】  今日は、「やって良いこと、悪いこと。」について、皆さんと一緒に、お勉強していきましょう。  それでは、紙芝居のお話を聞いて下さい。  途中で、私が、皆さんに、   これは、警察に捕まる犯罪になるでしょうか。   それとも、犯罪にはならないでしょうか。 とか、   こういうときは、どうすれば良いでしょうか。 などと質問します。  皆さんは、良くお話を聞きながら考え、手をあげて答えて下さいね。  それでは、  「考えよう。やって良いこと 悪いこと。マンガを読んで」 の始まり始まり。 【場面1】  ジャイ介君、すね吉君、ウルサちゃんの三人は、ジャイ介君の家に集まり遊んでいます。  すね吉君は、ジャイ介君からマンガを借りて読み、笑い転げています。 ジャイ介 「それ、おもしろいだろー。」  ジャイ介君が言うと、ウルサちゃんは、 ウルサ 「えーっ。そんなにおもしろいの。私にも読ませて。」 と、言いました。すね吉君が、 すね吉 「あー、もっと読みたいなぁ。この続き、まだ出てないの?」 と聞くと、ジャイ介君は答えました。 ジャイ介 「もう、二巻は売ってるよ。すね吉君も、話の続き、気になる?」 すね吉 「もちろんだよ。ジャイ介君、買わないの?」 ジャイ介 「うん。買わないよ。」 【場面2】 ジャイ介 「だって、そのマンガ、僕が万引きした物なんだ。なんか、買うのは、小遣いがもったいない気がして。」 ◎皆さん、万引きと言うのは、お店の物をお金を払わず持ってきてしまうことで、警察に捕まる犯罪です。 ◎それでは皆さんに質問します。  今のお話のように、友達から「自分は、万引きしているんだ。」と聞いたとき、皆さんだったら、どうしますか。  1 注意をする。  2 おうちの人や先生に教える。  3 その他の方法をとる。  3つの答えのうち、どれかに手を挙げて下さい。  1注意をするという人。  2おうちの人や先生に教えるという人。  3その他の方法をとるという人。  では、「その他」どんな方法があるか聞いてみましょう。  (時間がないときは、「その他の方法について、手を挙げたお友達は、クラスに帰ってから、発表して下さいね。」と、 学校にお願いする。)  それでは、すね吉君達はどうしたのでしょうか。  すね吉君とウルサちゃんは、ジャイ介君が、万引きしていたと聞き、驚きました。  でも、すね吉君は、ちょっとだけ、ジャイ介君のことを「すごいなぁ。」と感じ、ジャイ介君に聞きました。 すね吉 「ねぇ、ジャイ介君、いつも、万引きしているの。」 ジャイ介 「そうだよ。全然、平気だよ。すね吉君やウルサちゃんは、万引きしたこと、ないの。」  すね吉君は、万引きしたことは無かったのですが、「悪いことが出来る。」と、言った方が、格好良いと思い、 すね吉 「うーん。僕は、今まで、万引きする機会がなかったからね。」 と言いました。ウルサちゃんは、 ウルサ 「私は、捕まったら怖いし、悪いことはできないわ。」 と答えました。 【場面3】  ジャイ介君は、自慢げに言いました。 ジャイ介 「あっ、そうだ。このマンガ、万引きしたものだから、ウルサちゃんにあげるよ。」 ウルサ 「えー、良いの。ありがとう。」 ◎ それでは、ここで、皆さんに質問します。  ウルサちゃんのように、万引きした物を貰うことは、警察に捕まる犯罪になるでしょうか。  それとも、犯罪にはならないでしょうか。  手を挙げて答えて下さい。  ・万引きした物をもらうことは、犯罪になると思う人。  ・犯罪にならないと思う人。  答えは、お話の中に出てきます。どの場面で出てくるのでしょうか。  お話の続きを見ていきましょう。  ジャイ介君は、すね吉君が、格好つけているように思え、意地悪をしてやろうと、 ジャイ介 「ねぇ、すね吉君。