○神奈川県警察職員の職務執行についての苦情取扱要綱の制定について (平成13年5月24日例規第42号/神広発第156号/神総発第199号/神務発第1067号) 改正 平成17年3月29日例規第13号神監発第397号神総発第119号神広発第114号神務発第611号神生総発第553号神暴発第375号神交規発第121号神交指発第1756号神駐発第173号神備発第138号 平成27年3月2日例規第6号神広発第88号 平成28年3月29日例規第14号神監発第230号 令和元年6月17日例規第16号神総発第114号 各所属長あて 本部長  このたび、別添のとおり神奈川県警察職員の職務執行についての苦情取扱要綱を制定し、平成13年6月1日から施行することとしたので、次の事項に留意の上、適正な運用に努められたい。 記 第1 制定の趣旨 警察活動における問題点の集約、それに対する必要な措置の実施及び警察職員(以下「職員」という。)の職務執行における責任の明確化が強く求められていることにかんがみ、神奈川県公安委員会(以下「公安委員会」という。)及び神奈川県警察(以下「警察」という。)に対する職員の職務執行についての苦情の適正な取扱いを図るため、要綱を制定するものである。 第2 解釈及び運用上の留意事項 1 趣旨(第1条関係) 「警察職員の職務執行についての苦情」とは、規程第2条第2号に定めるところによるが、その態様は、次のとおりである。 (1) 捜査、交通取締り、告訴告発の取扱い等についての当該事案の日時、場所及び内容並びに被った不利益の内容を個別具体的に摘示する申出は、職員の職務執行についての苦情となる。 (2) 職員の不適切な執務の態様に対する不平不満を個別具体的に摘示する申出は、職員の職務執行についての苦情となる。 (3) 明らかに警察の責務とはいえない事項についての職員の不作為を内容とする苦情又は苦情を申し出ようとする者と直接関係のない者からの一般論として申し出られた苦情、提言、悲憤こう慨等は職員の職務執行についての苦情とならない。 2 苦情申出書の受理及び報告(第5条関係)  (1) 公安委員会への報告 ア 苦情受理担当所属長から公安委員会への報告の手続は、神奈川県警察行政文書管理規程(昭和57年神奈川県警察本部訓令第12号)第20条に規定する文書発送簿により行うこと。この場合において、報告書のあて名は公安委員会とすること。 イ 犯罪の被害者等が、防犯指導、助言その他の措置又は相手方への警告、相手方の検挙等何らかの権限行使を求める相談の中には、職員の職務執行についての苦情が内在している場合があるため、苦情受理担当所属長は、申出の内容を的確に判断し、公安委員会あての職員の職務執行についての苦情に該当すると認められるものにあっては、所要の受理の報告をすること。  (2) 苦情申出書の様式 ア 苦情申出書の様式は、警察法(昭和29年法律第162号。以下「法」という。)第79条及び苦情の申出の手続に関する規則(平成13年国家公安委員会規則第11号。以下「規則」という。)に定められていないが、これは、この苦情申出制度が県民等の利便性等を勘案して柔軟に運用されるべきであるとの趣旨である。したがって、様式のいかんにかかわらず、全体の記載から判断して規則第2条第1項の要件を満たしていると認められるものは、法定苦情として受理すること。 イ 申出者の利便性等を勘案して、申出者に苦情の申出のための用紙の提供を行うこととしたが、当該用紙でなければ受け付けないかのような誤解を生じさせることのないようにすること。 3 苦情申出書作成の援助(第6条関係) 「苦情申出書を作成することが困難であると認める場合」とは、申出者が文書作成に支障を生ずる身体上の障害を有している者、子供、外国人等であって、文書作成が困難と認める場合をいう。 なお、苦情申出書を代書する場合は、第5条第2項に規定する用紙を使用することができるが、その受理に当たっては、警察相談受理票を作成するほか、警察相談措置票にその経過等必要な事項を記載すること。 4 苦情の処理(第7条関係)  (1) 処理経過の連絡 職員の職務執行は、個人の生命、身体及び財産の保護並びに公共の安全及び秩序の維持全般にわたるものであることから、これに対する苦情の態様は様々であり、その処理に要する時間を定めることは困難である。しかし、社会通念上相当と認められる期間内に苦情の処理及び処理結果の通知を行うことは当然であることから、苦情の処理に長い時間を要している場合であって、特に必要と認められるときは、広報県民課長及び苦情関係所属長は、相互に連携して、その処理の経過を申出者に連絡するなどの措置をとること。  (2) 調査及び報告すべき事項 苦情関係所属長は、申出の内容に応じて、おおむね、次の事項について調査し、報告するものとする。 ア 申出のあった苦情に係る事実関係の有無 イ 事実関係が確認できた場合は、苦情の対象となった職務執行の問題点の有無 ウ 問題のあった職務執行について講じた措置 エ その他必要な事項 5 申出者に対する通知(第8条関係)  (1) 通知及び通知義務の解除 ア 第2項各号の趣旨 第2項各号は、申出の受理に係る要件ではなく、公安委員会の処理結果通知義務を解除する要件であることから、苦情受理担当所属長は、法定苦情はすべて受理し、公安委員会に報告すること。例えば、捜査対象者(関係者)が当該捜査の中止を求めるもの等、これまで適法妥当な職務執行に対するいわれなき抗議、けん制として対応していた苦情についても、法定苦情としての申出であれば、必ず受理すること。 イ 第2項各号の解釈 (ア) 第1号は、いわゆる「権利の濫用」に相当する場合を想定したものであり、同一人により同一内容に係る苦情申出が反復してなされた場合であって、客観的事情から合理的に判断して苦情としての実質的要件を欠いているとき、極左暴力集団等が警察権力の弱体化手段であることを標ぼうしつつ苦情申出を行う場合等申出者が警察の事務の適正な遂行を妨害する意図が客観的に明らかである場合に限られる。 (イ) 第2号は、申出者が申出後に転居するなどし、苦情の申出を受けた公安委員会が新たな所在を知り得ないために申出者に通知できない場合等である。 (ウ) 第3号は、複数人が同一内容の苦情について共同で申し出た場合には、規則第2条第2項に基づき苦情申出書に記載された処理結果の通知先である代表者に処理結果を通知することで足りるということである。 ウ 第2項各号が適用される場合の申出者への連絡 公安委員会が、第2項各号のいずれかに該当すると認め、処理結果の通知を行わないとした場合は、公安委員会室の職員は、必要に応じて、申出者に対し「公安委員会が法第79条第2項各号に該当すると認めたため同条第2項の規定により、処理結果の通知は行わない。」旨を連絡すること。 (2) 他の法令等との関係 ア 請願法(昭和22年法律第13号)に基づく請願の場合 法定苦情の申出のうち、請願法に基づく請願に該当する場合は、苦情申出と請願が互いに排斥するものではないことから、同一事項について重複して苦情申出及び請願を行うか、又はいずれかを選択するかについては申出者(請願者)の判断にゆだねられることとなる。 イ 行政不服審査法(平成26年法律第68号)に定める審査請求の場合 行政不服審査法に定める審査請求の対象となる行為等について法定苦情の申出があった場合は、公安委員会室の職員は、次の措置をとること。 (ア) 申出者に対し行政不服審査法に定める審査請求を行うことが可能であることを告知すること。 (イ) 告知後もなお、申出者が苦情申出の制度による処理を求めている場合は、当該申出者が行政不服審査法に定める審査請求を行うか否かを問わず、法定苦情の申出として受理すること。 6 文書による苦情の申出者に対する通知(第15条関係) 警察あての職員の職務執行についての苦情に対し、文書で回答する場合の通知文書の差出人は、原則として、当該苦情文書の名あて人とするが、当該名あて人が所属の職員であるときは、苦情関係所属長を差出人とすること。 7 法定外苦情及び警察あての苦情の申出 前2から5までの解釈は、第2章第2節及び第3章の各条の解釈について準用する。 附則(平成17年3月29日例規第13号神監発第397号神総発第119号神広発第114号神務発第611号神生総発第553号神暴発第375号神交規発第121号神交指発第1756号神駐発第173号神備発第138号) 附則(平成27年3月2日例規第6号神広発第88号) 附則(平成28年3月29日例規第14号神監発第230号) 附則(令和元年6月17日例規第16号神総発第114号) ○神奈川県警察職員の職務執行についての苦情取扱要綱(別添) (平成13年5月24日例規第42号/神広発第156号/神総発第199号/神務発第1067号) 改正 平成17年3月29日例規第13号神監発第397号神総発第119号神広発第114号神務発第611号神生総発第553号神暴発第375号神交規発第121号神交指発第1756号神駐発第173号神備発第138号 平成27年3月2日例規第6号神広発第88号 令和元年6月17日例規第16号神総発第114号 目次 第1章 総則(第1条−第3条) 第2章 公安委員会あての苦情の申出 第1節 法定苦情の申出(第4条−第8条) 第2節 法定外苦情の申出(第9条−第12条) 第3章 警察あての苦情の申出(第13条−第17条) 第4章 雑則(第18条) 附則    第1章 総則  (趣旨) 第1条 この要綱は、警察法(昭和29年法律第162号。