移植用臓器等の緊急搬送に対する協力について (平成13年3月16日例規第15号/神地総発第110号/神指発第222号/神交総発第182号/神交指発第195号) 最終改正 平成29年8月9日例規第29号神地総発第150号 各所属長あて 本部長  臓器の移植に関する法律(平成9年法律第104号。以下「法」という。)に規定する死体から摘出された臓器、法の規定により臓器の摘出をしようとする医師又は臓器の摘出に必要な器材(以下「臓器等」という。)の搬送が緊急に必要となる場合で、関係機関から警察による先導又は搬送の要請を受けたときは、次の要領により可能な限り協力することとしたので、運用上誤りのないようにされたい。 記 第1 趣旨  臓器等の応急運搬は、臓器あっせん機関である公益社団法人日本臓器移植ネットワーク(以下「ネットワーク」という。)又は移植医療を実施する医療機関(以下「移植医療機関」という。)が保有する緊急自動車、公共交通機関等によって行われるが、これら臓器等の応急運搬は、人命に関わるものであり、厳しい時間的制約の下で行うことが要求されるものである。このことから、ネットワーク及び移植医療機関から警察に対し、警ら用無線自動車及び交通取締用自動車(以下「警ら用無線自動車等」という。)による先導若しくは臓器等の搬送(以下「先導等」という。)又は警察用航空機による臓器等の搬送要請がなされた場合は、事案の緊急性、公益性等を判断して可能な限り協力することとしたので、その実施について必要な事項を定めるものとする。 第2 連絡及び実施体制 1 連絡責任者 (1) 地域部地域総務課長(以下「地域総務課長」という。)をネットワーク及び移植医療機関(以下「ネットワーク等」という。)との連絡責任者とする。 (2) 連絡責任者の任務は、次のとおりとする。 ア ネットワーク等との平素からの連絡体制の確立 イ ネットワーク等に対する先導等の要請方法、先導等における留意事項等についての指導 ウ 先導等が迅速かつ円滑に行われるための移植医療機関と実施責任者との連絡調整 エ 警察用航空機を使用する場合における航空隊長に対する指揮 2 実施責任者 (1) 自動車警ら隊、第一交通機動隊、第二交通機動隊及び高速道路交通警察隊(以下「執行隊」という。)の長並びに警察署長を臓器等の先導等における実施責任者とする。 (2) 実施責任者は、県内の移植医療機関の所在地を把握し、事前にコースを検討するなど先導等の要請に即応できる体制を確立しなければならない。 3 実施担当者 (1) 執行隊の当番日に当たっている中隊長、警察署の担当次長(地域)及び地域課長(交通地域課長を含む。担当次長(地域)が置かれていない警察署に限る。)を実施担当者とする。ただし、警察署の当直の勤務時間にあっては、当直主任がこれを代行するものとする。 (2) 実施担当者は、先導等に従事する警察官を直接指揮し、警ら用無線自動車等に同乗するなど、その迅速な実施と事故防止に当たる。 第3 実施要領等 1 実施手段  臓器等の先導等は、警ら用無線自動車等により行うものとする。ただし、警察用航空機による緊急搬送の要請があった場合は、警察用航空機により臓器等を搬送することができる。 2 実施所属 (1) 警ら用無線自動車等による先導等は、原則として、自動車警ら隊が行うものとする。ただし、時間的、場所的に自動車警ら隊で実施することが困難な場合にあっては、出発地又は引継地を管轄する警察署が行うものとする。 (2) 自動車警ら隊及び警察署で先導等ができない場合にあっては、第一交通機動隊、第二交通機動隊又は高速道路交通警察隊が行うものとする。 3 実施要領 (1) 臓器等の先導等の要請は、地域部通信指令課長(以下「通信指令課長」という。)が受理するものとする。 (2) 通信指令課長は、前(1)の要請を受けたときは、次の事項を確認し、速やかに、連絡責任者及び実施責任者に通報するものとする。 ア 出発時間 イ 臓器等の出発地(搬送元)と到着地(搬送先) ウ 先導等の手段(警ら用無線自動車等又は警察用航空機の別) エ 警視庁、山梨県警察又は静岡県警察との引継ぎがある場合は、その引継ぎの場所及び要領 オ ネットワーク等の担当者への連絡方法 (3) 実施責任者は、通信指令課長から前(2)の通報を受けたときは、直ちに臓器等の先導等に係る経路の交通状況、気象状況等を調査し、警ら用無線自動車等による先導等の可否について通信指令課長に速報するものとする。 (4) 先導等は、指定された出発地から到着地(県外へ引き継ぎ、又は県外から引継ぎを受ける場合にあっては、その引継地点)までを継続して行うものとし、この場合、実施責任者は、次の措置を講ずるものとする。 ア 出発地又は引継地への警ら用無線自動車等の派遣 イ 移植医療機関及び先導等の経路上の要点への警察官の派遣並びにその周辺における交通、雑踏等の整理 ウ 先導等に当たる警ら用無線自動車等の呼称名、乗務員の階級及び氏名その他必要な措置を講じた場合の通信指令課長への速報 エ 警察用航空機が臓器等を搬送する場合におけるヘリポート又は臨時の離発着場への警察官の派遣及びその周辺における警戒 オ その他先導等に関する情報の収集及び入手した情報の通信指令課長への速報 (5) 実施責任者(警察署長に限る。)は、先導等の要請があった場合は、前(2)のアからオまでの事項を確認し、直ちに、これを通信指令課長及び連絡責任者に通報するものとする。 4 実施上の留意事項 (1) 先導等は、人命に関わる重要な任務であることを認識すること。 (2) 先導等に当たっては、赤色灯、サイレン及びマイクを有効に活用し、車両事故防止に努めること。 (3) 先導等に当たる警ら用無線自動車等及び警察用航空機は、搬送経路の各通過点を、逐次、通信指令課長(通信指令官経由)に報告すること。 (4) 臓器移植は、関係者のプライバシーに関わるものであることから、必要な連絡は「有線」を原則とすること。 (5) やむを得ず警ら用無線自動車等から無線により連絡をする場合は、任務の呼称は、「特命」とするほか、「臓器」その他の臓器移植に関する言葉は、一切使用しないこと。 (6) 移植医療機関等には、新聞、テレビその他の報道関係者が多数集まることが予想されるため、実施責任者は、平素から部下職員に対し、臓器移植の流れ、現場における適切なマスコミ対応等について教養を実施すること。 第4 事後の措置等 1 報告 (1) 先導等を行った実施責任者は、通信指令業務運営要領の制定について(平成元年10月16日 例規第41号、神指発第286号)第13条第6項の規定により先導等に当たった警察官が作成した先導実施結果報告書の写しを、速やかに、連絡責任者(通信指令課長経由)に送付しなければならない。 (2) 前(1)の写しの送付を受けた連絡責任者は、その内容を警察庁生活安全局地域課長及び警察庁交通局交通企画課長あてに報告するものとする。 2 交付金  航空機により臓器等を搬送した場合は、公益社団法人日本臓器移植ネットワーク臓器搬送交付金交付規程(平成25年ネットワーク内規)の定めによりネットワークから交付金を受けられることとなっているが、警察用航空機で臓器等の搬送を行った場合については、交付金の申請は行わないものとする。    附則 省略