神奈川県警察における週休2日制確保工事試行要領(土木工事) 1 目的 本要領は、公共工事の品質確保の促進に関する法律の趣旨に基づき、建設業における担い手の確保を図るための取組として、神奈川県警察(以下、「県警」という。)が発注する土木工事の工事現場における週休2日制を確保する工事(以下、「週休2日制工事」という。)を実施するために必要な事項を定めるものである。 2 発注方式(発注者指定型) 次のいずれかの方式とする。 (1) 現場閉所による週休2日制工事   工事現場で現場閉所日を設ける「現場閉所」による週休2日に取り組むことを、発注者が指定する方式をいう。   発注者は完全週休2日又は月単位の週休2日のどちらかを指定する。 (2) 交替制による週休2日制工事   工事現場で技術者及び技能労働者が交替しながら休日を確保する「交替制」による週休2日に取り組むことを、発注者が指定する方式をいう。 3 対象工事 全ての工事を本試行の対象として、原則現場閉所による週休2日制工事とする。ただし、特に緊急を要する災害復旧工事等は、本試行の対象としない。 なお、昼夜間連続作業を行う工事等、現場閉所を行うことが明らかに困難な工事については、交替制による週休2日制工事とすることができる。また、現場閉所による週休2日制工事として発注した場合において、受注者が交替制による週休2日制工事を希望するときは、現場着手日より前に受発注者間で協議した場合に限り、交替制による週休2日制工事に変更することができる。 4 現場閉所による週休2日制工事 4-1 用語の定義 (1) 通期の週休2日  工事現場において、対象期間内で4週8休以上の現場閉所日を設けることをいう。 (2) 月単位の週休2日 通期の週休2日を達成し、かつ対象期間内の全ての月で4週8休以上の現場閉所日を設けることをいう。ただし、暦上の土曜日及び日曜日の閉所では4週8休以上に満たない月は、その月の土曜日及び日曜日の合計日数以上に現場閉所日を設けている場合に、4週8休以上を達成しているものとみなす。 (3) 完全週休2日   月単位の週休2日を達成し、かつ対象期間の全ての週において、現場閉所日を土曜日及び日曜日に指定し、1週間に2日間以上の現場閉所日を設けることをいう。ただし、受注者の責によらず土曜日や日曜日に施工を行わざるを得ない場合は、事前に受発注者間で協議した上で、同一の週で土曜日及び日曜日に代わる現場閉所日を指定することができる。なお、1週間の定義は「月曜日から日曜日まで」を基本とする。 (4) 現場閉所日 工事現場において、一日を通して、現場事務所での事務処理も含む一切の作業を実施しない日をいう。ただし、現場管理上必要な保安等の巡回パトロール、通行規制に係る交通誘導、機器類の保守点検等は作業から除くこととする。 なお、降雨・降雪等による予定外の現場閉所日についても、現場閉所日数に含めることができるものとする。 (5) 4週8休以上   対象期間内の現場閉所日数の割合(以下「現場閉所率」という)が28.5%(8日/28日)以上となる状態をいう。 (6) 現場着手日 現場事務所の設置、起工測量、資機材の搬入又は仮設工事等を開始した日をいう。 (7) 現場完成日 現場事務所の撤去、後片付け、清掃等の作業が全て完了した日をいう。 (8) 対象期間 週休2日制工事において、週休2日に取り組む期間のことであり、現場着手日から、現場完成日までの期間をいう。 なお、年末年始休暇6日間及び夏季休暇3日間はあらかじめ対象期間から除くこととする。 また、現場作業を伴わない工場製作のみの期間、工事全体の一時中止期間、工事目的外の突発的な災害発生時の対応や災害の発生が予想される場合の予防作業期間など、発注者が認めた期間については、その都度、監督員と受注者で協議し、対象期間から除くこととする。 4-2 週休2日の達成基準 (1) 通期の週休2日 通期の週休2日の達成は、対象期間内の現場閉所率が、4週8休以上の水準に達していることをもって判断する。 (2) 月単位の週休2日 月単位の週休2日の達成は、通期の週休2日を達成し、かつ対象期間内の全ての月で現場閉所率が、4週8休以上の水準に達していることをもって判断する。ただし、暦上の土曜日及び日曜日の閉所では4週8休以上の水準に満たない月は、その月の土曜日及び日曜日の合計日数以上に閉所を行っている場合に、4週8休以上を達成しているものとみなす。 (3) 完全週休2日 完全週休2日の達成は、月単位の週休2日を達成し、かつ対象期間内の全ての週(月曜日から日曜日までを基本とする)において、土曜日及び日曜日に現場閉所されたことをもって判断する。ただし、受注者の責によらず土曜日や日曜日に施工を行わざるを得ない場合は、事前に受発注者間で協議した上で、同一の週で土曜日及び日曜日に代わる現場閉所日を指定することができる。 4-3週休2日制工事の実施 (1) 週休2日制工事実施の内容 実施にあたっては、次のアからオに取り組むこととする。 ア 受発注者は、工事着手前の施工計画書作成段階において、工期全体に影響を与える事項について情報共有することとする。 イ 受注者は、毎週、先週の実績と今週の計画工程を示した週間工程表を監督員に提出する。 ウ 受注者は、当月分の「現場閉所実績報告書」(別紙1)を、翌月の5日までに監督員に提出する。 エ 受注者は、原則として、工事完成届提出日の20日前までに、最終月の「現場閉所実績報告書」(別紙1)及び対象期間全体の「現場閉所履行報告書」(別紙2)を作成し、監督員へ提出する。 オ 受注者は、公衆の見易い場所に、週休2日制工事である旨を明示する。記載内容は次の例を基本とし、大きさはA3サイズ以上とする。 記載内容の例 週休2日制に取り組む工事 この工事は、建設産業の労働環境を改善するため、週休2日の確保に取り組む工事です。 発注者:神奈川県知事 受注者:○○建設株式会社 (2) 経費補正の実施   発注者は、当初の設計金額において、別添「神奈川県警察における週休2日制確保工事試行要領補足事項(土木工事)」(以下「補足事項」という。)により完全週休2日又は月単位の週休2日の経費補正を行う。 ア 完全週休2日の経費補正の実施 当初の設計金額において完全週休2日の経費補正を行う。完全週休2日の現場閉所を達成できず月単位の週休2日を達成した場合は、契約書第25条の規定に基づき請負代金額のうち当該補正分を減額し、月単位の週休2日の経費補正を行った金額に変更する。 月単位の週休2日の現場閉所が達成できなかった場合には、契約書第25条の規定に基づき請負代金額のうち当該補正分を減額変更する。 イ 月単位の週休2日の経費補正の実施 当初の設計金額において月単位の週休2日の経費補正を行う。完全週休2日の現場閉所を達成した場合は、契約書第25条の規定に基づき請負代金額を増額変更し、月単位の週休2日の現場閉所が達成できなかった場合には、契約書第25条の規定に基づき請負代金額のうち当該補正分を減額変更する。 (3) 工事成績評定への反映   完全週休2日を達成した場合には、「補足事項」により工事成績評定に反映する。 なお、月単位の週休2日が達成できなかった場合でも減点は行わないが、明らかに受注者側に月単位の週休2日に取り組む姿勢が見られなかった場合については、「補足事項」により減点する。 5 交替制によるモデル工事 5-1 用語の定義 (1) 通期の週休2日   工事現場において、対象期間内で休日率が4週8休以上となることをいう。 (2) 月単位の週休2日 通期の週休2日を達成し、かつ対象期間内の全ての月で休日率が4週8休以上となることをいう。 (3) 完全週休2日 月単位の週休2日を達成し、対象期間の全ての週において、技術者及び技能労働者が交替しながら1週間に2日間以上の休日を確保する取組みをいう。 (4) 4週8休以上 対象期間内の休日率が28.5%(8日/28日)以上となる状態をいう。 (5) 現場着手日 現場事務所の設置、起工測量、資機材の搬入又は仮設工事等を開始した日をいう。 (6) 現場完成日 現場事務所の撤去、後片付け、清掃等の作業が全て完了した日をいう。 (7) 対象期間 週休2日制工事において、週休2日に取り組む期間のことであり、現場着手日から現場完成日までの、技術者及び技能労働者の従事期間をいう。 下請企業については施工体制台帳上の工期を基本とするが、技術者及び技能労働者の従事期間が1週間未満の場合は対象外とする。 なお、年末年始休暇6日間及び夏季休暇3日間はあらかじめ対象期間から除くこととする。 また、現場作業を伴わない工場製作のみの期間、工事全体の一時中止期間、工事目的外の突発的な災害発生時の対応や災害の発生が予想される場合の予防作業期間など、発注者が認めた期間については、その都度、監督員と受注者で協議し、対象期間から除くこととする。 (8) 休日率 現場に従事した技術者及び技能労働者の平均休日数の割合をいう。 なお、降雨・降雪等による予定外の休日についても、休日数に含めることができる。 5-2 週休2日の達成基準 (1) 通期の週休2日 通期の週休2日の達成は、対象期間内に現場に従事した技術者及び技能労働者の休日率が、4週8休以上の水準に達していることをもって判断する。 (2) 月単位の週休2日 月単位の週休2日の達成は、通期の週休2日を達成し、かつ対象期間内の全ての月において、現場に従事した技術者及び技能労働者の休日率が、4週8休以上の水準に達していることをもって判断する。 (3) 完全週休2日 完全週休2日の達成は、月単位の週休2日を達成し、かつ対象期間内の全ての週において、現場に従事した技術者及び技能労働者の休日率が、28.5%(2日/7日)以上の水準に達していることをもって判断する。 なお、夜間工事の場合は曜日を跨ぐため、作業に着手した日を作業日とし、週7回の夜間のうち、週2回の夜間で休みを取得していれば、休日率が28.5%(2日/7日)以上の水準の状態とみなす。 5-3 週休2日制工事の実施 (1) 週休2日制工事実施の内容 実施にあたっては、次のアからオに取り組むこととする。 ア 受発注者は、工事着手前の施工計画書作成段階において、工期全体に影響を与える事項について情報共有することとする。 イ 受注者は、毎週、先週の実績と今週の計画工程を示した週間工程表を監督員に提出する。 ウ 受注者は、当月分の「休日確保実績報告書」(別紙3)を、翌月の5日までに監督員に提出する。 エ 受注者は、原則として、工事完成届提出日の20日前までに、最終月の「休日確保実績報告書」(別紙3)及び対象期間全体の「休日確保履行報告書」(別紙4)を作成し、監督員へ提出する。 オ 受注者は、公衆の見易い場所に、週休2日制工事である旨を明示する。記載内容は次の例を基本とし、大きさはA3サイズ以上とする。 記載内容の例 週休2日制に取り組む工事(交替制) この工事は、建設産業の労働環境を改善するため、工事従事者毎に交替で週休2日の確保に取り組む工事です。 交替制のため、現場は休工(閉所)しない場合があります。 発注者:神奈川県知事 受注者:○○建設株式会社 (2) 経費補正の実施  当初の設計金額において、「補足事項」により月単位の週休2日の経費補正を行う。  交替制による完全週休2日を達成した場合は、契約書第25条の規定に基づき請負代金額を増額変更し、月単位の週休2日が達成できなかった場合には、契約書第25条の規定に基づき請負代金額のうち当該補正分を減額変更する。 (3) 工事成績評定への反映 完全週休2日を達成した場合には、「補足事項」により工事成績評定に反映する。 月単位の週休2日が達成できなかった場合でも減点は行わないが、明らかに受注者側に月単位の週休2日に取り組む姿勢が見られなかった場合については、「補足事項」により減点する。 6 その他   「現場閉所実績報告書」(別紙1)、「現場閉所履行報告書」(別紙2)、「休日確保実績報告書」(別紙3)、「休日確保履行報告書」(別紙4)及び週間工程表の内容に疑義が生じた場合には、発注者は、受注者に疑義の内容についてヒアリング等を行い、その経緯・原因等を確認したうえで、虚偽が明らかになった場合は、工事成績評定の修正等の措置を行う。 