マンガの続き、読みたいんだろう。二巻、今度は、すね吉君が万引きしてきてよ。」 と言ったのです。 【場面4】  すね吉君は、『しまった。』と思いました。  万引きするのは嫌だし、捕まったら大変です。 すね吉 「やっ、やっぱり、ジャイ介君が、万引きした方がいいよ。ジャイ介君は、慣れているんだし・・・」 ジャイ介 「なんだよ。僕にばっかり、悪いことをさせるなよ。すね吉君だって、万引きしてみたいんだろう。」  ジャイ介君は、脅かすように言いました。  すね吉君は、「嫌だ。」とは言えず、 すね吉 「う〜ん。」 と、あいまいな返事をすると、ジャイ介君は、 ジャイ介 「じゃあ、頼んだよ。ちゃんと持ってきてくれよ。」 と言い、その話は終わってしまいました。  こうして、すね吉君は、続きのニ巻を万引きする約束をしたのです ◎それでは、ここで、皆さんに質問します。  ジャイ介君のように、友達に、「万引きしてきて。」と頼んで、友達が本当に万引きをしたら、 万引きを頼んだジャイ介君は、警察に捕まる犯罪になるのでしょうか。  それとも、犯罪にはならないでょうか。  ・友達に頼んで、万引きさせることは、犯罪になると思う人。  ・犯罪にならないと思う人。  この答えも、お話の中に出てきます。  では、お話の続きを見ていきましょう。  すね吉君は、一人で万引きするのは怖いので、のび彦君に、一緒にお店に行ってもらおうと思いました。  のび彦君なら、優しいから、手伝ってくれると思ったのです。 【場面5】  すね吉君は、学校でのび彦君を見つけ、声をかけました。 すね吉 「ねぇねぇ、のび彦君。実は、のび彦君に、頼みがあるんだ。」 のび彦 「すね吉君が、僕に頼みごと。嫌な予感がするなぁ。一体、何だよ。」 すね吉 「実はさぁ。ちょっと、本屋に一緒に行って欲しいんだよ。」  のび彦君は、ホッとして、 のび彦 「なぁんだ、そんなことか。良いよ。一緒に行ってあげるよ。」 と答えました。すると、すね吉君は、 すね吉 「えっ。良いの。ありがとう。それでさぁ。そのとき、僕が、本を万引きするから、側で見張りをして欲しいんだ。 と付け加えてきたのです。 【場面6】 のび彦 「えー、そんなの嫌だよ。」  のび彦君は、断りました。  すね吉君は、困った顔で言いました。 すね吉 「今、『良い。』って言ったじゃないか。ジャイ介君に、万引きしてくるように頼まれちゃったんだよ。 僕、一人では、怖いんだ。側で見張りをするだけで良いんだよ。頼む。友達だろ。」  のび彦君は、すね吉君があんまり必死なので、 のび彦 「もー、分かったよ。」 と、一緒に本屋に行く約束をしたのです。 ◎それでは、皆さんに、質問します。  皆さんが、のび彦君だったらどうすれば良いでしょうか。  1 はっきりと断る。  2 万引きしないよう注意する。  3 その他の方法をとる。  3つのうち、どれかに手を挙げて答えて下さい。  1 はっきりと断るという人。  2 万引きしないよう注意するという人。  3 その他の方法をとるという人。  では、何人かに、「その他」はどんな方法があるか聞いてみましょう。  いろいろな方法がありますね。  (時間がないときは、「その他の方法について、手を挙げたお友達は、クラスに帰ってから、発表して下さいね。」 と、学校にお願いする。)  では、お話の続きを見てみましょう。 【場面7】  二人は、一緒に本屋に行きました。  続きの二巻は、売っていました。  のび彦君は、すね吉君の側で、見張りをしながら、小声で聞きました。 のび彦 「ねぇ、本当に、万引きするの。」 すね吉 「あっ、当たり前じゃないか。ここまで来て、何、言ってるんだよ。」  