○神奈川県警察被害者連絡及び被害者支援実施要綱の制定について 平成19年3月30日 例規第17号 神務発第654号 最終改正 平成26年5月14日 例規第26号 神交総発第351号  各所属長あて 本部長  このたび、関係所属における所要の体制を整備し、被害者連絡の徹底を図るとともに、事件事故発生直後の初期の段階から、被害者等の精神的負担や不安の軽減を図るための活動要員を配置するため、別添のとおり神奈川県警察被害者連絡及び被害者支援実施要綱を制定し、平成19年4月1日から施行することとしたので、運用上誤りのないようにされたい。  おって、被害者連絡等実施要綱の制定について(平成8年12月13日 例規第33号、神刑総第895号)は、廃止する。 別添  神奈川県警察被害者連絡及び被害者支援実施要綱 第1 目的  この要綱は、被害者連絡、被害者支援及び被害者訪問の効果的な推進について必要な事項を定めることを目的とする。 第2 用語の意義  この要綱において使用する用語の意義は、次のとおりとする。 1 対象事件  身体犯、重大な交通事故事件及び警察本部長(以下「本部長」という。)又は警察署長、神奈川県警察第二交通機動隊長若しくは神奈川県警察高速道路交通警察隊長(以下「署長等」という。)が必要と認める事件(触法少年事案を含む。)をいう。 2 身体犯  次に掲げる罪に当たる違法な行為をいう。 (1) 殺人罪(刑法(明治40年法律第45号)第199条の罪であり、未遂を含む。) (2) 強盗致死傷罪(刑法第240条の罪であり、未遂を含む。) (3) 強盗強姦罪及び強盗強姦致死罪(刑法第241条の罪であり、未遂を含む。) (4) 強姦(かん)罪(刑法第177条の罪であり、未遂を含む。) (5) 強制わいせつ罪(刑法第176条の罪であり、未遂を含む。) (6) 準強制わいせつ罪及び準強姦罪(刑法第178条の罪であり、未遂を含む。) (7) 集団強姦罪(刑法第178条の2の罪であり、未遂を含む。) (8) 強制わいせつ等致死傷罪(刑法第181条の罪) (9) 未成年者略取及び誘拐罪(刑法第224条の罪であり、未遂を含む。) (10) 営利目的等略取及び誘拐罪(刑法第225条の罪であり、未遂を含む。) (11) 身の代金目的略取及び誘拐罪(刑法第225条の2の罪であり、未遂を含む。) (12) 所在国外移送目的略取及び誘拐罪(刑法第226条の罪であり、未遂を含む。) (13) 人身売買罪(刑法第226条の2の罪であり、未遂を含む。) (14) 逮捕及び監禁罪(刑法第220条の罪) (15) 逮捕等致死傷罪(刑法第221条の罪) (16) 傷害致死罪(刑法第205条の罪) (17) 傷害罪(刑法第204条の罪)のうち、被害者が全治1か月以上の傷害を負ったもの (18) (1)から(17)までの罪以外で、致死傷を結果とする結果的加重犯において、致死の結果が生じたもの又は致傷の結果が生じたもののうち被害者が全治1か月以上の傷害を負ったもの(交通事故事件に係るものを除く。) 3 重大な交通事故事件  次に掲げる交通事故事件をいう。 (1) 死亡ひき逃げ事件  車両等の交通により人が死亡した場合において、道路交通法(昭和35年法律第105号)第72条第1項前段に規定する措置を講じなかった違反に係る事件 (2) ひき逃げ事件  車両等の交通により人が傷害を負った場合において、道路交通法第72条第1項前段に規定する措置を講じなかった違反に係る事件 (3) 交通死亡事故等  (1)及び(2)の事件のほか、車両等の交通による人の死亡があった事故及び人が全治3か月以上の傷害を負った事故 (4) 危険運転致死傷罪に該当する事件  (1)から(3)までの事件又は事故のほか、危険運転致死傷罪(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(平成25年法律第86号)第2条及び第3条の罪)に該当する事件 4 被害者等  犯罪の被害を受けた者又はその保護者若しくは遺族をいう。 