サイバー社会で大人が子供たちを守るためにできること 神奈川県警察サイバーセキュリティ対策本部 https://www.police.pref.kanagawa.jp/ 子供のインターネット利用にかかわる問題点 子供のインターネット利用にかかわるリスク要因 ・利用環境によるリスク要因 ・保護者が見守れない、注意できない状況での利用 ・メディアリテラシーの不足 ・インターネット上の情報を咀嚼する能力の不足 ・情報発信者としての自覚・責任の不足 ・社会的能力の不足 ・社会性、人間性、コミュニケーション能力の不足 利用環境に起因するリスク要因 ・見守れない、手助けできない環境 ・危険な情報へのアクセス、危険な者の接近から保護者が守ることが困難 ・無責任な言動で他人を傷付ける、他人に迷惑をかけることを注意できない インターネットとは?? ・インターネットはテレビ、ラジオ、新聞等と同じメディア(情報媒体)です ・インターネットは情報発信ができる「メディア」であるため、「メディアリテラシー」も必要な道具です インターネットのメディア特性 テレビ ・テレビ、ラジオ、新聞などの従来からあるメディアは、テレビ局などの発信者側が責任を持っています パソコン(インターネット) ・インターネットは受信者(利用者)が主体的に選んで情報を受けるため、情報の選択を誤った場合は、受信者の自己責任です ・また、発信者としての責任も発生します ネット上で他人のことを考えず、無責任なことを書き、保護者のみなさんが、子供たちのために持たせたケータイやスマホを「他人を傷つける道具」にしてしまうことがあります 機械の先には「人」がいる ・インターネットは「人」とのコミュニケーションツールであるため、社会性、人間性、コミュニケーション能力が大切な「道具」です 子どものネット・SNS利用にかかわる問題点 子どものネット・SNS利用により生じる問題について ・コミュニケーション上の問題 ・社会性、人間性、コミュニケーション能力の不足からトラブルやネットいじめなどにつながる ・見知らぬ者との接触(コンタクトリスク) ・日常的に利用しているコミュニケーションアプリ等を使い見知らぬ者と接触し犯罪被害につながる ・情報発信にかかわる問題 ・不適切な情報発信によるいわゆる炎上の問題 ・写真、動画の不適切な公開等 ・個人情報、プライバシーに関わる問題 ケース1 ネットの中傷で逮捕 少年(18歳)は、1年以上にわたりSNSに男子高校生(18歳)を中傷する書き込みをし、これに悩んだ男子高校生が自殺し、少年は逮捕された。 バーカ バーカ 学校くるな 来たら殴るから うそうそ 冗談でーす たかがネットの書き込みと思っても、中傷される側の被害者にとっては、自ら命を絶ってしまうような重大な事態に陥ることになります。 刑法:名誉棄損(3年以下の懲役若しくは禁固又は50万円以下の罰金) 平成30年 警察庁リーフレット「ストップ!ネット犯罪」より引用 SNS等での誹謗中傷 ・最近では、芸能人や著名人、スポーツ選手のみならず個人に対するSNS等での誹謗中傷が社会問題となってきています ・インターネットで誹謗中傷することは、思った以上に相手を深く傷つけたり、多くの人に迷惑をかけてしまうこともあるだけでなく、内容によっては名誉毀損や侮辱罪といった犯罪行為になる可能性もあります SNS等での誹謗中傷による慰謝料請求 ・有名人の悪口を再投稿・拡散したら  大嫌いなアイツの悪口だ!どんどん広めてやろう 拡散希望! テレビやネットでの言動が気に入らない有名人の悪口を見つけて再投稿し拡散させたU君。悪口や嫌がらせ投稿はどんどんネットに広まっていき… ・発信者として特定され慰謝料請求  発信者情報開示請求 名誉棄損罪 脅迫罪 業務妨害罪 損害賠償 侮辱罪 謝料請求  たかが再投稿でこんなことになるなんて…  虚偽の投稿内容により名誉を傷つけられたとして、最初の投稿者だけでなく再投稿・拡散したU君も訴えられ、慰謝料などを請求されてしまった。  総務省「インターネットトラブル事例集(2022年版)」より SNS等での誹謗中傷による慰謝料請求 ・いら立ちを覚えたり、自分の中の正義感が高じたりして、過激な投稿で個人攻撃をする人がいます ・こうした加害行為(再投稿(「リグラム」「リポスト」等も含まれる)をしないために注意したいことは? A.誹謗中傷は批判意見ではない ほとんどのSNSには「誹謗中傷禁止」の利用規約があります。 相手の人格を否定する言葉や言い回しは、批判ではなく誹謗中傷。その違いを正しく見極め、安易に投稿・再投稿をしないで。 B.匿名性による気のゆるみ 体面や実名では言えないのに、匿名だと言えたり攻撃性が増したりすることも。たとえ匿名でも、投稿の発信者を特定できる仕組みがあり、民事上・掲示上の責任を問われる可能性が… C.カッとなっても立ち止まって 怒りは人の自然な感情ですが、はけ口にされやすいのがSNS。炎上したり訴えられたりしてから「あんな投稿しなければよかった」と悔やんでも時間は戻せません。書いた勢いで送信しない習慣を! 総務省「インターネットトラブル事例集(2022年版)」より SNS等で誹謗中傷されたら… 攻撃しているのはごく一部だとわかっていても人は傷つきます。まずはできることからやってみましょう その1 ミュートやブロック等で距離を置く とりあえず”見えなくする”設定に よく使われるSNSには、やりとりをコントロールする機能が備わっています。 相手に知られずに投稿を非表示にする機能(ミュート)をうまく活用しましょう。 つながり自体を断つ機能(ブロック)もありますから、深く傷つく前に「見えなくする」ことをお勧めします。 