○神奈川県警察雑踏警備実施要綱の制定について (平成16年6月30日例規第25号/神備発第286号/神地総発第316号) 各所属長あて 本部長 このたび、別添のとおり神奈川県警察雑踏警備実施要綱を制定し、平成16年7月1日から施行することとしたので、部下職員に周知徹底し、運用上誤りのないようにされたい。 おって、雑とう警備実施要領について(昭和31年2月18日 例規、31神備三発第27号)は、廃止する。 別添 神奈川県警察雑踏警備実施要綱 第1 総則 1 趣旨 この要綱は、警備実施要則(昭和38年国家公安委員会規則第3号)及び神奈川県警察警備実施規程(昭和55年神奈川県警察本部訓令第9号。以下「警備実施規程」という。)に定めるもののほか、神奈川県警察における雑踏警備実施に関し必要な事項を定めるものとする。 2 用語の意義 この要綱において使用する用語の意義は、次のとおりとする。 (1) 雑踏警備実施 祭礼、花火大会、興業、競技その他の行事(以下「行事等」という。)の開催により特定の場所に不特定多数の人が一時的に集まることによって、事故、混乱等が発生するおそれがある場合又は発生した場合において、主として部隊活動により、雑踏の整理、交通の規制、犯罪の予防等の所要の措置を講じ、事故、混乱等の発生又は拡大の防止に当たる活動をいう。 (2) 雑踏警戒 繁華街、盛り場等における警戒及び祭礼、盆踊り等の各種行事の警戒のうち部隊活動を伴わない活動をいう。 3 雑踏警備実施の基本方針 (1) 雑踏事故の未然防止 参集者による混雑を的確に整理し、雑踏事故を未然に防止する。 (2) 警備諸対策の推進 的確な情勢判断を行い、あらゆる事態を想定した警備諸対策を推進する。 (3) 主催者、施設管理者及び関係者に対する事前指導等による自主警備態勢の確立 主催者、施設管理者及び関係者(以下「主催者等」という。)と連携を密にし、積極的に指導、助言等を行い、自主警備態勢を確立させる。 (4) 関係機関との協力体制の確立 主催者等と連携の上、消防機関、公共交通機関その他の関係機関との協力体制を確立する。 4 体制の確立 (1) 雑踏警備実施指導官 ア 指定 警備部警備課(以下「本部警備課」という。)に、雑踏警備実施指導官を置き、本部警備課課長補佐のうち、警備部警備課長(以下「本部警備課長」という。)が指定する者をもって充てる。 イ 任務 (ア) 過去の雑踏警備実施における問題点等を分析すること。 (イ) (ア)の分析結果を踏まえて雑踏警備実施主任者に対する指導を行うこと。 (ウ) 自治体等関係機関に対する指導、助言等を行うこと。 (エ) 雑踏警備実施計画(以下「警備計画」という。)の立案、部隊員の配置運用及び主催者等への事前指導等に関する指導を行うこと。 (オ) 雑踏警備実施主任者及び雑踏警備実施に従事する警察官に対する指導及び教養を行うこと。 (2) 雑踏警備実施主任者 ア 指定 警察署に、雑踏警備実施主任者(以下「実施主任者」という。)を置き、警察署の警備課長をもって充てる。 イ 任務 (ア) 過去の雑踏警備実施における問題点等を分析すること。 (イ) 主催者等と連携し、開催予定の行事等に関する指導、助言等を行うこと。 (ウ) 行事等の開催場所等における危険箇所を調査し、各種事故を想定した避難誘導措置及び交通対策を検討すること。 (エ) 主催者等及び自主警備員との検討及び打合せを行うこと。 (オ) 警備計画の企画及び立案を行うこと。 (カ) 雑踏警備実施に従事する警察官に対する指導及び教養を行うこと。 ウ 地域幹部との連携 実施主任者は、平素から警察署の地域課(地域第一課、地域第二課、地域第三課及び交通地域課を含む。)の幹部と連絡を密にして、神奈川県警察組織規程(昭和53年神奈川県警察本部訓令第5号)第50条第11号に規定する雑踏警戒の実施に関し必要な助言、指導等を行うこと。 第2 事前の措置 1 平素の措置 実施主任者は、平素から雑踏警備実施に必要な基礎資料の収集及び整備に努めなければならない。 2 事前対策 実施主任者は、次の事前対策を実施するものとする。 (1) 行事等の早期把握 主催者等と緊密な連携を保ち、管内において開催が予定されている行事等の内容の早期把握に努めること。 (2) 分析及び検討 (1)で把握した行事等に関し、主催者等と共に実地踏査を行った上で、問題点及び改善すべき点について、過去の同種の行事等の開催状況や基礎資料に基づく分析を行い、当該行事等の開催時における雑踏事故を防止するための必要な措置について検討すること。 (3) 検討会の実施 主催者等との検討会を必要の都度実施し、細部にわたる検討及び調整を行い、問題点の是正を図るとともに、突発事案等発生時における危険防止の措置について事前に協議すること。 (4) 主催者等に対する指導、助言等 行事等の開催に当たり、主催者等に対し、雑踏事故を防止する主体的責任があることを自覚させ、緊急避難路の確保、自主警備員の配置、天候の変化等諸事情による措置等について必要な指導、助言等を行うことにより、雑踏事故防止を重点とした自主警備態勢を確立させること。 (5) 関係機関への協力要請 主催者等と連携の上、消防機関、公共交通機関その他の関係機関に対し、雑踏事故を防止するための措置、緊急時の措置等について協力を要請し、協力体制の確保に努めること。 3 警備計画の策定 警察署長は、雑踏警備実施の必要があると認めるときは、事前に実地踏査を行い、行事等の内容、自主警備態勢、人出予想、予想される突発事案を総合的に判断した上で、警備方針、指揮態勢等を確立し、雑踏事故の未然防止を主眼とした警備計画を策定しなければならない。この場合において、行事等が複数の警察署管内に及ぶとき又は行事等の規模、態様等により必要があると認めるときは、本部警備課長は、警備計画の策定に当たり必要な調整、助言等を行うものとする。 4 警備会議の開催 警察署長は、警備計画の周知徹底を図るため、当該雑踏警備実施に従事する部隊長等による警備会議を開催するものとする。 5 実地踏査及び事前教養 警察署長は、雑踏警備実施に従事する部隊員に事前に実地踏査を行わせ、部隊員に個々の任務を具体的に指示して第3の実施要領の周知徹底を図るとともに、群集心理、雑踏の特性等の基本的事項のほか、突発事案発生時の具体的措置要領、広報要領、受傷事故防止上必要な事項等について現場の実態に応じた事前教養を行うものとする。 第3 実施要領 1 警察署警備本部の運用等 (1) 警察署長は、雑踏警備実施を行うときは、警備実施規程第9条から第13条までの規定により、警察署警備本部(以下「署警備本部」という。)を設置し、運用するものとする。 (2) 警察署警備本部長(「以下「署警備本部長」という。)は、署警備本部又は現地指揮所を設置したときは、雑踏警備実施全般の指揮に当たり、警備の状況を総合的に判断し、的確な部隊運用に努めなければならない。 (3) 署警備本部長は、雑踏警備実施に従事する部隊員の配置場所ごとに現場責任者を指定して責任を持たせ、警備方針に沿った各種措置を講じさせるものとする。 (4) 署警備本部長は、連絡員を指定するなど主催者等が設置する現地本部等との相互の連絡体制を確保するものとする。 2 参集者の整理誘導 署警備本部長は、雑踏警備実施において参集者の整理誘導に当たっては、事前に参集者の基本の動線を設定した上で、主催者等と連携を図り、的確に実施するものとする。 3 現場広報 署警備本部長は、行事等の会場及びその周辺において雑踏に伴う危険な事態が発生するおそれがあるときは、主催者等と協力して、現場における広報活動により、不穏な群集心理の発現の未然防止に努め、併せて参集者に対して雑踏事故防止上の注意を促すなど必要な措置をとるものとする。 4 交通規制 署警備本部長は、雑踏に伴う危険を防止するため、必要な範囲及び限度において車両の通行禁止又は制限その他必要な交通規制を行うものとする。 5 雑踏事故発生時等の措置 (1) 署警備本部長は、雑踏に伴う危険な事態が発生した場合に直ちに必要な措置を講ずることができるよう、主催者等と連携して参集者の集合状況、混雑状況等を常に把握しておかなければならない。 (2) 署警備本部長は、参集者が過密になるなど雑踏に伴う危険が具体的に予想される場合は、速やかに部隊を指揮して、参集者の分断、誘導、進入禁止等の措置により、参集者の圧力を緩和させ、雑踏事故の未然防止を図らなければならない。この場合において、秩序を乱す者については、主催者等に必要な措置をとらせるほか、事態に応じ、指導、警告、制止等雑踏事故防止に必要な措置をとるものとする。 (3) 署警備本部長は、雑踏事故が発生した場合は、負傷者の救出・救護に当たるとともに、的確な部隊運用、広報、交通規制等の措置により、その拡大防止と事態の早期収拾を図るものとする。 第4 事後の措置 警察署長は、雑踏警備実施を終了したときは、以後の雑踏警備実施に反映させるため、早期に反省検討事項等を抽出するなど事後の措置を講ずるものとする。 第5 報告 1 実施予定等の報告 警察署長は、第2の2(1)において把握した行事等の内容から、雑踏警備実施の必要があると認めたときは、行事等予定表(第1号様式)により、警察本部長(本部警備課長経由)に報告するものとする。また、警察署長は、主催者等に対して事前に雑踏事故防止等に関する指導を行った場合には、警察措置の有無にかかわらず、その指導内容等について、事前指導報告書(第2号様式)により、警察本部長(本部警備課長経由)に報告するものとする。 2 警備計画の報告 警察署長は、警備計画を策定したときは、警察本部長(本部警備課長経由)に報告するものとする。 3 雑踏事故等発生時の報告 警察署長は、雑踏事故、雑踏に伴う紛争事案、特異な事件事故その他突発事案の発生を認知したときは、警察本部長(本部警備課長経由)に電話等により速報するとともに、事後速やかに雑踏事故等発生報告書(第3号様式)により、警察本部長(本部警備課長経由)に報告するものとする。 4 実施結果の報告 警察署長は、雑踏警備実施が終了したときは、当該雑踏警備実施の結果について、雑踏警備実施結果報告書(第4号様式)により、速やかに警察本部長(本部警備課長経由)に報告するものとする。