○踏切カード整備取扱い要領の制定について (昭和38年5月23日例規/神交一発第269号) 最終改正 平成6年11月1日例規第67号  各所属長あて 本部長  踏切道における交通事故を防止するための諸対策を適正かつ積極的に推進するため、踏切道の実態を明確には握し、事務の合理化、能率化を図る必要から、別添の「踏切カード整備取扱い要領」を制定し、鉄道事業者と協力して踏切カードを作成整備することとしたので、これが取扱いについて誤りのないようにされたい。  なお、踏切道を有しない警察署にあつては参考にされたい。  踏切カード整備取扱い要領 1 目的   踏切道の実態のは握を容易かつ明確にし、危険度および利用度並びに改善整備の必要性等の判断を合理的、能率的にするため、基礎資料を整備統一し、総合的な事故防止対策を適正かつ積極的に推進して、踏切事故防止の完璧を期そうとするものである。 2 対象踏切道   管内の鉄道(新設軌道を含む)と道路法(昭和27年法律第180号)による道路とが交差している場合における踏切道であつて、その種別を問わず、現存するすべてについて作成するものとする。なお、今後新設されるものについても同様である。 3 作成整備分担区分   警察署において、管轄区域内に所在する踏切道について、所管の各鉄道事業者と協力して、おおむね次の調査記載分担区分により作成整備するものとする。  (1) 警察署   ア 管轄警察署、交番(駐在所)名   イ 環境   ウ 隣接踏切等へのう回路の状況(略図を含む)   エ 隣接関係のうち、陸橋、ガード等の関係事項   オ 交通事故発生状況   カ 改善意見   キ 改善状況   ク 踏切道の現場写真   ケ 接続道の状況(交差角度および取付勾配を除く)  (2) 警察本部   ア 車両制限令適用関係  (3) 鉄道事業者    警察署および警察本部において作成を分担する事項以外の事項  (4) その他競合関係   ア 道路交通量については、調査の実施者において相互に通報し、三者それぞれ記入する。   イ 改善意見および改善状況についても、それぞれの立場から判断又は確認して、上記アの例により記入する。 4 作成整備取扱い責任者   警察署においては、交通担当課(係)長とする。 5 作成部数   踏切道1箇所につき3部作成する。 6 作成、整備上の注意   別添記載例を参考とし、次の要領によること。  (1) 整理番号および踏切番号別に指示するところにより記入する。  (2) 管轄保線区    保線区名のほか、その事務所所在地を記入する。  (3) 踏切道所在地    当該踏切道の所在地番のうち、鉄道事業者の選んだ特定1箇所の地番を記入する。  (4) 踏切名    鉄道事業者の定めた名称によるものとし、無名のものについては、起点名および粁程を記入して特定を容易にすること。(通称名は記入しない。)  (5) 踏切種別    現行の基準による種別区分(第1種(甲、乙、自動、手動別)〜第4種)を記入する。  (6) 環境    例記の主たる該当欄に○印を付すること。  (7) 見とおし距離    現行の測定基準により、起終点寄りの各方向(最寄りの駅名を方向に入れる)、左、右両側につき、それぞれ実測して記入する。  (8) 見とおし障害物    見とおし距離測定地点における、見とおしの直接の障害物を記入する。(見とおし障害物除去の難易等の判断資料とする。)  (9) 隣接関係踏切道    起、終点寄りの方向に最寄りの駅名を記入し、起終点寄りの二方向について、当該踏切に近いものから順に2箇所の踏切について記入する。なお、当該踏切からのそれぞれの距離は、鉄道事業者の定める起点よりの粁程により算出するものとする。  (10)う回路の状況    当該踏切から、起、終点寄りの二方向について、最も近い隣接の踏切又は陸橋、ガード等に通ずるう回道路の状況について記入するもので、線路の左、右両側それぞれについて、まず線路に最も近いものを記入する。ただし、その幅員が当該踏切道の幅員より狭いものであるときは、そのほかさらに当該踏切道の幅員と同等若しくは同等以上の幅員のう回路について記入するものとする。    なお、地形により隣接踏切道等に通ずるう回路のない場合(川等により絶縁している場合等を含む。)は、その側については記入を要しない。  (11)隣接陸橋、ガード等    当該踏切道に隣接し、又は隣接の踏切道にさらに隣接して鉄道と交差する陸橋(道路が鉄道上をまたぐもの)又はガード(道路が鉄道の下を通つているもの)がある場合にこれらを記入するものとし、特にガードについては、桁下までの高さを記入することが必要である。  (12)列車運行状況    運行回数は、「(換算)鉄道交通量」を記入するものとし、換算率は、「踏切道の保安設備の整備に関する省令」(昭和36年12月25日、運輸省令第64号)第1条第1項の規定による別表第1に掲げる換算率によることとする。  (13)道路交通量  実数および「(換算)道路交通量」(上記省令第1条第2項の規定による別表第2に掲げる換算率による)の双方を記入する。  (14)交通事故発生状況    単に事故の数を見るためのものでなく、その対象、原因等を検討して、該踏切道の改善整備、交通規制等の必要性を判断する参考にしようとするもので、これらのことに直接に関係の少ない事故原因(自殺、線路敷内通行、幼児の歩行、遊戯等)による件数は計上しないこととする。なお、「法無視」の中には、通行者の一時停止、安全確認の不履行、警報又は遮断の無視を「車の故障」の中には、エンヂンストツプ、その他の故障を、「落輪」には、踏切道の幅員以上の車幅の車両の強行通過等による落輪事故を「施設欠陥」には、踏切道直近の取付道路の掘さく、踏切道内の工事等の不完全な復旧、踏切道床の損壊等狭義の施設欠陥に基因するもののみを計上し、見とおし不良、取付勾配、交差角度、取付道路の屈曲、踏切道の幅員等広義の施設欠陥に基因すると認められるものは、ここには入れないこととする。(直接、これらの原因に基因することの認定が困難であり、これらの点については別の角度から検討する。)  なお、被害は発生件数のみを記入し、人身事故を伴つたものは、人身事故として計上すること。  (15)改善意見    踏切道および接続道の構造、設備についてその実態、過去の事故原因、構造改良関係法令等から多角的に検討を加え、踏切道の拡幅、交差角度の変更、見とおしの改良、踏切道床又は接続道路の舗装、取付道路の直線化、取付道路の勾配の改善、警報機の設置、遮断機の設置、立体交差化(ガード化)、接続道路の拡幅、その他各種交通規制等の改善希望意見を記入するものとする。  (16)改善状況    上記の改善事項について、その後の改善実施状況を認知した場合に記入する。    なお、交通規制状況については、現在の状況の中に正規の規制のほか、鉄道又は警察署自体で実施している事実措置を記入すること。  (17)車両制限令適用関係    当該踏切道の部分を含めた接続道の、車両制限令適用関係について、道路管理者が区分を指定したものについて記入する。(○印を付す)  (18)略図の記載   ア 図の上方に当該踏切を中心とした隣接の踏切(それが交通規制されているときは、さらにその隣接の踏切)および陸橋、ガード等を下方の図に合わせて記入して、その距離を示し、(踏切間の距離は、鉄道の粁程による)さらに踏切名等の下に種別、幅員、交通規制状況、ガードの高さ等を記入する。   イ 鉄道およびこれと交差する踏切道の状況、接続道並びに隣接踏切又は陸橋、ガード等への連絡う回路の状況、地形、町名等がおおむね判明するようにし、特に附近に幼稚園、小学校等保安上注意を要する施設があるときはこれを記入する等、表面の記載事項に合わせ幅員、距離等を必ず記入すること。     なお、これら関連道路の交通規制実施状況についても記入することが必要である。   ウ 見とおし距離、接続道の縦断勾配を記載例により、図の適宜の空欄に記入すること。     なお、略図の記載に際しては、紙面の右、左いずれを鉄道の起、終点の方向としてもよいが、同一の路線にあつては、ガードを関連させて見易くするため、いずれかに統一して記入するようにすること。  (19)接続道の状況    30メートルまでの曲、直欄には、単線の場合の曲、直状況もしくは、道路が交差している場合の踏切からの距離を測定し、「何mで十字交」「何mで丁字交」「何mでY字交」等の例により記入すること。  (20) 現場写真     現場写真は、踏切道1箇所につき1枚又は2枚(2枚の場合は両側から撮影すること。)を添付することとし、写真版の大きさは手札型とする。(裏面に踏切名を記入しておくこと。) 7 保管、整備、連絡等  (1) 警察署、警察本部、鉄道事業者のそれぞれにおいて各1部ずつ保管する。  (2) 事故防止対策の検討、改善の要望等には、相互の連絡を密にするはもち論、常にガードの補正による最新の実態のは握が緊要であるので、各管理者においては、常にこれが最新かつ確実な資料として活用できうるよう整備しておくものとする。  (3) 上記目的を達成するため、カードの記載事項に変更を生じたことを認知した場合は、すみやかに、別記様式により、警察署から県本部交通部主務課長あて通報するとともに、保管のカードを補正しておくものとする。この場合には本部において保管のカードを補正するとともに所管の鉄道事業者に対して通報することとする。    なお、鉄道事業者において、変更を認知した事項については、鉄道事業者から上記の例により本部および所轄警察署長あて通報を行なうとともに、保管のカードを補正しておくものとする。  (4) 記載事項の変更が多面にわたる等、カードの補正が困難であるか、又はそれに要する労力が多大で新たに作成することが能率的であると認められるものについては、前記の作成整備分担区分の例により、新たにカードを作成すること。 8 作成期日、カードの送付方法等   第1回の作成についての期日は、別に指示する。またカードの三者相互間の送付方法についても別に指示するところによる。 附則(省略)