神務発第365号 令和3年4月1日 本部各部長、警察学校長、各市警察部長、方面本部長、サイバーセキュリティ対策本部長、組織犯罪対策本部長、運転免許本部長、各所属長 殿 警察本部長 神奈川県警察障がい者活躍推進計画の継続について(通達) 県警察では、「ともに生きる社会かながわ憲章」に掲げる、「障害者の社会参加を妨げるあらゆる壁、いかなる偏見や差別も排除する」との理念を踏まえ、神奈川県警察障がい者活躍推進計画について(令和2年3月31日神務発第425号)により、 全ての障がい者である職員が、その障がい特性や個性に応じて能力を有効に発揮できるよう取組を推進してきたところであるが、その更なる推進を図るため、引き続き、別添「神奈川県警察障がい者活躍推進計画」に基づいた各種施策に取り組むこととしたので、 その趣旨を十分理解し、各所属における各種取組を効果的に推進されたい。 別添 神奈川県警察障がい者活躍推進計画 令和2年3月 神奈川県警察本部 目次 計画の意義・背景・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 1 計画の作成及び実施等に関する手続・・・・・・・・・・・・・2 (1)計画の周知・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 (2)計画の公表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 (3)計画の実施状況の点検及び公表・・・・・・・・・・・・・・2 2 計画の内容に関する基本的な事項・・・・・・・・・・・・・・2 (1)計画期間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 (2)障がい者である職員の職業生活における活躍の推進に関する取組の実施により達成しようとする目標・・・・・・・・・・・・2 (3)アンケート結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 3 計画における取組の内容に関する具体的な事項・・・・・・・・5 (1)障がい者である職員の活躍を推進する体制整備・・・・・・・5 (2)障がい者の活躍の基本となる職務の選定・創出・・・・・・・6 (3)障がい者の活躍を推進するための環境整備・人事管理・・・・7 (4)優先調達等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8   「障害者」の「害」の表記については、法令等の名称及び法令等で規定されている用語などで漢字表記が使用されている場合、又は機関、団体等の固有名詞が漢字表記となっている場合を除き、原則として平仮名で記載しています。 計画の意義・背景 ○ 本県では、障害者基本法に基づき、平成16年に「かながわ障害者計画」を策定し、障がい者に関する様々な施策を、総合的かつ計画的に推進してきました。 ○ また、同計画及び障害者の雇用の促進等に関する法律(以下「障害者雇用促進法」という。)等に基づき、県警察自らも「障がいのある人を対象とした神奈川県職員採用選考」の実施や、働きやすい職場環境の整備など、障がい者雇用に積極的に取り組んできました。 ○ しかしながら、平成30年8月、公務部門における対象障がい者の不適切計上の実態が全国的に判明し、警察本部においても再点検を行った結果、障がい者雇用率の対象外とされている障がいのある警察官を誤って算入していたことが判明しました。 ○ 県警察では、同年11月に知事部局及び教育委員会と連携の上、学識経験者等で構成する「障がい者雇用促進検討委員会」を設置して再発防止策等の検討を進め、平成31年4月には、同委員会から各種提言を盛り込んだ報告書が提出されました。 ○ また、令和元年6月には、障害者雇用促進法の改正により、国及び地方公共団体が率先して障がい者を雇用する責務が明示されるとともに、厚生労働大臣が作成する障害者活躍推進計画作成指針に即して、「障害者である職員の職業生活における活躍の推進に関する取組に関する計画(障害者活躍推進計画)」を作成することとされました。 ○ 障がい者の活躍とは、障がい者一人ひとりが、能力を有効に発揮できることであり、雇用・就業し又は同一の職場に長期に定着するだけでなく、全ての障がい者が、その障がい特性や個性に応じて能力を有効に発揮できるよう、県警察を挙げて取り組んでいくことが必要です。 ○ そこで、「障害者の権利に関する条約」起草時にも取り入れられた、「私たちのことを、私たち抜きに決めないで(Nothing About us without us)」との考え方にあるとおり、障がい当事者の視点に立つとともに、「ともに生きる社会かながわ憲章」に掲げる、「障がい者の社会参加を妨げるあらゆる壁、いかなる偏見や差別も排除する」との理念を踏まえ、このたび、障害者活躍推進計画作成指針に即して「神奈川県警察障がい者活躍推進計画(以下「計画」という。)」を作成しました。 ○ 障がいのある職員にとって働きやすい職場は、誰にとっても働きやすい職場であり、多様性を理解・尊重し、誰もが、ともに生き生きと働ける県警察の実現に向けて、本計画のもと、しっかりと取り組んでまいります。 1 計画の作成及び実施等に関する手続 (1)計画の周知 各種会議、県警察イントラネットへの掲載等、あらゆる機会をとらえ計画を全職員に周知します。 (2)計画の公表 県警察における計画の作成時及び爾後、計画変更の都度、県警察ホームページにおいて公表します。 (3)計画の実施状況の点検及び公表 令和2年4月1日から、警察本部警務部警務課に障害者活躍推進係を設置の上、毎年度計画の実施状況を点検し、計画の見直し、取組状況等について県警察ホームページ等において公表します。 2 計画の内容に関する基本的な事項 (1)計画期間 令和2年4月1日から令和7年3月31日までの5年間とします。 (2)障がい者である職員の職業生活における活躍の推進に関する取組の実施により達成しようとする目標  以下の目標について、毎年度、有識者による点検を実施します。   ア 雇用率 令和6年6月1日までに障がい者である職員(警察官を除く。)の雇用率を3パーセントとします(令和元年6月1日時点の障害者雇用率1.98パーセント)。 (評価方法)毎年6月1日時点の「障害者任免状況通報書」により把握・進捗管理   イ 定着率 データの十分な蓄積がないことから、以下の数値の改善を目指します。 平成21年4月1日から平成30年4月1日までに採用した障がい者である職員の採用1年後の職場定着率(※1)83.3パーセント(平均勤続年数(※2)3年6月)。    (評価方法)毎年の「障害者任免状況通報書」の通報のタイミングで、人事記録を基に、在籍する障がい者である職員の定着率及び平均勤続年数を把握・進捗管理 (3)アンケート結果 県警察において、障がい者である職員に対して実施した以下のアンケート結果(※3)について、数値の改善を目指します。 (評価方法)年1回、在籍している障がい者である職員(新規採用者を除く)に対して、アンケート調査を実施し、把握・進捗管理 問1 あなたは、県警察は働きやすい職場だと思いますか。 無回答 2.8% そう思う 29.2% どちらかというとそう思う 44.4% どちらかというとそう思わない 19.4% そう思わない 4.2% 問2 あなたは、県警察内で障がい者雇用に関する理解が進んでいると思いますか。 無回答 4.3% そう思う 11.4% どちらかというと思う 44.3% どちらかというとそう思わない 18.6% そう思わない 21.4% 問3 あなたは、県警察内における職場環境(情報機器、施設等のハード面)の設備についてどのように思いますか。 無回答 1.4% 整っていると思う 2.9% どちらかというと整っていると思う 44.3% どちらかというと整っていると思わない 37.1% 整っていると思わない 14.3% 問4 あなたは、県警察における異動・休暇等に関する制度について、どのように思いますか。 無回答 7.1% 整っていると思う 17.1% どちらかというと整っていると思う 55.7% どちらかというと整っていると思わない 14.3% 整っていると思わない 5.7% 3 計画における取組の内容に関する具体的な事項 (1)障がい者である職員の活躍を推進する体制整備   ア 組織面    (ア) 「障がい者の活躍推進に関する庁内検討会議」及び検討チームの設置      県人事担当課長及び関係課長等で構成する「障がい者の活躍推進に関する庁内検討会議」(以下「庁内検討会議」という。)