のび彦君は、悪いことには、これ以上、係りたくないと思い、 のび彦 「僕は、見張りをするだけだからね。」 と言いました。  すね吉君は、本当は、怖かったのですが、のび彦君が近くにいたので、気持ちが大きくなり、マンガを万引きしたのです。 ◎ それでは、ここで、皆さんに質問します。  のび彦君は、側で見張りをしていただけです。  見張りをすることは、警察に捕まる犯罪になるのでしょうか。  それとも、見張りをしただけでは、犯罪にならないのでしょうか。  ・見張りは、犯罪になると思う人。  ・犯罪にならないと思う人。  さて、どちらでしょう。  ここまで、   万引きした物をもらうこと。   友達に、万引きをさせること。   見張りをすること。 の3つについて、犯罪になるか、犯罪にはならないか、質問しています。  さて、それぞれの答えは、どちらなのでしょう。  では、お話の続きを見ていきましょう。  二人がお店を出たときです。 【場面8】 店長 「こら。二人とも待て。万引きをしたな。」  すね吉君とのび彦君は、店長さんの大きな声にびっくりして、動くことができません。  近くにいたお客さんも、一斉に振り向き見ています。  すね吉君が言いました。 すね吉 「あっ。ごっ、ごめんなさい。ジャイ介君が、『万引きして来い。』って言ったから、やったんです。許して下さい。」 のび彦君が言いました。 のび彦 「僕は、何もとっていません。」  店長は、二人を睨みつけながら言いました。 店長 「誰に何て言われようが、万引きは、ドロボウだ。ドロボウは犯罪だぞ。君もだ。 何も盗っていなくても、見張りをすれば、同じだ。犯罪は、警察に捕まるんだ。 二人とも、こっちに来なさい。」  二人は、警察署に連れて行かれてしまいました。 ◎それでは、皆さんに質問します。  ここでは、店長さんの気持ちを考えてみましょう。  店長さんは、万引きした子ども達を捕まえたとき、どのように思ったでしょう。  答えてくれる人は、手を挙げて下さい。  ( 手があがらないときは、次のように語りかける。)  「なんて、悪い子ども達なんだ。」とか「迷惑だ。困る。」などと思うかもしれませんね。 ◎皆さん、お店には、沢山の品物が並んでいますが、それは、全て、お店の人が、お金を出して買ったものです。  お店の品物を万引きされて、お金がお店に入らず、潰れてしまうお店もあります。  万引きは、お店の人の仕事や生活を奪ってしまう、とっても悪いことなのです。  では、お話の続きを見てみましょう。 【場面9】  ここは、警察署です。 警察官 「すね吉君。君は、窃盗という犯罪を犯したんだぞ。分かっているのか?」 すね吉 「僕は、万引きをしただけです。」  すると、お巡りさんは、厳しく言いました。 警察官 「お店の物は、自分の物ではない、他人の物だ。他人の物を盗めばどろぼうだ。」 ●【万引き どろぼう せっとう はんざい】をボードに貼る 警察官 「万引きは、どろぼう。どろぼうは、窃盗と言って、警察に捕まる犯罪だ。 ●【自分の物と他人の物を区別する】をボードに貼る。 警察官 「すね吉君。犯罪を犯さないため、自分の物と他人の物をしっかり区別しないといけないよ。」 すね吉 「はい。僕は、大変なことをしてしまったんですね。ごめんなさい。」  このとき、すね吉君は、自分がとても悪いことをしたことに驚きました。  だから、ジャイ介君から、万引きしたマンガを見せてもらったこと、続きのマンガを万引きするよう頼まれたこと、 ウルサちゃんが万引きしたマンガをもらったことなど、悪いことをしたいきさつを全て、正直に、お巡りさんに話しました。  すると、お巡りさんは言いました。 警察官 「すね吉君、犯罪を犯せば、それは、自分の責任だ。万引きを頼んだ人の所為にすることはできないぞ。」 ◎皆さん、今のお巡りさんの話、分かりましたか。  友達や先輩に、「万引きして来い。」と命令されて、仕方なくやったとしても、犯罪を犯せば、 自分で責任を負わなくてはいけないのです。 ◎それでは、皆さんに質問します。  友達や先輩に、「万引きしてきて。」と頼まれたり、命令されたときは、どうしたらいいでしょうか。  1 はっきり断る。  2 おうちの人や先生に相談する。  3 その他の方法をとる。  3つの答えのうち、どれかに手を挙げて下さい。  1 はっきり断るという人。  2 おうちの人や先生に相談するという人。  3 その他の方法をとるという人。  では、何人かに、「その他」はどんな方法か聞いてみましょう。  (時間がないときは、「その他の方法について、手を挙げたお友達は、クラスに帰ってから、発表して下さいね。」 と、学校にお願いする。) ◎はっきり断る。断れないときは、おうちの人や先生に相談しましょう。  では、お話の続きを見てみましょう。 【場面10】  のび彦君は、お巡りさんに、何も盗んでいないことを分かって欲しいと思い言いました。 のび彦 「お巡りさん、僕は、何も盗っていません。すね吉君が怖いと言うから、側で見張りをしていただけです。 すね吉君が、ジャイ介君に頼まれ、一人で勝手に万引きしたんです。」  すると、お巡りさんは、厳しい口調で言いました。 警察官 「のび彦君。自分が、直接、盗まなくても、見張りをしただけで、万引きしたことになるんだよ。 その理由は、のび彦君が見張りをしなければ、すね吉君は万引きができなかった。 そしたら、お店は、万引きされずに済んだんだよ。 のび彦君は、万引きという犯罪を手伝っていることが分かるだろ。見張りをすることは、犯罪なんだよ。」 ●【見はりをすることは犯罪】をボードに貼る。 のび彦 「本当だ。僕、悪いことをしてしまいました。ごめんなさい。」 ◎皆さん、今のお話で、実際に万引きをしなくても、万引きを手伝ったり、近くで見張りをすることは、 「万引きしたことになる。」 ということが、分かりましたか。 ◎犯罪に係ることは、やめましょう。  ジャイ介君やウルサちゃんは、どうなったのかを見てみましょう。 【場面11】  ジャイ介君が、お母さんと一緒に、警察署に来ています。 警察官 「ジャイ介君、君は、万引きをしたな。そして、すね吉君に、万引きをしてくるように頼んだな。」  お巡りさんに聞かれると、ジャイ介君は、少しふてくされながら答えました。 ジャイ介 「確かに、万引きはしました。その本は、ウルサちゃんにあげたので持っいません。 万引きは、どろぼうだから、悪かったと反省しています。 でも、すね吉君に『万引きしてきて。』って言ったのは、冗談で言っただけです。」  その答えを聞き、たまらず、お母さんが言いました。 ジャイ介母 「ジャイ介は、何を言っているの。ジャイ介が頼まなければ、すね吉君は、万引きしなかったてしょう。」 【場面12】 ジャイ介母 「万引きをしたり、友達に万引きをさせたり。ジャイ介は、いつ、そんな、悪い子になったの。 母さんは、情けない。お巡りさん。本当に、申し訳ありません。」  ジャイ介君は、いつも元気な母さんが、自分のことで、こんなに悲い顔で、お巡りさんに謝っている姿に、ショックを受け、 ジャイ介 「ごめんなさい。」 と、謝りました。お巡りさんが、言いました。 警察官 「自分が店に行かなくても、万引きするよう頼んだり、命令して、友達に万引きをさせることは、犯罪だ。 万引きしたことになるんだよ。」 ●【万引きさせることは犯罪】をボードに貼る。 ◎ 皆さん。万引きを頼んだり、命令して、友達に万引きをさせたら「冗談」では済みません。 お店に行かなくても、万引きしたことになります。 