○交通事故事件現場鑑識活動実施要綱の制定について (平成13年3月29日例規第30号/神交指発第226号) 最終改正 平成22年3月3日例規第7号  各所属長あて 本部長  このたび、ひき逃げ事件、運転者の特定又は過失認定の困難な特異・重大交通事故事件等が発生した場合の捜査支援を図るため、交通部交通指導課に交通機動鑑識係を新設し、その運用を開始するに当たり、現場鑑識活動の基本的事項を明らかにし、適正な初動捜査を推進するために、交通事故事件現場鑑識活動実施要綱を別添のとおり制定し、平成13年4月1日から施行することとしたので、運用上誤りのないようにされたい。  おって、ひき逃げ交通事故現場鑑識要綱の制定について(昭和37年1月23日 例規、神鑑発第15号)は、廃止する。 別添  交通事故事件現場鑑識活動実施要綱 (趣旨) 第1条 交通事故事件に係る現場鑑識活動については、別に定めがあるもののほか、この要綱の定めるところによる。 (定義) 第2条 この要綱において「重要交通事故事件」とは、次の各号のいずれかに該当するものをいう。 (1) 死亡事故事件 (2) 重傷ひき逃げ事故事件 (3) 運転者の特定が困難な重傷事故事件 (4) 当事者の言い分が重要な部分で食い違う重傷事故事件 (5) 将来公判が予想される事故事件 (6) 事故関係車両の挙動解析が困難な事故事件 (7) その他発生所属の長が現場鑑識活動を必要と認めた事故事件 (初動措置) 第3条 第二交通機動隊、高速道路交通警察隊及び警察署(以下「警察署等」という。)の長は、重要交通事故事件が発生したときは、速やかに警察官を派遣し、初動措置を行わせるとともに、捜査員等(当該事故事件の捜査を担当する警察官及び鑑識係員(鑑識係の置かれていない警察署等を除く。)をいう。以下同じ。)を臨場させなければならない。 2 警察署等の長(以下「署長等」という。)は、常時、捜査員等の臨場が迅速に行われるように、警察署等の実情に応じた措置をとるものとする。 (初動責任者) 第4条 重要交通事故事件の発生現場(以下「現場」という。)に最初に到着した巡査部長以上の階級にある警察官を初動責任者とする。 2 初動責任者は、捜査主任官が臨場するまでの現場保存の責任を負う。 (現場鑑識活動) 第5条 捜査員等は、重要交通事故事件の特殊性にかんがみ、速やかに臨場し、現場の保存、観察、採証等の現場鑑識活動を迅速的確に実施しなければならない。 2 遺留資料及び対照資料の採取に当たっては、鑑定に支障が生じないように留意し、特にその証明力の確保について適切な措置を講じなければならない。 (初動捜査への活用) 第6条 現場鑑識活動は、重要交通事故事件の捜査に当たる者と協同して行うものとし、現場で発見した物件の状態等について逐一捜査主任官に通報し、緊急配備、重点警戒等の手配の変更又は追加が合理的かつ能率的に行われるようにしなければならない。 2 現場鑑識活動によって、ひき逃げ事件の加害車両を推定又は特定できる事項その他事件解決の端緒となる事項が判明したときは、初動捜査への積極的な活用を図らなければならない。 (留意事項) 第7条 捜査員等は、次の事項に留意して現場鑑識活動を行わなければならない。 (1) 徹底した現場鑑識活動が重要交通事故事件解決の基盤であることから、適正かつ積極的にこれを行うこと。 (2) 一般交通を必要以上に阻害しないように努めること。 (3) 受傷事故の防止について、十分な配慮をすること。 2 捜査員等は、現場鑑識活動の結果について常に反省検討し、技能の向上を図らなければならない。 (交通機動鑑識係員の派遣要請) 第8条 署長等は、重要交通事故事件が発生し、交通部交通捜査課交通機動鑑識係員(以下「交通機動鑑識係員」という。)の派遣を必要とするときは、交通部交通捜査課長(以下「交通捜査課長」という。)に現場鑑識の派遣要請について(別記様式)により派遣を要請するものとする。この場合において、急を要し書面により要請ができないときは、電話等により要請するものとし、書面にあっては事後、速やかに送付するものとする。 (交通機動鑑識係員の派遣) 第9条 交通捜査課長は、前条の派遣要請を受け派遣の必要があると認めるときは、事案の性質、規模、態様等により交通機動鑑識係員の全部又は一部を派遣するものとする。 (交通機動鑑識係員の出動等) 第10条 交通機動鑑識係員は、重要交通事故事件の発生を認知し、又は署長等からの派遣の要請があったときは、交通捜査課長の命を受けて出動するものとする。 2 交通機動鑑識係員は、現場鑑識活動に当たっては、当該事故事件の捜査主任官の指揮を受け、捜査員等と一体となって活動しなければならない。 (基礎資料の収集、整理保管及び活用) 第11条 交通捜査課長は、重要交通事故事件の鑑識活動を効果的に推進するため、平素からタイヤの模様、塗膜等必要な基礎資料の収集に努めなければならない。 2 交通捜査課長は、前項の規定により収集した基礎資料を、効果的に活用できるように整理保管しなければならない。 3 交通捜査課長は、前2項の規定により収集し、整理保管された基礎資料を重要交通事故事件に係る鑑定及び初動捜査に活用しなければならない。 (鑑定) 第12条 交通捜査課長は、重要交通事故事件に係る鑑定に当たっては、迅速に処理しなければならない。 (鑑定書等の作成及び保管) 第13条 鑑識結果の報告書、鑑定書等(以下「鑑定書等」という。)の作成に当たっては、将来の公判に備え綿密に作成しなければならない。 2 鑑定書等については、当該事故事件に係る公判が終了するなど必要がなくなるまでの間、適切に保管しなければならない。 (鑑定技術の高度化) 第14条 重要交通事故事件に係る鑑定は、専門的な知識及び技術を必要とするため、交通捜査課長は、新技術の導入に努めるとともに、大学その他の専門研究機関と密接な連携を保持し、鑑定技術の高度化を図らなければならない。 2 交通機動鑑識係員は、鑑定技術について常に研さんに努めなければならない。 (教養の実施) 第15条 交通捜査課長は、重要交通事故事件に関する現場鑑識活動の技術の高度化を図るため、警察署等の交通課員、地域課員等に対する交通鑑識についての教養を計画的に実施しなければならない。 2 前項に規定する教養の内容は、次のとおりとする。 (1) 現場保存の要領 (2) 現場観察の着眼点 (3) 現場写真の撮影要領 (4) 現場資料の採取方法 (5) 採取資料の活用 (6) 自動車等に関する知識 (7) その他必要な事項 (報告) 第16条 署長等は、重要交通事故事件に関する現場鑑識活動の特異事例(以下「特異事例」という。)があったときは、事件の概要、資料の活用、鑑定結果等について交通部長(交通捜査課長経由)に報告しなければならない。 2 交通部長は、次の事項について警察庁交通局交通指導課長及び刑事局鑑識課長並びに関東管区警察局広域調整部広域調整第一課長及び広域調整第二課長に報告しなければならない。 (1) 特異事例のうち必要と認めるもの (2) 第15条の教養の実施結果(実施年月日、実施場所、種別、対象、人員及び内容)