○犯罪被害者等給付金に関する事務取扱規程の制定について (昭和56年2月24日 例規神務発第135号) 最終改正 平成28年3月29日 例規第14号 神監発第230号  各所属長あて 本部長  昭和56年1月1日から犯罪被害者等給付金支給法並びにこれに関連する政令及び国家公安委員会規則が施行され、犯罪被害給付制度が発足したことに伴い、犯罪被害者等給付金に関する事務取扱規程(以下「事務取扱規程」という。)を制定し、昭和56年2月24日から施行することとしたので、所属職員に周知徹底を図つて、事務処理上誤りのないようにされたい。  記 第1 規程の目的  神奈川県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の裁定により、犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律(昭和55年法律第36号。以下「法」という。)第2条第2項に定める犯罪被害(以下「犯罪被害」という。)を受けた犯罪被害者又はその遺族(以下「犯罪被害者等」という。)に対し、犯罪被害者等給付金が支給されることとなつたことに伴い、裁定等を迅速かつ的確に行うため、犯罪被害の発生時の措置、申請の受理、照会調査、裁定及び裁定後の措置等の事務手続を定め、制度の適正な運用を図ろうとするものである。 第2 規程の要点 1 犯罪被害の発生時の措置(第2条関係) (1) 警察署長は、自署管内で犯罪被害に該当すると認められる事案の発生を認知した場合には、犯罪被害者等に対して犯罪被害給付制度の教示を行うとともに、犯罪被害発生報告書(第1号様式)を作成し、必要書類を添付して警察本部長(警務部警務課長(以下「警務課長」という。)経由)に報告することとした。  なお、犯罪被害給付制度の目的である犯罪被害等の早期の軽減に資するとともに、犯罪被害者等の権利利益の保護のため、犯罪被害者等に対し、被害者の手引等を活用するなど適宜の方法により制度の教示を行うとともに、教示した事実を犯罪被害発生報告書に記載して確実な記録化を図ること。 (2) 第2項第3号の「報告書の写し等事案概要の把握のために参考となる資料」とは、犯罪被害者等給付金を支給し、又は支給しない旨の裁定等に必要と認められる資料をいう。 (3) 犯罪被害には、緊急避難としての行為又は心神喪失者若しくは未成年者の行為による被害が含まれるが、正当行為又は正当防衛としての行為によるものは、犯罪被害から除外されるので、誤りのないようにすること。 (4) 犯罪被害給付制度は、法第10条第1項により申請をしようとする者の住所地を管轄する公安委員会に申請することと定められていることから、他都道府県内で発生した犯罪被害についての申請の相談を受けた場合も、(1)から(3)までの規定に準じて事務を処理すること。 2 裁定申請書の受理等(第3条関係) (1) 犯罪被害を受けた犯罪被害者等から裁定申請書が提出された場合は、警務課長又は警察署長がこれを受理することとした。  なお、裁定申請書を受理する場合に当たつては、次の諸点に配意するものとする。 ア 提出された裁定申請書の記載内容が次のいずれかに該当する場合においても、当該裁定申請を受理すること。 (ア) 犯罪被害者等給付金の支給を受けようとする者が、犯罪被害の発生を知つた日から2年が経過し、又は犯罪被害が発生した日から7年が経過した後に、裁定申請書を提出したとき。  なお、「犯罪被害の発生を知つた日」とは当該犯罪行為により被害者が死亡し、重傷病を負い、又は障害が残つたことを申請者が知つた日を、「犯罪被害が発生した日」とは当該犯罪行為により被害者が死亡し、重傷病を負い、又は障害が残つた日をいい、「2年を経過したとき」又は「7年を経過したとき」の起算日は、当該犯罪被害の発生を知つた日又は当該犯罪被害が発生した日の翌日とする。 (イ) 申請に係る被害が法第2条に定める犯罪被害でないとき。 (ウ) 裁定申請者が犯罪被害者等給付金の受給資格を有していないとき。 イ 同一の犯罪被害について、裁定を受けようとする者が2人以上いる場合は、個別に裁定申請を行わせること。 ウ 申請が代理人によつて行われたものであるときは、委任状原本の提出を受け、代理人の住所及び氏名を申請書の申請者欄の下部に記入、押印させること。 エ 裁定申請書の記載内容と犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律施行規則(昭和55年国家公安委員会規則第6号。以下「規則」という。)第16条、第17条又は第18条で規定する添付書類の確認を行い、申請書に不備があつた場合には、申請を受理した上で、申請者に対して十分な教示を行い、相当な期間を定めて申請書の補正を求め、その経過を報告書で明らかにしておくこと。  なお、規則第16条、第17条及び第18条に規定する添付書類の具体的例示は、次のとおりである。 (ア) 規則第16条第3号の書類(事実上婚姻関係と同様にあつた事実を証明する書類) 住民票の写し、犯罪被害者及び申請者の親族、友人、隣人等の申述書等 (イ) 規則第16条第4号の書類(第1順位の遺族であることを証明する書類) 先順位者全員の死亡を明らかにすることができる戸籍の謄本又は抄本等 (ウ) 規則第16条第5号の書類(生計維持関係の事実を証明する書類) 住民票の写し、送金証明、預貯金通帳の写し等 (エ) 規則第16条第7号の書類(申請者以外の生計維持関係の事実を証明する書類)戸籍の謄本又は抄本、住民票の写し、送金証明、預貯金通帳の写し等 (オ) 規則第16条第8号、第17条第5号イ又は第18条第3号の書類(収入の日額を証明する書類) 給与証明書、給与所得の源泉徴収票、所得税の確定申告書の写し等 (カ) 規則第16条第9号、第17条第4号又は第18条第4号(やむを得ない理由を証明する書類) 医師又は歯科医師の診断書、犯罪被害者及び申請者の親族、友人、隣人等の申述書等 (キ) 規則第17条第2号の書類(療養に関する給付を証明する書類) 健康保険証等の保険者が発行する被保険者証 (ク) 規則第17条第3号の書類(被害者負担額を証明する書類) 犯罪被害者が自己負担した医療費に係る領収書等 (ケ) 規則第17条第5号ウ及びエの書類(休業日数を証明する書類) 犯罪被害者が勤労する事業所等が発行する休業証明、出勤簿の写し等 オ 同一の世帯に属する2人以上の者から、同一の犯罪被害について同時に裁定申請書が提出された場合は、規則第23条第1項の定めるところにより、一方の裁定申請書に必要書類を添付すれば足り、添付書類を省略した裁定申請書にはその余白にその旨を記載すること。同条第2項により裁定申請書の添付書類を省略させることができる書類は、次のとおりである。 (ア) 障害給付金又は重傷病給付金の申請をした申請者が、当該犯罪被害を原因として死亡したため、その遺族が遺族給付金の申請を行う場合 申請者が提出すべき書類のうち、既に前の申請者が提出してある添付書類と重複することとなる書類 (イ) 遺族給付金の申請をした者が裁定を受ける前に死亡したため、新たに第1順位遺族となつた者が改めて遺族給付金の申請を行う場合 新たな申請者が提出すべき書類のうち、既に前の申請者が提出してある添付書類と重複することとなる書類 カ 犯罪被害者等給付金の支給を受けることができる犯罪被害者等は、当該犯罪被害の原因となつた犯罪行為が行われた時において日本国籍を有する者又は日本国内に住所を有する者であり、国籍は問わない。 キ 遺族のうち、法第5条第1項第1号の「事実上婚姻関係と同様の事情にあつた」とは、社会通念上、夫婦同様の共同生活と認められる事実があつたものの、法的に有効な婚姻の届出をしていないために法律上は夫婦と認められない場合をいう。したがつて、婚姻の意思がなく、単に同棲していた場合等は、これに当たらない。 ク 法第5条第1項第2号の「犯罪被害者の収入によつて生計を維持していた」とは、専ら又は主として犯罪被害者の収入によつて生計を維持していた場合だけでなく、犯罪被害者の収入によつて生計の一部を維持していた場合も該当する。したがつて、犯罪被害者と当該遺族とが同居し、ともに収入を得ていた場合には、相互に生計維持関係がない場合を除き、当該遺族は、犯罪被害者の収入によつて生計を維持していた場合に該当する。 ケ 第1順位遺族が2人以上ある場合には、その全員が第1順位遺族となる。ただし、給付金の裁定を受ける前に第1順位遺族の全員が死亡した場合には、第2順位遺族が第1順位遺族となる。 (2) 警察署長は、裁定申請書を受理した場合は、電話により警務課長に連絡した後、事務取扱規程第3条第2項及び第3項に規定する措置をとるものとする。 3 調査照会等(第4条関係)  裁定申請書を受理した事案について、警務課長が行う調査、照会要領等について規定した。法第13条第2項に規定する照会は、原則として犯罪被害給付関係事項照会書(第5号様式)により行い、簡単に内容が聴取することができる軽易なものについては、電話等により行うこととした。  なお、申請者等が調査等に協力しない場合は、申請者に対して申請が却下されるおそれがある旨を教示するなどして協力を促すこと。 4 照会に対する措置(第5条関係)  犯罪被害給付制度は、法第10条第1項の規定により申請をしようとする者の住所地を管轄する公安委員会への申請を規定しているため、県内で発生した犯罪被害について、他都道府県公安委員会から照会がなされることが予測されるため、その取扱手続を定めた。  第5条第2項に規定する協議は、既存の資料等によつては回答ができない場合又は事件の内容、調査経過等から検討を要すると認められる場合等に行うものとする。  公安委員会が行う裁定は、本条に基づく回答結果等を踏まえて行われるので、慎重な調査を迅速かつ的確に行つた上で回答するものとする。 