以下「法」という。)第79条、苦情の申出の手続に関する規則(平成13年国家公安委員会規則第11号。以下「規則」という。)及び神奈川県警察相談取扱規程(平成13年神奈川県警察本部訓令第14号。以下「規程」という。)第22条に基づき、神奈川県公安委員会(以下「公安委員会」という。)及び神奈川県警察(以下「警察」という。)に申し出られた警察職員(以下「職員」という。)の職務執行についての苦情を適正かつ迅速に処理するために、必要な事項を定めるものとする。  (用語の意義) 第2条 この要綱において使用する用語は、規程において使用する用語の例によるほか、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 (1) 法定苦情 法第79条第1項に規定する公安委員会あて(公安委員会を名あて人とするもの、具体的な公安委員会委員の氏名が記載されているもの又はその態様等から公安委員会あてと認められるものをいう。以下同じ。)に申し出られた文書による職員の職務執行についての苦情をいう。 (2) 法定外苦情 公安委員会あてに申し出られた法定苦情以外の職員の職務執行についての苦情をいう。  (広報県民課長の責務) 第3条 総務部広報県民課長(以下「広報県民課長」という。)は、職員の職務執行についての苦情の処理について掌理する。    第2章 公安委員会あての苦情の申出     第1節 法定苦情の申出  (受理の体制) 第4条 法定苦情は、警察本部(以下「本部」という。)にあっては公安委員会室及び総務部広報県民課において、警察署(以下「署」という。)にあっては警務課において受理するものとする。  (苦情申出書の受理及び報告) 第5条 広報県民課長及び警察署長(以下「苦情受理担当所属長」という。)は、規則第2条第1項の苦情申出書を受理したときは、規程第16条第1項に規定する警察相談受理票(以下「受理票」という。)の写しに当該苦情申出書を添付して、速やかに公安委員会に報告するものとする。 2 苦情受理担当所属長は、法定苦情の申出に対し、その利便性等を勘案して、用紙(第1号様式の苦情申出書をいう。)の提供を行うことができる。  (苦情申出書作成の援助) 第6条 職員は、申出者が苦情申出書を作成することが困難であると認める場合は、当該申出者の口頭による陳述を聴取し、苦情申出書を代書するものとする。この場合において、前条第2項の用紙を使用することができる。 2 前項の規定により、苦情申出書を代書した職員は、申出者に当該苦情申出書を読み聞かせ、又は閲読させた上で、その署名又は押印を求めるとともに、所属、官職及び氏名を記載し、押印するものとする。 3 苦情申出書を代書する職員は、代書するに当たり、通訳その他の者を立ち会わせた場合は、当該苦情申出書にその者の署名又は押印を求めるものとする。 (苦情の処理) 第7条 広報県民課長は、公安委員会が第5条第1項の規定に基づく法定苦情の受理の報告を受けた場合又は公安委員会室において法定苦情を受理した場合における当該苦情の処理について、警察本部長(以下「本部長」という。)の指揮の下に当該苦情に係る職員の所属の長(以下「苦情関係所属長」という。)と連携して、当該苦情に係る事実関係を調査し、必要な措置を講ずるものとする。 2 前項の場合において、苦情関係所属長は、速やかに苦情事案調査報告書(第2号様式)及び法第79条第2項に規定する公安委員会の通知文書の原案を作成し、本部長(広報県民課長経由)に報告するものとする。  (申出者に対する通知) 第8条 広報県民課長は、前条第2項の規定により本部長に報告があった苦情事案調査報告書による調査結果について公安委員会に報告するとともに、通知文書の原案の内容について公安委員会の承認を受けるものとする。 2 公安委員会室の職員は、前項の承認を受けた通知文書の原案に基づき通知文書を作成し、郵送その他の方法により通知する事務を執るものとする。ただし、当該苦情が次の各号のいずれかに該当すると公安委員会が認めたときは、この限りでない。 (1) 申出が警察の事務の適正な遂行を妨げる目的で行われたと認められるとき。 (2) 申出者の所在が不明であるとき。 (3) 申出者が他の者と共同で苦情の申出を行ったと認められる場合において、当該他の者に当該苦情に係る処理の結果を通知したとき。     第2節 法定外苦情の申出  (受理の体制) 第9条 第4条の規定は、法定外苦情の受理体制について準用する。  (苦情の受理) 第10条 苦情受理担当所属長は、法定外苦情を受理したときは、受理票の写しをもって、速やかに公安委員会に報告するものとする。