○石油コンビナート等災害防止法の施行に伴う警察措置の運用について (昭和52年2月17日例規/神備発第58号/神保発第52号/神交規発第16号/神交管発第129号) 改正 平成4年7月8日例規第74号神務発第938号神防発第528号神地一発第1号 平成8年4月1日例規第14号神災発第2号神交規発第127号 平成9年6月25日例規第27号神銃発第636号 平成12年8月30日例規第32号神総発第275号神務発第1492号神生総発第642号神刑総発第449号神交総発第647号神公一発第334号 平成12年12月26日例規第59号神総発第459号 平成16年9月7日例規第31号神務発第1720号 平成17年3月29日例規第16号神務発第622号 平成20年8月29日例規第42号神務発第1649号 各所属長あて 本部長  昭和51年6月1日石油コンビナート等災害防止法が施行され、警察も関係行政機関の一つとして、同法に基づき諸般の活動を行うものとされたが、警察措置上必要な事項及び運用上の留意事項等は次のとおりであるので、部下職員に周知徹底を図り、適正な運用に努められたい。 記 1 法律の目的及び概要 石油コンビナート等災害防止法(昭和50年法律第84号。以下「コンビナート法」という。)は、一定量以上の石油又は高圧ガスが取り扱われている区域又は将来取り扱われることになる区域を、石油コンビナート等特別防災区域(以下「特別防災区域」という。)として石油コンビナート等特別防災区域を指定する政令(昭和51年政令第192号)で指定し、当該区域に係る災害の特殊性にかんがみ、その災害の防止に関する基本的な事項を定めることにより、消防法、高圧ガス保安法、災害対策基本法その他の災害の防止に関する法律と相まつて、特別防災区域における総合的な防災対策の推進を図るとともに、特別防災区域に所在する事業所を一定の基準により第一種事業所及び第二種事業所に指定し、特別防災区域内のこれらの事業所に対して防災上必要な措置を講じようとするものである(本県では、特別防災区域として、京浜臨海地区、根岸臨海地区及び久里浜地区が指定されている。 この法律で規定されたことは、特別防災区域の指定のほか ○事業者には、流失油防止堤、消火又は延焼防止のための施設の設置、自衛防災組織の設置、防災規程の作成が義務づけられたこと。 ○事業所の新設又は変更(以下「新設等」という。)する場合は、届出が義務づけられたこと。 ○国及び地方公共団体は、事業所の防災活動についての助言又は指導、防災本部の設置、防災計画の作成及び緑地の設置等特別防災区域について、災害の発生、拡大の防止又は災害の復旧のため必要な方策を講ずるよう義務づけられたこと。 等である。 2 警察業務に関する事項 (1) 施設の新設等に伴い、主務大臣から協議があつた場合の措置 ア 警察庁の措置 石油コンビナートの新設及び既設石油コンビナート地域における事業所の変更に係る計画の届け出が行われた場合に、主務大臣(経済産業大臣及び総務大臣)から関係行政機関の長に対し、当該施設等が災害の拡大を防止するうえにおいて支障があるか否かの協議がなされる(コンビナート法第5条第1項、第7条第1項)。 主務大臣から協議を受けた警察庁(警備課)においては、主務大臣から事業者(石油及び高圧ガスを取り扱う第一種事業所)が提出した事業所新設等の計画の届出の写しを受理し、石油コンビナート等特別防災区域における新設事業所等の施設地区の配置等に関する省令(昭和51年通商産業省・自治省令第1号。以下「配置等に関する省令」という。)の審査基準等に基づき検討を加えるとともに、警察庁関係課及び関係都道府県警察の意見を徴したうえ、主務大臣に対し回答することとなる(コンビナート法第8条第3項)。 イ 警察本部の措置 警察庁から事業所の新設等の計画に関する届け出書の写しの送付を受け、意見を求められた警察本部(危機管理対策課)においては、審査基準等に基づき、本部関係課及び所轄警察署と共同の実地踏査等により審査し、これらの意見を徴した上、その結果を警察庁に回答する。 ウ 所轄警察署の措置 警察本部から、事業所の新設等の計画に関する届出の写しの送付を受けた所轄警察署(警備課)においては、関係各課と実地踏査及び協議、検討を行い、警察本部に回答することとなる。 エ 審査基準 イ及びウの場合、災害発生時の拡大防止に支障を生ずるおそれの有無について検討するのであるが、その具体的な審査基準は次のとおりである。 (ア) 警察独自の立場から検討すべき基準 a 住民の避難路の確保 (a) コンビナート地域全体と住宅地域の配置からみて、コンビナートに大火災、大爆発、有毒ガスの大量流失等の大規模な事故が発生した場合において、住宅地域の住民を安全な地域に避難誘導するに必要な避難路が確保されているかどうか。 (b) コンビナート地域内の道路が、大規模な事故の際における事業所の従業員等の避難路として適切かどうか。 b 緊急車通行路の確保 事故がコンビナート地域のいかなる場所において発生しても、消防車両、警察車両等の緊急車両が、安全かつ迅速に事故現場に到着できる通行路が確保されているか。 (イ) 配置等に関する省令に基づく基準 a 施設地区の配置の基準 配置等に関する省令第10条第1号から第8号までの基準に合致するかどうか。 