○広域機動捜査班設置要綱の制定について (平成元年3月28日例規第23号/神刑総発第188号) 各所属長あて 本部長 この度、別添のとおり広域機動捜査班設置要綱を制定し、平成元年4月1日から施行することとしたので、次の諸点に留意し、効果的な運用に努められたい。 記 1 制定の趣旨  最近の犯罪は、高速道路の延伸、交通機関の発達等により、ますます広域化、スピード化の傾向を強めており、社会構造や住民意識の変化も相まって、捜査は困難を余儀なくされている。  これらの広域犯罪に的確に対応していくためには、捜査体制を強化するとともに、事件の波及性、他事件との関連性等を広域的視野に立って的確に判断し、関係都道府県警察との緊密な連携を保持しつつ、機動力を駆使した迅速かつ効果的な広域捜査活動を推進していくことが重要である。  このため、捜査体制強化方策の一環として、神奈川県警察本部機動捜査隊に「広域機動捜査班」を置き、効果的な初動捜査活動を展開することによって、広域捜査の万全を期そうとするものである。 2 解釈及び運用上の留意事項  (1)趣旨(第1関係)  「広域」とは、原則として二以上の都道府県(方面)にわたる地域をいう。  (2)設置、編成等(第3関係)  広域機動捜査班の編成の規模は、別途定める。  (3)任務(第4関係)  「広域にわたる対応を要する部分及び機動力を要する部分の捜査」とは、おおむね次のような捜査をいう。  1 広域的な初動捜査  2 現場設定を伴う身の代金目的誘拐事件、企業恐喝事件等における現場に係る捜査  3 警察庁指定事件等特に重要な対象事件のよう撃捜査、的割捜査等  4 その他広域重要事件に係る特命捜査  (4)指揮及び運用(第5関係)  ア広域機動捜査班は、広域的重要事件を認知した場合は、事件主管課と連携して所要の捜査を実施すること。  イ広域機動捜査班は、広域的重要事件の捜査に当たっては、関係都道府県警察の機動捜査隊等との緊密な連携の保持に努めること。  ウ機動捜査隊長は、広域機動捜査班を事件主管課等に派遣した場合は、関係所属長等との連絡を密にし、その運用について広域機動捜査班の特性が損なわれることのないように配意すること。 別添  広域機動捜査班設置要綱 第1 目的  この要綱は、広域機動捜査班の設置、任務、運用等について必要な事項を定め、もって広域重要事件の早期検挙を図るとともに、その拡大又は再発を未然に防止することを目的とする。 第2 定義 1 この要綱において「広域重要事件」とは、広域にわたり発生している重要な事件及び広域にわたり捜査を必要とする重要な事件をいう。 2 この要綱において「対象事件」とは、広域機動捜査班がその捜査に従事する事件をいい、広域重要事件のうち次に掲げるものをいう。 (1) 殺人、強盗、放火等の凶悪事件 (2) 人命に危険が及ぶおそれのある誘拐・人質事件 (3) 特異な恐喝・脅迫事件 (4) 犯行の手段・方法、被害の程度から見て特異な窃盗事件 (5) 暴力団の大規模な抗争事件 (6) その他社会的反響の特に大きい事件又は社会的不安を引き起こすおそれのある特異な事件 第3 設置、編成等 1 神奈川県警察本部機動捜査隊(以下「機動捜査隊」という。)に広域機動捜査班を置く。 2 広域機動捜査班は、班長及び班員をもって編成し、班長には機動捜査隊の中隊長を、班員には機動捜査隊の隊員をもって充てる。 3 班長及び班員は、機動捜査隊長の推薦に基づき、刑事部長が指定及び指定の解除を行う。 4 機動捜査隊長は、班長及び班員の推薦に当たっては、広域機動捜査班員等推薦(変更)報告書(第1号様式)により行うものとする。 第4 任務  広域機動捜査班は、第2に掲げる事件のうち、広域にわたり対応を要する部分及び機動力を要する部分の捜査を行うことを主たる任務とする。 第5 指揮及び運用 1 広域機動捜査班の指揮及び運用は、機動捜査隊長が行うものとする。 2 警察署長又は警察本部の事件を主管する課長は、広域重要事件が発生し、広域機動捜査班の派遣を必要とする場合は、派遣要請書(第2号様式)により刑事部長に要請するものとする。ただし、急を要する場合は、電話により要請し、事後、速やかに派遣要請書を送付するものとする。 3 刑事部長は、大規模な広域捜査を必要とする対象事件が発生した場合は、関係都道府県警察の刑事部長に当該事件の概要等を通報し、広域機動捜査班の出動を要請するものとする。 4 機動捜査隊長は、他の都道府県警察管内で対象事件が発生した場合には、本県に波及する場合を考慮して必要な措置を講じるほか、広域機動捜査班の出動の要請を受けた場合は、関係都道府県警察と相互に連携して所要の捜査を行うものとする。 第6 勤務制  広域機動捜査班の勤務は、原則として3交替制とする。ただし、継続捜査に従事する等特に必要がある場合は、日勤制により勤務させることができる。 第7 教養訓練 1 機動捜査隊長は、広域機動捜査班員の資質及び能力の向上を図るため、計画的に教養訓練を行わなければならない。 2 刑事部各所属長は、機動捜査隊長から前項の教養訓練に関し、要請を受けた場合は、積極的に協力するものとする。 第8 細則  この要綱の実施について必要な事項は、機動捜査隊長が定めるものとする。