5 裁定案等の作成及び公安委員会への提出(第6条関係)  犯罪被害者等給付金は、公安委員会での裁定を経てからでなければ、給付金が支給されないため、その事務処理について定めたものである。 6 仮給付金支給決定案の作成及び本部長への提出(第7条関係)  速やかに裁定を行えない事情がある場合の仮給付金の支給の決定を行う際の事務処理について定めたものである。 7 損害賠償を受けた場合の届出の受理等(第8条関係)  警務課長及び警察署長が、申請者から犯罪被害を原因として損害賠償を受けた旨の書面の提出を受理した場合の取扱手続を定めた。  法第8条第1項の「損害賠償を受けたとき」とは、犯罪被害者等が現実に損害賠償を受けたときのほか、損害賠償請求権を放棄したときも含むものである。犯罪被害による損害を補てんする目的でなされた加害者等からの給付であれば、賠償金、見舞金等の名称のいかんを問わず、損害賠償に当たるので、提出された書面の内容を確認して受理すること。 8 裁定結果の通知等(第9条関係)  公安委員会が、犯罪被害者等給付金を支給し、若しくは支給しない旨の裁定をした場合、裁定申請を却下した場合又は仮給付金の支給決定がなされた場合の措置について必要な事項を定めた。 9 その他(第10条〜第12条関係)  裁定申請事案等に係る警察庁への報告及び審査請求を受けた場合の措置等について必要な事項を定めた。 第3 犯罪被害給付制度において使用する各種書類の様式等について 1 規則で定める様式 (1) 遺族給付金支給裁定申請書(様式第1号) (2) 重傷病給付金支給裁定申請書(様式第2号) (3) 障害給付金支給裁定申請書(様式第3号) (4) 犯罪被害者等給付金支給裁定通知書(様式第4号) (5) 犯罪被害者等給付金支給裁定申請却下通知書(様式第5号) (6) 仮給付金支給決定通知書(様式第6号) (7) 犯罪被害者等給付金・仮給付金支払請求書(様式第7号) 2 事務取扱規程で定める各種書類の様式及び記載要領 (1) 犯罪被害発生報告書(第1号様式)  犯罪被害に該当する事案が発生した際、本部速報のために作成するものである。  作成時期については、遺族給付金対象事件は犯罪被害者が死亡した時、重傷病給付金対象事件は犯罪被害者の治療が加療1月以上及び入院3日以上を経過した時、障害給付金対象事件は犯罪被害者の症状が固定した時である。 (2) 裁定申請受理(送付)簿(第2号様式)  裁定申請書を受理した場合及び警務課長あてに裁定申請書を送付した場合に所要事項を記入し、その取扱状況を明らかにしておくために作成するものである。  受理番号欄は、警察本部の一連番号であるので、第2の2(2)により電話報告を行つた際、聴取して記入すること。  送付年月日欄は、受理した裁定申請書を警務課長に送付した年月日を記入するものとし、添付書類欄には、裁定申請書に添付された書類名を記載すること。 (3) 預り証(第3号様式)  申請者その他の関係人(以下「提出者」という。)から文書その他の物件(以下「文書等」という。)の提出を受けたときに、無用の紛議を起こさないため、その取扱状況を明らかにするため作成するものであり、提出者から求めのある場合に限り交付するものである。 (4) 裁定申請事案処理簿(第4号様式)  裁定申請の受理から裁定結果の通知までの、一連の事務取扱状況を明らかにしておくために作成するものである。  調査・照会欄には、照会月日、照会事項等を記入するほか、提出者から文書等の提出を受けたとき及び当該文書等を提出者に返還したときに、その処理状況を記載すること。 (5) 犯罪被害給付関係事項照会書(第5号様式)及び犯罪被害給付関係事項回答書(第6号様式)  犯罪被害給付関係事項照会書は、他捜査機関等に照会を行う場合に使用するものであり、犯罪被害給付関係事項回答書は、都道府県公安委員会から照会を受けた場合に使用すること。 (6) 審査請求事案発生(終結)報告書(第7号様式)  公安委員会に対する不作為についての審査請求があつた場合又は事案の処理を締結した場合に作成するものである。 第4 運用上の留意事項 1 事務処理に当たつては、制度の趣旨、犯罪被害者等の心情等を考慮して、相手の立場に立つた応援及び迅速かつ的確な事務処理を行い、制度の適正な運用に努めるよう配意すること。 2 照会に基づく調査等を実施する場合には、調査権の濫用にわたることのないよう配意するとともに、申請者その他の関係人の権利を損なうことのないよう十分留意すること。 3 裁定事務に係る資料の保管及び管理を徹底し、個人情報の流失防止に努めること。 附則(平成10年5月1日例規第18号神務発第679号) 附則(平成13年9月10日例規第55号神務発第1360号) 附則(平成18年4月28日例規第35号神務発第897号) 附則(平成20年6月26日例規第32号神務発第1352号) 附則(平成28年3月29日例規第14号神監発第230号)