b 特定通路の幅の基準 配置等に関する省令第11条に定める基準に合致するかどうか。 c 通路の配置の基準 配置等に関する省令第12条第1号から第8号に定める基準に合致するかどうか。 d 連絡導管及び連絡道路の配置の基準 配置等に関する省令第13条第1号から第3号に定める基準に合致するかどうか。 オ 配置等に関する省令の基準について審査する場合の留意事項 配置等に関する省令は、製造、貯蓄等の施設地区の配置基準、特定通路(防災用道路)の幅員及び一般道路への接続等について規定しているが、基準を遵守することが著しく困難であり、かつ、保安上特に支障がないと認められる場合には、例外が許されることが多いので、その適用について留意する必要がある。 なお、警察庁、警察本部及び警察署における事業所の新設等の計画についての審査手続及び配置等に関する省令の関連条文は、別添1及び別添2のとおりである。 (2) 石油コンビナート等防災本部 ア 神奈川県石油コンビナート等防災本部 特別防災区域のある都道府県に、石油コンビナート等防災本部が常設されるが、災害が発生した場合等において防災の推進を図るため必要があるときに都道府県知事が設置する災害対策基本法上の災害対策本部とは、災害の発生にかかわりなく常設されるものであること、及び特別防災区域に係る防災に関し設置されるものである点において異なるものである。 警察からは、関東管区警察局長及び警察本部長が県防災本部の委員に、また、関東管区警察局広域調整部災害対策官並びに警察本部の生活安全部長、交通部長及び警備部長が県防災本部の幹事にそれぞれ委嘱され、石油コンビナート等防災本部の運営に直接参画することとなつた。 イ 石油コンビナート等防災計画 石油コンビナート等防災計画は、コンビナート法第31条に基づき、神奈川県石油コンビナート等防災本部が策定する防災計画である。同防災計画には、県警察が実施する災害応急対策も盛り込まれており、石油コンビナート等防災本部と一体となつて災害警備を実施することとなつた。 ウ 石油コンビナート等現地防災本部 防災本部の本部長又は特別防災区域の市長は、特別防災区域に係る災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、緊急に統一的な防災活動を実施するため特別の必要があると認めるときは、石油コンビナート等現地防災本部(以下「現地本部」という。)を設置することとなつた。 (3) 警察署の異常現象の通報受理 事業所の管理者が出火、石油等の漏洩その他異常な現象の発生について通報を受け、又は自ら発見したときは、直ちにその旨を消防署又は市町村長の指定する消防団の詰所等の場所に通報し、消防署長又は市町村長は、更にその旨を警察署等に通報しなければならないこととされている(コンビナート法第23条)。この消防署長等の警察署に対する通報は、当該市消防局(本部)から警察本部通信指令課を経由して行われるが、関係所属においては、平常から異常現象に対し、的確な初動措置がとり得るよう体制を整備しておくこと。 (4) 警察官の自衛防災組織に対する代行指示 警察官は、災害発生の現場に市町村長等がいない場合、又はこれらの者からの要求があつた場合には、これらの者に代つて事業者の設置する自衛防災組織又は共同防災組織に対し、人命救助、危険区域への立入の制限、禁止、退去等に関する指示を行うことができる(コンビナート法第25条)。 なお、コンビナート法の規定とは別に、警察官は警察官職務執行法の規定に基づき、災害発生の現場において人の生命、身体に危険が発生するおそれがあり、急を要する場合等においては、その場に居合わせた者に対し、警告を発し、避難等の措置をとり、事務所の管理者等に対し危険防止上の措置をとることを命ずることができることは当然である。 (5) 管区警察局長の災害応急措置の概要等の報告 管区警察局長は、石油コンビナート等防災計画の定めるところにより実施した災害応急措置の概要等について、防災本部に逐次報告しなければならないこととされている(コンビナート法第26条)。 3 運用上の留意事項 (1) 危険物施設の実態把握 警察署長は、管内に所在する危険物施設及び危険物取扱事業所の実態把握に努めること。 (2) 管理者対策 市(区)、消防など関係機関と密接な連絡を保持して、共同査察、保安講習、自衛防災組織の育成強化及び特定防災施設等の指導等、管理者対策を推進し、事故防止の徹底を図ること。 附則(平成4年7月8日例規第74号神務発第938号神防発第528号神地一発第1号) 附則(平成8年4月1日例規第14号神災発第2号神交規発第127号) 附則(平成9年6月25日例規第27号神銃発第636号) 附則(平成12年8月30日例規第32号神総発第275号神務発第1492号神生総発第642号神刑総発第449号神交総発第647号神公一発第334号) 附則(平成12年12月26日例規第59号神総発第459号) 附則(平成16年9月7日例規第31号神務発第1720号) 附則(平成17年3月29日例規第16号神務発第622号) 附則(平成20年8月29日例規第42号神務発第1649号) 別添省略