5 被害者連絡  被害者等に対する捜査状況等の連絡をいう。 6 被害者支援  対象事件発生直後の初期の段階から被害者等の精神的負担や不安の軽減を図るための活動をいう。 7 支援要員  署長等に指定された警部補以下の階級にある警察官で、被害者支援を行う者をいう。 8 被害者訪問  身体犯の被害者等のうち、第4の1(1)イの規定による確認の際に、地域警察官による訪問を要望した者(以下「被害者訪問対象者」という。)に対して行う訪問をいう。 第3 実施体制 1 被害者連絡 (1) 被害者連絡実施責任者 ア 警察署の捜査(触法少年事案の調査を含む。)を担当する課(以下「事件捜査課」という。)の課長(以下「事件捜査課長」という。)並びに神奈川県警察第二交通機動隊及び神奈川県警察高速道路交通警察隊(以下「交通機動隊等」という。)の捜査を担当する中隊(以下「事件捜査中隊」という。)の中隊長(以下「事件捜査中隊長」という。)を被害者連絡実施責任者とする。 イ 被害者連絡実施責任者は、担当する対象事件の被害者連絡の実施状況を把握し、被害者連絡が確実に行われるように必要な措置を講ずる。 (2) 被害者連絡事務担当者 ア 事件捜査課及び事件捜査中隊に、被害者連絡事務担当者を1人置き、被害者連絡実施責任者が指名する警部補の階級にある警察官をもって充てる。 イ 被害者連絡事務担当者は、所属する課又は中隊が担当する対象事件の被害者連絡の実施状況を整理し、被害者連絡が確実に行われるように(3)に規定する被害者連絡実施担当者を指導するとともに、被害者連絡実施担当者が不在の場合に被害者等からの問い合わせへの対応を行い、その旨を確実に被害者連絡実施担当者に引き継ぐ。 (3) 被害者連絡実施担当者 ア 対象事件の被害者等から事情聴取をした事件担当捜査員(触法少年事案に携わる事務職員を含む。以下同じ。)又は被害者連絡実施責任者が別に指名する者を被害者連絡実施担当者とする。 イ 被害者連絡実施担当者は、捜査状況、被疑者の検挙状況等について被害者等に連絡を行う。 2 被害者支援 (1) 被害者支援推進責任者 ア 副署長及び交通機動隊等の副隊長を被害者支援推進責任者とする。 イ 被害者支援推進責任者は、対象事件が発生した場合に、支援要員のうちから被害者支援を行う者を指名するとともに、被害者支援の実施状況を把握し、被害者支援が確実に行われるように必要な措置を講ずる。 (2) 被害者支援運用責任者 ア 事件捜査課長及び事件捜査中隊長を被害者支援運用責任者とする。 イ 被害者支援運用責任者は、支援要員の運用、支援要員に対する指導教養及び被害者支援関係機関・団体との連絡調整を行う。 (3) 支援要員 ア 署長等は、次の基準に従い、警部補以下の階級にある警察官のうち被害者支援の推進に適していると認める者を支援要員に指定する。 (ア) 警察署 a 地域課(地域第一課、地域第二課及び地域第三課を含む。以下同じ。)を除く各課から1人以上を指定する。 b 地域課にあっては、神奈川県警察地域警察運営規程(平成5年神奈川県警察本部訓令第20号)第2条第12号に規定する本署地域警察幹部(以下「本署地域警察幹部」という。)から1人以上を指定する。 c 交通地域課にあっては、交通係及び地域各係の本署地域警察幹部からそれぞれ1人以上を指定する。 d 神奈川県警察処務規程(昭和44年神奈川県警察本部訓令第3号。