この場合において、当該苦情がファクシミリ、電子メールその他の資料(以下「資料等」という。)を伴ってなされたときは、受理票の写しに資料等を添付して報告するものとする。  (苦情の処理) 第11条 第7条の規定は、法定外苦情の処理について準用する。この場合において、同条中「第5条第1項」とあるのは「前条」と、「法定苦情」とあるのは「法定外苦情」と、「法第79条第2項に規定する公安委員会の通知文書」とあるのは「公安委員会の通知文書」と読み替えるものとする。  (申出者に対する通知) 第12条 広報県民課長は、公安委員会が法定外苦情の処理の結果を申出者に通知するに当たり、本部長の指揮の下に必要な措置を講ずるものとする。 2 公安委員会室の職員は、文書その他適当と認められる方法により、申出者に法定外苦情の処理の結果を通知する事務を執るものとする。ただし、当該苦情が次の各号のいずれかに該当すると公安委員会が認めたときは、この限りでない。 (1) 申出が警察の事務の適正な遂行を妨げる目的で行われたと認められるとき。 (2) 申出者の所在が不明であるとき。 (3) 申出者が他の者と共同で苦情の申出を行ったと認められる場合において、当該他の者に当該苦情に係る処理の結果を通知したとき。 (4) 申出者が通知を求めていないと認められるとき。 (5) 申出者の氏名が明らかでないとき。    第3章 警察あての苦情の申出  (文書による苦情の受理) 第13条 所属長は、警察あて(具体的に職員の氏名が記載されているものを含む。以下同じ。)の文書による職員の職務執行についての苦情を受理したときは、受理票の写しに当該文書を添付して、速やかに本部長(広報県民課長経由)に報告するものとする。ただし、当該苦情が自所属の職員に関連するものであり、かつ、定型的な処理その他迅速な処理が可能なものについては、事実関係を調査し、必要な措置を講じた後、次条第2項の報告と併せて受理の報告を行うことができる。  (文書による苦情の処理) 第14条 広報県民課長は、前条前段の規定により本部長に報告された苦情について、苦情関係所属長と連携して、当該苦情に係る事実関係を調査し、必要な措置を講ずるものとする。 2 前項の場合において、苦情関係所属長は、速やかに苦情事案調査報告書及び通知文書の原案を作成し、本部長(広報県民課長経由)に報告するものとする。  (文書による苦情の申出者に対する通知) 第15条 苦情関係所属長は、本部長の指揮の下に広報県民課長と連携して、苦情の処理結果を申出者に対し文書で通知するものとする。ただし、当該苦情が第12条第2項各号のいずれかに該当すると認めるときは、この限りでない。  (文書によらない苦情の処理) 第16条 前3条の規定は、警察あての文書によらない職員の職務執行についての苦情の受理、処理及び通知の手続について準用する。この場合において、第13条中「写しに当該文書を添付して」とあるのは「写しをもって」と、第14条第2項中「苦情事案調査報告書及び通知文書の原案」とあるのは「苦情事案調査報告書」と、前条中「文書」とあるのは「文書その他適当と認められる方法」と読み替えるものとする。 2 所属長は、前項の苦情を受理した場合において、迅速な処理を要すると認めるときは、前項の規定にかかわらず、職員に当該苦情を速やかに処理させ、その結果を申出者に通知させることができる。この場合、当該苦情を処理した職員に苦情事案調査報告書を作成させ、本部長(広報県民課長経由)に、受理票及び規程第16条第1項に規定する警察相談措置票の写し並びに苦情事案調査報告書により報告するものとする。  (公安委員会への報告) 第17条 広報県民課長は、第13条(前条第1項の規定により準用する場合を含む。)の規定により本部長に報告された苦情について公安委員会に報告するものとする。    第4章 雑則  (規律違反に該当する場合の措置) 第18条 所属長は、この要綱において処理する職員の職務執行についての苦情が、神奈川県警察職員懲戒取扱規程(昭和29年神奈川県本部訓令第14号。以下「懲戒取扱規程」という。)第3条に規定する規律違反に該当すると認められるときは、この要綱の規定により措置するほか、懲戒取扱規程第5条から第6条までの措置を速やかに講ずるものとする。 附則(平成17年3月29日例規第13号神監発第397号神総発第119号神広発第114号神務発第611号神生総発第553号神暴発第375号神交規発第121号神交指発第1756号神駐発第173号神備発第138号) 附則(平成27年3月2日例規第6号神広発第88号) 附則(令和元年6月17日例規第16号神総発第114号) 各号様式については省略する。