その理由は、万引きを頼む人がいるから、頼まれた人が万引きして、お店は被害を受ける。  被害を受けるお店の立場で考え、万引きを頼んだ人も、 「万引きした。」 「犯罪を犯した。」 ということになるんです。  分かりましたか。  ジャイ介君が言いました。 ジャイ介 「本当は、すね吉君が、悪ぶって、格好つけていたから、意地悪で、万引きするように言ったんです。 ごめんなさい。」  今度は、心から謝りました。 【場面13】  ウルサちゃんと、お父さん、お母さんが、警察署に来ています。お巡りさんが 警察官 「ウルサちゃん。万引きした本をジャイ介君から、もらっているね。」 と聞くと、ウルサちゃんは怒ったように、言いました。 ウルサ 「確かに貰いました。この本です。でも、それだけのことで、何で警察署にまで呼ばれるのですか。」  すると、お巡りさんは、厳しい顔をして言いました。 警察官 「盗んだ物を貰うことは、犯罪なんだよ。」 ●【盗んだものをもらうことは犯罪】をボードに貼る。 ◎皆さん。万引きしたものなど、盗んだ物をもらうことは犯罪になります。  たとえば、皆さんが大切にしているカードとか、ぬいぐるみを、誰かが盗んだとします。 盗んだ人が、別の人に「盗んできたものだから良いよ。」と、あげました。  そうすると、持ち主の皆さんのところには、大切なカードやぬいぐるみは、戻ってきませんね。それで、いいですか。  持ち主の物を守るため、盗むことも、盗んだ物を貰うことや、盗んだ物を買うことも、 やってはいけない犯罪と決められています。  ◎盗んだ物をもらったり、買ったりすることは、絶対にやめましょう。 【場面14】  お巡りさんは、言いました。 警察官 「ウルサちゃん。お店の人は、万引きした人も、その品物を貰った人も、同じくらい、許せないんだよ。」  ウルサちゃんのお父さんが言いました。 ウルサの父 「ウルサは、自分のやったことが、『お店に迷惑を掛ける、とても悪いことなんだ。』 ということが分かったかい。」 ウルサ 「はい。私、自分が盗んだ訳じゃないから、良いかと思ってしまいました。ごめんなさい。」  ウルサちゃんは、今度は、素直に謝りました。お母さんも  ウルサの母 「ご迷惑をおかけしました。」 と、謝りました。 【場面15】  すね吉君とのび彦君のおうちの人が、警察署に来たところで、皆が、一つの部屋に集められました。  お巡りさんが、子ども達四人に、怖い顔をして言いました。 警察官 「君達は、警察に捕まる、犯罪を犯したんだ。『犯罪だと知らなかった。』などという言い訳は、通用しないぞ。 何故、お母さん達が泣いているのか、お父さん達が、今、どんな気持ちなのか、分かっているのか。」  のび彦君とウルサちゃんは、お母さんが泣いている姿を見て言いました。 のび彦・ウルサ 「やって良いことか、悪いことかをしっかり考えず、やってしまいました。ごめんなさい。」  ジャイ介君も、慌てて言いました。 ジャイ介「遊び半分でやりました。ごめんなさい。」  すね吉君も言いました。 すね吉 「僕も、『万引きをしたことがある。』って自慢したいと思い、やったんです。 悪いことができるなんて、自慢になりません。ごめんなさい。」 ◎あーぁ。本当だ。  お母さん達は、涙を流しています。お父さんも、悲しそうな顔をしていますね。  このときの、お父さんやお母さんは、どんな気持ちか、考えてみましょう。  1 子どものことを怒っている。  2 裏切られたとショックを受けている。  3 その他。  3つの答えのうち、どれかに手を挙げて下さい。  1 子どものことを怒っていると思う人。  2 裏切られたとショックを受けていると思う人。  3 その他だと思う人。  