以下「処務規程」という。)第28条に規定する当直において、毎日、支援要員を3人以上配置することが可能な人員を指定する。 (イ) 交通機動隊等  各中隊ごとに、2人以上を指定する。 イ 支援要員は、被害者支援運用責任者(警察署の当直においては、処務規程第38条に規定する当直主任(以下「当直主任」という。))の指揮の下に次の任務を行う。 (ア) 事情聴取等における被害者等への付添い (イ) 実況見分、検証時等における被害者等への付添い (ウ) 病院へ行く場合における被害者等への付添い及び被害者等の保護のために必要と認められる事項についての医師との連絡 (エ) 被害者等からの相談、質問、要望、苦情等(以下「相談等」という。)への対応 (オ) 被害者支援関係機関・団体の説明、紹介等 (カ) その他初期的な被害者支援に関する任務 ウ 支援要員による被害者支援は、原則として被疑者の起訴又は不起訴が確定するまで行うものとするが、被疑者が未検挙である場合その他被害者等の実情に応じ、署長等が弾力的に運用する。 3 被害者訪問 (1) 被害者訪問実施責任者 ア 警察署の地域担当次長(地域担当次長が置かれていない警察署にあっては、地域課長(交通地域課長を含む。))を被害者訪問実施責任者とする。 イ 被害者訪問実施責任者は、被害者訪問の実施状況を把握し、被害者訪問が効果的に行われるように必要な措置を講ずる。 (2) 被害者訪問事務担当者 ア 警察署の地域企画係に、被害者訪問事務担当者を1人置き、被害者訪問実施責任者が指名する警部補の階級にある警察官をもって充てる。 イ 被害者訪問事務担当者は、被害者訪問の実施状況を整理するとともに、被害者連絡事務担当者と緊密に連絡し、相互に調整を図る。 (3) 被害者訪問実施担当者 ア 被害者訪問対象者の居住地を受持区とする地域警察官又は被害者訪問実施責任者が別に指名する者を被害者訪問実施担当者とする。 イ 被害者訪問実施担当者は、被害者訪問を地域警察運営規則(昭和44年国家公安委員会規則第5号)第20条に規定する巡回連絡の一環として、被害回復、被害拡大防止等に関する情報の提供、防犯指導等を行うとともに、被害者訪問対象者から警察に対する相談等の聴取を行う。 第4 実施要領 1 被害者連絡  被害者連絡は、被害者連絡実施担当者が、被害者等に対して課(中隊)、係及び氏名を教示した上、被害者等の意向に反しない限りにおいて次のとおり行うものとする。 (1) 対象事件発生時の措置 ア 捜査の初期の段階において、被害者等に被害者の手引を配布した上で、刑事手続及び犯罪被害者等支援のための制度について説明を行う。 イ 事情聴取の際に、被害者訪問の内容を説明し、被害者訪問の実施の要望の有無を確認する。 ウ 事情聴取後速やかに、被害者連絡経過票(第1号様式。以下「連絡経過票」という。)により、被害者連絡実施責任者を経由して署長等に報告した後、連絡経過票を被害者連絡事務担当者に提出する。 エ 被害者連絡事務担当者は、ウの規定により提出された連絡経過票を簿冊に編てつして整理し、保管する。 (2) 被害者連絡実施時の措置 ア 被害者連絡は、状況に応じて面接又は電話により行う。 イ 被害者連絡を行った場合は、その結果を被害者連絡実施結果報告書(第2号様式。以下「実施結果報告書」という。)により、被害者連絡実施責任者を経由して署長等に報告した後、実施結果報告書を被害者連絡事務担当者に提出する。 ウ 被害者連絡事務担当者は、イの規定により実施結果報告書が提出されたときは、当該被害者連絡に係る連絡経過票に被害者連絡を行った旨を記載し、連絡経過票と共に整理し、保管する。 (3) 被害者連絡の内容等 ア 捜査状況の連絡 (ア) 身体犯の場合 a 被害者死亡事件  被害の届出を受理した後、おおむね2か月、6か月及び1年を経過した時点で被疑者の検挙に至っていない場合は、それぞれ捜査に支障のない範囲内での捜査状況の連絡を行い、それ以降被疑者を検挙するまでの間は、原則として少なくとも1年に1度、定期的な連絡を行う。 b 被害者死亡事件以外の身体犯  被害の届出を受理した後、おおむね2か月を経過した時点で被疑者の検挙に至っていない場合は、捜査に支障のない範囲内での捜査状況の連絡を行い、それ以降は、被害者等の意向、事案の内容等を総合的に勘案し、状況に応じて連絡を行う。 (イ) 重大な交通事故事件の場合 a 死亡ひき逃げ事件  事件を認知した後、おおむね2週間、2か月、6か月及び1年を経過した時点で被疑者の検挙に至っていない場合は、それぞれ捜査に支障のない範囲内での捜査状況の連絡を行い、それ以降被疑者を検挙するまでの間は、原則として少なくとも1年に1度、定期的な連絡を行う。 b ひき逃げ事件  事件を認知した後、おおむね2週間を経過した時点で被疑者の検挙に至っていない場合は、捜査に支障のない範囲内での捜査状況の連絡を行い、それ以降は、被害者等の意向、事案の内容等を総合的に勘案し、状況に応じて連絡を行う。 c 交通死亡事故等及び危険運転致死傷罪に該当する事件  事件を認知した後、おおむね1か月を経過した時点で被疑者の送致に至っていない場合は、捜査に支障のない範囲内での捜査状況の連絡を行い、それ以降は、被害者等の意向、事案の内容等を総合的に勘案し、状況に応じて連絡を行う。 (ウ) 本部長又は署長等が必要と認める事件の場合  事件を認知した後、個々の事案に応じて適切な時期に捜査に支障のない範囲内での捜査状況の連絡を行い、それ以降は、被害者等の意向、事案の内容等を総合的に勘案し、状況に応じて連絡を行う。 イ 被疑者の検挙状況の連絡 (ア) 逮捕事件の場合 a 被疑者を逮捕した場合は、逮捕後速やかに、被疑者を検挙した旨及び被疑者の人定その他必要と認められる事項について連絡を行う。ただし、否認事件、いまだ逮捕していない被疑者のいる共犯事件等において、逮捕後速やかに連絡を行うことが捜査に支障を及ぼす場合は、支障がなくなった段階で連絡を行う。 b 被疑者の身柄拘束中に余罪として送致した場合も、aと同様とする。 c 逮捕した被疑者を送致前に釈放した場合は釈放後速やかに、被疑者を釈放した旨及びその理由について連絡を行い、勾留(少年事件の場合の勾留に代わる観護の措置を含む。以下同じ。)が行われなかった場合は釈放後速やかに、その旨について連絡を行う。 (イ) 在宅送致事件の場合 a 被疑者を在宅で送致した場合は、送致後速やかに、被疑者を検挙した旨及び被疑者の人定、事件を送致した検察庁(以下「送致先検察庁」という。)その他必要と認められる事項について連絡を行う。 b 被疑者を逮捕したがその後身柄を釈放し、在宅で送致した場合も、aと同様とする。 (ウ) 少年事件の場合の特例 a 被疑者が少年の場合で、被害者等に被疑少年の人定その他必要と認められる事項を連絡することにより被疑少年の健全育成を害するおそれがあると認められるときは、被疑少年の人定等に代えてその保護者の人定等について連絡を行う。 b 被疑少年又はその保護者の人定等について被害者等に連絡を行った場合は、連絡後速やかに、当該被疑少年の保護者に対してその旨の連絡を行う。 (エ) 触法少年事件の場合 a 14歳未満の少年が対象事件を犯した場合で、少年警察活動規則(平成14年国家公安委員会規則第20号)第22条に規定する児童相談所長への送致又は児童相談所への通告を行ったときは、事後速やかに、その旨及び当該触法少年の保護者の人定その他必要と認められる事項について連絡を行う。 