及び障がい者である職員を構成員に含む検討チームを設置し、毎年度、計画の取組状況等を検証します。    (イ) 「障がい者活躍推進検討委員会」の設置      学識経験者や障がい者団体の役員、庁内検討会議の構成員等で構成する「障がい者活躍推進検討委員会」(以下「委員会」という。)において毎年度計画の取組状況等を報告、検証するとともに、委員会における意見を取組へ反映します。    (ウ) 障害者雇用推進者の選任      令和元年9月6日、警察本部警務部警務課長を障害者雇用 推進者として選任しました。    (エ) 障害者職業生活相談員の選任      令和元年12月4日、警察本部警務部警務課課長代理等3人及び厚生課医師等9人を障害者職業生活相談員として選任しました。    (オ) 人的サポート体制の充実      障がい者である職員の所属の管理監督者を始め、身上把握及び指導等担当者(※4)(以下「身上担当者」という。)等による定期又は随時の面談及び平素の勤務状況の把握に基づくきめ細かなサポートを実施します。    (カ) 障害者活躍推進係の設置      令和2年4月1日、警察本部警務部警務課に障害者活躍推進係を設置します。    (キ) 各種相談窓口の活用      障害者職業生活相談員による相談窓口や精神保健福祉センター、発達障害支援センター、神奈川労働局に設置されている「職場適応支援者」による相談窓口等を障がい者である職員に周知し活用を促進します。   イ 人材面    (ア) 管理監督者に向けた研修の実施      各警察署の副署長及び警察本部各所属の課長代理級職員等の管理監督者に対して障がいの理解に係る研修を実施します。    (イ) 全職員への教養      (ア)の研修を受講した職員から全職員に対して教養を実施します。    (ウ) e−ラーニングを活用した研修      県警察イントラネットに「精神・発達障害者しごとサポーター養成講座e−ラーニング版」を公開の上、同講座を周知・活用した研修を実施します。    (エ) 外部機関が開催する各種研修の受講      人事担当者及び障害者職業生活相談員等が、各種セミナー、講習会、精神・発達障害者しごとサポーター養成講座等を受講の上、障がいに関する理解・啓発を促進します。    (オ) その他の研修      新規採用職員や昇任者等に対する研修等において、障がいに関する理解・啓発を促進します。 (2)障がい者の活躍の基本となる職務の選定・創出   ア 採用前面談の実施     採用に際し、厚生課医師及び障がい者である職員が希望する場合は就労支援機関職員同席の下、面談を実施し、障がい特性を確認の上、最適な業務を検討します。   イ 管理監督者等との面談の実施     採用後は、所属の管理監督者及び身上担当者等による定期又は随時の面談を実施し、一人ひとりの障がい特性に応じた合理的配慮を提供します。   ウ 継続的な職務の検討     イの面談等により、障がい者である職員の職務遂行状況や習得状況等を確認するとともに、組織内アンケート等を活用し、一人ひとりの障がい特性に応じた職務の選定・創出、配置転換等を継続的に検討します。 (3)障がい者の活躍を推進するための環境整備・人事管理    厚生労働省の障害者差別解消指針(※5)及び合理的配慮指針(※6)を踏まえつつ、次の事項を推進します。   ア 職務環境    (ア) 施設の整備      障がい者である職員一人ひとりの障がい特性に配意し、作業施設・福利厚生施設等(多目的トイレ、スロープ、エレベーター、休憩室等)の整備を検討します。    (イ) 就労支援機器等の導入      職員個々の希望を確認の上、就労支援機器(音声読み上げソフト等)の導入を検討します。    (ウ) 作業手順の簡素化      作業マニュアルの作成、カスタマイズ、チェックリストの作成、作業手順の簡素化や見直しなどを実施します。    (エ) 管理監督者等との面談の実施      採用後は、所属の管理監督者及び身上担当者等による定期又は随時の面談を実施し、一人ひとりの障がい特性に応じた合理的配慮を提供します。(再掲)   イ 募集・採用    (ア) 募集案内      ホームページへの職員採用に関する募集案内等の掲載時、ウェブアクセシビリティ(※7)の確保を図ります。      