附則 1 この要領は、令和6年7月30日以降に公告するモデル工事(土木工事)に適用する。 2 土木工事標準積算基準書(令和5年7月1日)を適用しているモデル工事については、従前の例による。 附則 1 この要領は、令和7年4月1日以降に公告するモデル工事(土木工事)に適用する。 附則 1 この要領は、令和7年9月30日以降に公告する週休2日制工事に適用する。 2 土木工事標準積算基準書(令和6年7月1日)を適用しているモデル工事については、改正後の規定にかかわらず、なお従前の例による。   別 添 神奈川県警察における週休2日制確保工事試行要領補足事項(土木工事) 1 現場閉所による週休2日制工事 (1) 経費補正の実施(要領4 4-3(2)関係)  神奈川県警察では当初設計に1「完全週休2日」補正分を計上する場合(以下「現場閉所(完全週休2日)」という。)と、2「月単位の週休2日」補正分を計上する場合(以下「現場閉所(月単位の週休2日)」という。)を設けています。 発注者が1又は2を選択し入札公告等に記載しますので、確認してください。 ア 完全週休2日の経費補正の実施 当初の設計金額において、下表の経費に完全週休2日の係数を乗じた補正を行い、入札公告等に「現場閉所(完全週休2日)」と記載する。 完全週休2日を達成できず月単位の週休2日を達成した場合は、月単位の週休2日の係数を乗じた補正を行う。 完全週休2日及び月単位の週休2日を達成できなかった場合には、完全週休2日補正分を減額する。 イ 月単位の週休2日の経費補正の実施 当初の設計金額において、下表の経費に月単位の週休2日の係数を乗じた補正を行い、入札公告等に「現場閉所(月単位の週休2日)」と記載する。 完全週休2日を達成した場合は、完全週休2日の係数を乗じた補正を行う。月単位の週休2日が達成できなかった場合には、当該補正分を減額する。 現場閉所実績 完全週休2日(全週現場閉所率28.5%(2日/7日)以上) ・補正係数 労務費 1.02 ・補正係数 機械経費(賃料) ‐ ・補正係数 共通仮設費率 1.02 ・補正係数 現場管理費率 1.03 月単位の週休2日(全月現場閉所率28.5%(8日/28日)以上) ・補正係数 労務費 1.02 ・補正係数 機械経費(賃料) ‐ ・補正係数 共通仮設費率 1.01 ・補正係数 現場管理費率 1.02 ※ 材工一式での見積単価、工場製作工については、労務費、機械経費(賃料)の補正対象としない。 (2) 工事成績評定への反映(要領4 4-3(3)関係) 現場閉所実績に応じて、工事成績評定で下表の加点や減点を行う。 現場閉所実績 加点 完全週休2日 1点 現場閉所実績 減点 明らかに月単位の週休2日に取り組む姿勢が見られなかった場合 -1点 2 交替制による週休2日制工事 (1) 経費補正の実施(要領5 5-3(2)関係) 当初の設計金額において、下表の経費に月単位の週休2日の係数を乗じた補正を行う。   完全週休2日を達成した場合は、完全週休2日の経費補正を行う。 休日確保実績 完全週休2日(全週休日率28.5%(2日/7日)以上) ・補正係数 労務費 1.02 ・補正係数 機械経費(賃料) ‐ ・補正係数 共通仮設費率 ‐ ・補正係数 現場管理費率 1.03 月単位の週休2日 (全月休日率28.5%(8日/28日)以上) ・補正係数 労務費 1.02 ・補正係数 機械経費(賃料) ‐ ・補正係数 共通仮設費率 ‐ ・補正係数 現場管理費率 1.02 ※ 材工一式での見積単価、工場製作工については、労務費、機械経費(賃料)の補正対象としない。 (2) 工事成績評定への反映(要領5 5-3(3)関係) 休日確保実績に応じて、工事成績評定で下表の加点や減点を行う。 休日確保実績 加点 完全週休2日 1点 休日確保実績 減点 明らかに月単位の週休2日に取り組む姿勢が見られなかった場合 -1点