では、何人かに、「その他」どんな思いか聞いてみましょう。  (時間がないときは、「その他の気持ちについて、手を挙げたお友達は、クラスに帰ってから、発表して下さいね。」 と、学校にお願いする。) ◎お父さんやお母さんは、皆さんが悪いことをすると、叱ったり、注意すると思います。 それは、皆さんに「良い子に育って欲しい。」と願い言っているんです。  そして、皆さんの様子を見て「良い子に育っているな。」と信じています。  でも、このお話のように、信じている自分の子どもが、警察に捕まるような犯罪を犯していたと知ったときは、 とても残念で、悲しい思いをします。 ◎ うちの人を悲しませるようなことをするのは、止めましょう。  四人の言葉を聞くと、お巡りさんは、言いました。 【場面16】 警察官 「いいか。君達に、約束してもらいたいことが二つある。」 ●【判断する力を持つ】をボードに貼る。 警察官 「約束の一つ目は、『やって良いことか悪いことか、判断する力を持つ。』ということだ。」 ●【強い意志を持つ】をボードに貼る。 警察官 「約束の二つ目は、『悪いことはしない、悪いことに流されない、強い意志を持つ。』ということだ。 この二つは、大人になってからも、ずっと、大切なことなんだ。 みんな、この二つをしっかり守っていくこと、お巡りさんと、約束できるかい。」  四人は、お巡りさんの顔をしっかり見ながら、真剣に答えました。  「はい。約束します。」 警察官 「そうか。それでは、今日は、全員、おうちの人と一緒に帰りなさい。 君達には、この後、何回か警察署に来てもらうよ。」 ◎それでは、皆さんに質問します。お巡りさんが言った二つの約束。 『やって良いことか悪いことか、判断する力を持つ』 『悪いことはしない、悪いことに流されない、強い意志を持つ』  自分も、できるという人、手を挙げて下さい。  ありがとうございます。大切なことです。しっかりと、身に付けていきましょう。  お巡りさんは、最後に言いました。 警察官 「みんな、この後、大切なことを忘れずにやるんだぞ。」 ◎ 皆さん、お巡りさんが言う「大切なこと」とは、何でしょう。  次の場面を見てみましょう。 【場面17】  子ども達四人と、それぞれのお父さん、お母さんは、警察署から出ると、そのまま、みんなで、お店に行き  「ごめんなさい。」 と、謝りました。  店長さんは、怒って言いました。 店長 「いいかい。君達は、軽い気持ちで万引きしたと思うが、万引きで潰れてしまう店もある。 そのくらい、万引きは、お店にとっては重大な問題なんだ。 もう、二度と万引きはしないと約束できるのか。」  四人は、万引きでお店がつぶれるという話を聞き、驚きました。  店長さんが、お店を守るため、自分達を本気で怒るのは当たり前だと分かり、  「もう、二度と万引きはしません。」  「約束します。」  「本当に、ごめんなさい。」 と、心から真剣に謝りました。 ◎皆さん、お話を聞いて、  「万引きすること。見張りをすること。万引きを頼むこと。万引きした品物をもらうこと。  こういうことは、どれも、警察に捕まる犯罪である。」  ということが、理解できましたか。 ◎警察に捕まるような犯罪は、絶対にやらないと約束してくれる人。  ありがとうございます。 【おしまい】 ◎お話の中にもあったとおり、大人になってからも、ずっと大切な二つのこと、  「やって良いことか、悪いことをしっかり判断する力を持つ。」  「悪いことはしない、悪いことに流されない、強い意志を持つ。」  この二つをしっかりと身につけ、他人に迷惑を掛けず、正しい行動がとれる、お兄さん、お姉さんになりましょう。 ◎それでは、これで「考えよう。やって良いこと 悪いこと」のお勉強をおしまいにします。 おしまい