b 触法少年の保護者の人定等について被害者等に連絡を行った場合は、連絡後速やかに、当該触法少年の保護者に対してその旨の連絡を行う。 ウ 逮捕被疑者の処分状況の連絡  逮捕後勾留が行われた事件については、勾留期間終了後速やかに、送致先検察庁、処分結果(起訴、不起訴、処分保留等)、公訴を提起した裁判所(起訴の場合に限る。)その他必要と認められる事項について連絡を行う。ただし、被疑者が少年の場合は、勾留期間終了後速やかに、送致先検察庁及び送致した家庭裁判所について連絡を行う。 (4) 被害者訪問実施責任者への通報 ア 被害者連絡実施責任者は、被害者等が被害者訪問の実施を要望した場合は、連絡経過票の写しを添えて、その旨を被害者訪問実施責任者に通報する。 イ 被害者連絡実施責任者は、被害者訪問対象者に対して被害者連絡を行った場合は、その都度実施結果報告書の写しを被害者訪問実施責任者に引き継ぐ。 ウ 被害者訪問対象者の居住地が他の警察署の管轄区域にあるときは、警察署長は、当該被害者訪問対象者の居住地を管轄する警察署長に連絡経過票の写しを送付し、被害者訪問の実施を依頼する。 (5) 被害者連絡実施上の留意事項 ア 被害者等が、保護対策実施要綱の制定について(平成4年5月28日 例規第64号、神捜四発第514号)第2条に規定する保護対象者である場合は、保護対策実施要綱の制定についてに基づく保護対策との調整を図ること。 イ 被害者等又はその関係者の素行、言動等により、被疑者への報復の可能性が認められるなど、被害者連絡を行うことが適当でないと認められる場合は、被害者連絡を行わないこと。 ウ 被疑者が精神疾患等により刑事責任を問えない場合又はその疑いが強い場合は、可能な限り、当該被疑者の保護者の了承を得た上で被害者連絡を行うこと。 エ 事後の公判維持等のために必要な捜査上の秘密及び関係者のプライバシー等職務上知り得た秘密の保持に十分留意し、被害者等にこれらを漏らすことのないように細心の注意を払うこと。 オ 交通事故事件については、賠償等民事訴訟の関係から、相互の過失責任等については絶対に触れないように留意すること。 カ 神奈川県警察性犯罪捜査員運用要綱の制定について(平成10年5月28日 例規第21号、神捜一発第381号)第2の3に規定する性犯罪捜査員及び神奈川県警察少年警察活動規程(平成9年神奈川県警察本部訓令第20号)第2条第11号に規定する少年相談員(以下「性犯罪捜査員等」という。)が事情聴取をした被害者等への被害者連絡については、性犯罪捜査員等と緊密な連携を図ること。 キ 被害者連絡を行う際は、被害者等に対して、被疑者(触法少年を含む。)及び被疑少年(触法少年を含む。)の保護者等のプライバシーの重要性について説明を行い、後日被疑者等のプライバシーに関する紛議事案が起こることのないように特に配意すること。 ク 少年事件の場合は、少年の健全育成の重要性及び少年法(昭和23年法律第168号)、児童福祉法(昭和22年法律第164号)等の趣旨について説明を行い、特に触法少年事案の場合には、併せて刑法第41条の規定による犯罪の不成立等についても説明を行うなど、少年の健全育成について十分に配意すること。 ケ 警察署において、対象事件が複数の課の主管に係る場合は、関係する課の被害者連絡実施責任者が協議して調整を図り、警察署長の指揮を受けて被害者連絡実施担当者を決定すること。 2 被害者支援  被害者支援は、次のとおり行うものとする。 (1) 対象事件発生時の措置 ア 被害者支援推進責任者は、原則として対象事件の捜査を主管する課又は中隊の支援要員の指定を受けている者のうちから、被害者等の状況を勘案し、被害者支援を行う者を指名する。 