○要保護女子の取扱いについて (昭和32年10月1日32神保発第268号 本部長) 最終改正 平成23年2月25日例規第4号神生総発第81号 売春防止法第3章保護更生規定の施行に伴い、売春事犯の取締りに附随して警察で取扱う要保護女子については、それぞれ法の趣旨に沿う措置をしていることと思われるが、このたび関係機関と協議の上別添のとおり、要保護女子の取扱要領を定めたから、下記事項に留意の上その取扱に遺憾のないようせられたい。 記 1 婦女に対しては、保護の対象であるという観念に終始して親切に処遇すること。 2 被疑者たる婦女の身柄釈放等に当り、売春業者若しくは当該婦女のいわゆる「ひも」等にその身柄を渡し又はこれから身柄受を徴する等のことは、婦女の更生を著しく阻害するおそれがあるから充分注意すること。 3 要保護女子に対し誠意をもつて更生を論示しても頑として受入れないような場合であつても、これを見放すことなく、必ず婦人相談所に対する通知その他の措置を講じ、当該婦女が何らかの形で保護更生機関につながるようにしておくこと。 4 婦人相談所に対する通知は、最寄の婦人相談員を通じて実施してもよい。 5 婦人相談所に対する通知連絡は、労をいとわず、その都度行うようにすること。 別添  要保護女子の取扱要領 第1 この要領は、性行又は環境に照して売春を行うおそれのある女子に対する保護更生措置の適正を期するため警察におけるこれが取扱に関し必要な事項を定めるものとする。 第2 次の各号に掲げる女子(以下「要保護女子」という。)については、この要領の定めるところにより、それぞれ適切な措置をとるものとする。 (1) 売春環境から脱出し、又は更生する目的を以て警察にその保護救済を求めてきた女子 (2) 警察で検挙した売春関係事犯の被害者である女子 (3) 売春取締りに関する法令又は条例に触れる行為をした女子 (4) 警察で発見した行方不明者その他の者で売春を行うおそれがあると認められる女子 第3 要保護女子を発見したときは、その境遇に応じ保護更生措置について教示し、その転落を防止するよう努めるものとする。  2 前項の措置をとつた要保護女子については発見簿(別記様式第1号)に所要の事項を記入し、その措置のてん末を明らかにしておくものとする。 第4 要保護女子を被疑者として検察庁又は家庭裁判所に送致する場合は、その者の更生の意思があると認められるかどうかを送致書及び身上調査表の相当欄に記載するものとする。  2 前項の送致が書類送致であるときは婦人相談所へ通知書(別記様式第2号)を送付するものとする。 第5 被疑者として送致する者以外の要保護女子については、次に掲げる措置をとるものとする。 (1) 少年である場合 ア 18才未満の少年で次に掲げる者は児童福祉法の規定により児童相談所へ通告する。この場合において児童相談所が遠隔の地にあり、又は通告が夜間にわたる等のため児童相談所が直ちに当該児童を引取ることができないときは、児童相談所長の委託による一時保護を加えることができる。 (ア) 保護者のない者 (イ) 保護者に引渡すと再び売春を行わされるおそれがある者 (ウ) 保護者が少年の保護更生について無関心であり、又は本人に更生の意欲がなく保護者の手に負えない為、再び売春を行い、又は家出等をするおそれがあると認められる者 (エ) その他保護者に監護させることが不適当であると認められる者 イ 14才以上20才未満の少年で次に掲げる者は、少年法の規定により家庭裁判所へ送致すること。 (ア) 売春行為が極めて習へき化し、保護者の正当な監督に服さず再び売春を行つて罪を犯すおそれがあり、保護処分が必要であると認められる者 (イ) 売春行為は、まだ習へき化していないが売春を常習としている者等と常に交際し、再び売春を行つて罪を犯すおそれがあり、保護処分を必要と認められる者 (ウ) 上記(ア)及び(イ)に掲げる者のほか、性格、環境等から判断して虞犯少年として保護処分が必要であると認められる者 ウ 本人に更生の意欲があり、かつ監護能力があると認められる保護者等があり、上記ア及びイのいずれにも該当しない少年は、その保護者等に引渡すこと。  この場合においては、少年の再転落防止について必要な措置を講ずること。 (2) 成人の場合 ア 通知書を作成して婦人相談所へ送付すること。 イ 上記アの場合において婦女の保護のため必要があるときは一時保護施設その他適当な施設への収容について配意すること。 第6 要保護女子の取扱にあたつては、いわゆる「ひも」等が介入して婦女の更生を阻害し、又は再転落させないよう必要な措置を講ずること。