また、採用後に従事する職務の具体例を示すなど、障がい者が7働くイメージを持ちやすいよう工夫するとともに、障がい者団体を通じた周知を行うなど、障がい者が必要な情報を得られるよう対応します。    (イ) 採用選考      採用選考において、障がい特性に応じ、バリアフリー施設の選定、就労支援機器の設置、就労支援機関職員の同席等に配慮します。      また、採用選考において以下のような不適切な取扱いを行いません。     a 特定の障がいを排除し、又は特定の障がいに限定する。     b 自力で通勤できることといった条件を設定する。     c 介助者なしで業務遂行が可能といった条件を設定する。     d 「就労支援機関に所属・登録しており、雇用期間中支援が受けられること」といった条件を設定する。     e 特定の就労支援機関からのみの受入れを実施する。    (ウ) 神奈川県警察チャレンジオフィス(仮称)の設置      令和2年度中を目途に、障がい者を会計年度任用職員として雇用し、 民間企業等への正規就労へとつなげる「神奈川県警察チャレンジオフィス(仮称)」を設置します。   ウ 働き方     障がい者である職員の障がい特性とライフスタイルに応じて、テレワーク勤務、フレックスタイム、各種休暇制度等の活用を推進します。   エ キャリア形成    (ア) 研修等の実施      採用時研修や専科研修、講習等の受講により障がい者である職員の実務能力や専門性の向上を図ります。    (イ) 公募型人事制度の活用      業務の特殊性や専門的な知識を必要とするポストについて、広く職員から希望を募り、知識と能力のある人材を登用します。   オ その他の人事管理    (ア) 適正な人事配置の促進      所属の管理監督者、身上担当者等による面談及びヒアリング、アンケートによる意見聴取、自己申告制度の活用等によって、中途障がい者を含めた障がい者である職員の障がい特性や希望部署、業務への適性等を確認した上、適正な人事配置を促進します。     (イ) 就労パスポートの活用      障がい者である職員が希望する場合には、就労パスポート(※8)の活用等により、就労支援機関等と障がい特性等の情報を共有し、適切な支援の実施や合理的配慮の提供を推進します。 (4)優先調達等    優先調達推進法(※9)に基づく障害者就労施設等への発注等を通じ、障がい者の活躍の場の拡大を推進します。 (※1)対象:「障がいのある人を対象とした神奈川県職員採用選考」採用者(平成21年度〜平成30年度採用) (※2)対象:「障がいのある人を対象とした神奈川県職員採用選考」採用者(平成21年度〜平成30年度採用)の平成31年4月1日現在の在職者 (※3)「誰もが働きやすい職場づくりに向けたアンケート」(実施期間 令和元年11月13日〜令和2年1月22日、回答数 問1【72件】 問2〜問4【70件】、障がい者である職員88人に配布し、無記名での回答依頼により実施) (※4)身上把握及び指導等担当者とは、職員に対して、個々面接等の日常勤務その他のあらゆる機会を通じて、職員との信頼関係に基づいた身上把握及び指導等を行うもの。(神奈川県警察職員身上把握及び指導等実施要綱) (※5)障害者に対する差別の禁止に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針(平成27年厚生労働省告示第116号) (※6)雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会若しくは待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するために事業主が講ずべき措置に関する指針(平成27年厚生労働省告示第117号) (※7)ウェブアクセシビリティとは、障がい者等を含む誰もがホームページ等から提供される情報や機能を支障なく利用することができること。 (※8)障がいのある方が、働く上での自分の特徴やアピールポイント、希望する配慮などを就労支援機関と一緒に整理し、就職や職場定着に向け、職場や支援機関と必要な支援について話し合う際に活用できる情報共有ツール (※9)国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律(平成24年法律第50号)