イ 当直中において対象事件が発生した場合は、アの規定にかかわらず、警察署にあっては当直主任が、交通機動隊等にあっては当務の中隊長が支援要員の指定を受けている当直員又は当務員のうちから被害者支援を行う者を指名し、当直又は当務終了後に被害者支援推進責任者に報告する。 ウ ア又はイの規定により指名された支援要員は、早期に被害者等と接触し、課(中隊)、係及び氏名を教示した上、被害者支援の申出を行うとともに、事件発生直後の事情聴取等における被害者等への付添いを行う。 エ 支援要員は、被害者支援の実施状況について被害者支援実施結果報告書(第3号様式)により、被害者支援運用責任者を経由して署長等に報告する。 オ 支援要員は、当直又は当務中において被害者支援を行った場合は、警察署にあっては当直主任に、交通機動隊等にあっては当務の中隊長に報告し、当直又は当務終了後に速やかに被害者支援運用責任者を経由して署長等に報告する。 (2) 被害者支援実施時等の措置 ア 支援要員は、被害者支援を継続して行った場合は、その都度被害者支援実施結果報告書(継続用紙)により、被害者支援運用責任者を経由して署長等に報告する。 イ 支援要員は、被害者支援を行わなかった場合、中止した場合又は終了した場合は、被害者支援実施結果報告書にその理由を記載し、被害者支援の経過等と合わせて署長等に報告する。 ウ 被害者支援実施結果報告書は、警察署にあっては警務課住民相談係、神奈川県警察第二交通機動隊にあっては運用班、神奈川県警察高速道路交通警察隊にあっては送致班において整理し、保管する。 3 被害者訪問  被害者訪問は、次のとおり行うものとする。 (1) 被害者訪問実施時の措置 ア 被害者訪問実施責任者は、被害者連絡実施責任者から引継ぎを受けた連絡経過票の写しを被害者訪問実施担当者に示し、被害者訪問を行う上での留意事項等について指導教養する。 イ 被害者訪問実施担当者は、被害者訪問の実施を指示された場合は、速やかに第1回目の被害者訪問を行い、それ以降は、原則として1月に1回程度行う。 ウ 被害者訪問実施担当者は、被害者訪問を行う場合は、当該被害者訪問対象者の被害者連絡実施担当者と連絡を取り、参考となる事項を聴取する。 エ 被害者訪問実施担当者は、被害者訪問を行った場合は、被害者訪問実施結果報告書(第4号様式)により、被害者訪問実施責任者を経由して警察署長に報告する。 オ エの規定により報告を行った被害者訪問実施担当者は、被害者訪問実施結果報告書の写しを作成し、被害者連絡事務担当者に引き継ぐ。 カ 被害者訪問実施結果報告書は、被害者訪問事務担当者が当該被害者訪問に係る連絡経過票の写しとともに整理し、保管する。 キ 被害者訪問を行った結果、地域警察官による訪問を希望しないなどの理由により、被害者訪問対象者とすべきでないことが新たに判明した者については、その理由を被害者訪問実施結果報告書により、被害者訪問実施責任者を経由して警察署長に報告し、その指揮を受けた後、被害者訪問を打ち切る。この場合において、被害者訪問実施担当者は、被害者訪問を打ち切る旨を記載した被害者訪問実施結果報告書の写しを被害者連絡事務担当者に引き継ぐ。 ク 被害者訪問対象者の状況に変化がなく、必要性が薄れた場合は、最初の訪問からおおむね2か月を経過した時点で事後の対応措置を教示するなどした上、可能な限り被害者訪問対象者の同意を得て被害者訪問を打ち切る。 (2) 被害者訪問実施上の留意事項 ア 被害者訪問実施担当者は、連絡経過票の写しに記載された捜査状況の連絡内容、留意事項(民事上のトラブルがある場合、警察との紛議を招くおそれがある場合等)等を十分確認した上で被害者訪問を行うこと。  なお、連絡経過票の写しの取扱いには、十分注意すること。 イ 被害者訪問対象者から捜査内容についての相談等があり、連絡経過票の写しの記載事項又は被害者連絡実施担当者からあらかじめ得た情報では回答できない場合は、被害者訪問実施責任者は、被害者連絡実施責任者にその旨を連絡し、被害者連絡実施担当者に回答させること。 第5 被害者連絡に基づく捜査等  被害者連絡実施責任者は、被害者連絡、被害者支援若しくは被害者訪問の実施の際又は被害者等からの問い合わせの際に、被害者等から得た情報等については、その内容に応じて必要な捜査を実施し、事件捜査に活用するとともに、被害者等からの相談等については迅速に対応し、その結果を可能な限り被害者等に連絡するなど適切な対応に努めるものとする。 第6 連携措置 1 所属内の関係部門間の連携  署長等は、被害者連絡、被害者支援及び被害者訪問が効果的に行われるように所属内の関係部門間の連携を図らせるものとする。 2 関係所属間の連携 (1) 被害者連絡は、原則として被害を認知した警察署又は交通機動隊等(以下「被害認知警察署等」という。)において実施するものとする。この場合において、被害認知警察署等と被疑者を検挙した警察署又は交通機動隊等(以下「被疑者検挙警察署等」という。)が異なる場合は、被害認知警察署等と被疑者検挙警察署等は相互に連携を図り、確実な被害者連絡の実施に努めるものとする。 (2) 被害認知警察署等と被害者訪問対象者の居住地を管轄する警察署が異なる場合は、被害者連絡実施責任者及び被害者訪問実施責任者は、被害者連絡及び被害者訪問が効果的に行われるように連絡を密にし、相互の連携を図るものとする。 3 被害者支援担当部門との連携 (1) 被害者連絡実施責任者は、身体犯の対象事件を認知した場合及び被害者が犯罪被害者等給付金の支給に係る裁定の申請を要望した場合は、警務課住民相談係にその旨を連絡するものとする。 (2) 被害者連絡実施担当者は、警務課住民相談係員と相互の連携を図り、被害者連絡を行うものとする。 第7 検証及び本部報告 1 署長等による検証  署長等は、被害者連絡及び被害者訪問(以下「被害者連絡等」という。)の実施状況を、不断に検証するものとする。 2 被害者連絡等実施状況の本部報告  署長等は、被害者連絡等の実施状況について、被害者連絡等実施結果票(第5号様式)を作成し、対象事件の捜査を主管する警察本部の課長(以下「主管課長」という。)に四半期ごとに送付するものとする。 3 主管課長による検証  主管課長は、署長等から送付された被害者連絡等の実施状況について、対象事件に伴う被害者連絡等が適正に運用されているか検証するとともに、必要な調整を行い、所属する部の庶務担当課長(以下「庶務担当課長」という。)にその状況を通報するものとする。 4 本部長への報告  庶務担当課長は、主管課長から受けた通報の内容を、警務部警務課長(以下「警務課長」という。)を経由して本部長に報告するものとする。 5 支援要員運用状況等の本部報告 (1) 署長等は、支援要員を指定し、又は指定を解除した場合は、支援要員名簿(第6号様式)により、速やかに警務課長を経由して警務部長に報告するものとする。 (2) 署長等は、自所属における支援要員の当月分の運用状況を取りまとめ、支援要員運用状況表(第7号様式)により、翌月の5日までに警務課長を経由して警務部長に報告するものとする。 附則(平成20年4月21日例規第23号神少捜発第163号神少育発第284号) 附則(平成22年3月30日例規第17号神務発第480号) 附則(平成26年5月14日例規第26号神交総発第351号)