また、返信やコンタクトができる相手を制限できる機能もあります。 それぞれ、名称や操作方法等はサービスやアプリによって異なります。調べて確認しながら使ってみてください。 その2 人権侵害情報の削除を依頼 削除依頼の流れ 0 可能な状況であれば、投稿者に削除してほしいと連絡してみる(無理は禁物) 1 該当する投稿のURLやアドレスを控える 【画面(=スクリーンショット)や動画の保存も重要】 2 「通報」「報告」「お問い合せ」など削除依頼等ができるページやメニューを探す 3 フォームに従って必要な選択・入力を行い漏れがないか内容を確認して、送信 総務省「インターネットトラブル事例集(2022年版)」より ケース2 悩み相談から…誘拐された 女子中学生(14歳)は、SNSで知り合った男に、無料通信アプリで悩みを相談していたところ、「慰めてあげる」等言葉巧みに誘い出され、加害者の自宅に連れ込まれた。 インターネットで知り合った相手と実社会で会うと深刻な被害につながることがあります。インターネットのやりとりだけでは、相手の本当の素性はわかりません。 未成年者誘拐被害 平成30年 警察庁リーフレット「ストップ!ネット犯罪」より引用 インターネット、SNSは犯罪者と被害者を結びつけるコンタクトリスクがあり、それは命にかかわるリスクであることを理解して使う必要があります ケース1 自画撮り被害に注意 女子小学生(9歳)は、SNSで知り合った男と親しくなっていくうちに「服を着替えられる?」等と言葉巧みに誘導され、スマートフォンの無料通信アプリで自分の裸の写真や動画を送信させられた。 かわいいね! みんなもやってるよ 送らないと秘密をばらすぞ! 他人に見られて恥ずかしい写真や画像を送ってはいけません。写真や動画を一度送ってしまうと、回収が困難で、取り返しのつかないことになります。 児童ポルノ製造被害 平成30年 警察庁リーフレット「ストップ!ネット犯罪」より引用 ケース3 男子も被害にあっている 男子小学生(11歳)は、動画投稿サイトに自身が映る動画を投稿していたところ、加害者に目を付けられ、無料通信アプリを通じて、女の子になりすました加害者に自分の裸の写真を送信させられた。 性被害にあっているのは女子だけではありません。男子も注意が必要です。 児童ポルノ製造被害 平成30年 警察庁リーフレット「ストップ!ネット犯罪」より引用 ケース4 交際相手に裸の写真を拡散された 女子中学生(14歳)は、交際相手(15歳)に裸の写真を求められ、「送ってくれないなら別れる」等と追い込まれて自分の裸の写真を送ってしまった。 その後、交際を断ったところ逆恨みされ、インターネット上に自分の裸の写真を拡散されてしまった。 裸の写真を一度送ってしまうと、それをネタに更にひどい被害を受けることになります。どんな理由をつけられても、誰にもそのような写真を送ってはいけません。 児童ポルノ製造・提供被害 平成30年 警察庁リーフレット「ストップ!ネット犯罪」より引用 リベンジポルノの被害を防ぐためには・・・ ・原因となる写真や動画の大多数は「自撮り」など本人が了承して撮影されたものであるため、 ・性的な写真を撮らない、撮らせない ・性的な写真を交際相手等に求めない ・個人情報、プライバシーの適切な管理 ・写真や動画は個人情報の宝庫 ・性的な内容は特にセンシティブな情報 ・安易に写真を撮ることのリスクを理解する 悪ふざけなどの不適切な投稿 ・線路に下りて撮った写真をアップし ウケるかな?映えるかな?  Pさん、Qくん、Rくんの3人は、学校の帰りに制服のまま線路に立ち入り、大はしゃぎで写真を撮影。仲間に見せようと、SNSにアップしました。 ・警察に通報されて学校にも抗議が殺到  あっという間に特定されて学校名や名前が晒され、警察に通報が。鉄道営業法違反等の罪で家裁に送致され、学校には抗議や電話のメッセージが… 総務省「インターネットトラブル事例集(2022年版)」より 悪ふざけなどの不適切な投稿 ・いわゆる、炎上事案はネットに載せたことにも問題がありますが、一番の問題は行ったこと自体です ・イタズラ、ウケ狙い、悪ふざけであっても、度が過ぎれば大きな問題になったり、場合によっては犯罪になってしまうこともあります ・「デジタルタトゥー」と称されるほど、ネットに刻まれた情報は半永久的に残ることを理解し、未来の自分を苦しめないようにしましょう 【参考】SNSへの投稿の拡散 ・「友だち」が間違って拡散させてしまう 故意に拡散させることは SNSの機能では止めることができません!! ・「鍵付き」でも安全ではありません!! インターネット、SNSでの情報発信では、発信する情報を自らコントロールする必要がありますが、得てして情報は一人歩きしがちなものです 一度コントロールを失うと、悲劇的な結末を迎えることもありえます 大人が子どもたちのためにできること 保護者による「ペアレンタル・コントロール」の実施 ・新たな機器を子どもに与える際には、その機器のインターネット機能の有無などを確認 ・子どものインターネット利用状況の問題点(子どものネット遊び場の危険個所)を確認 ・ネット利用に関わるリスクを理解させ、ルールを作り、子どもの成長具合をみて機能制限をする ・約束が守られているか、困っていないかなど、子どものネット利用について見守る ・「見守る」中で問題が見つかった場合には、指導する 保護者による「ペアレンタル・コントロール」の実施 保護者による「ペアレンタル・コントロール」により、子どもさんが「セルフ・コントロール」できるように育てていくことが必要です!! 子供たちには「使い方」を教えるのではなく「正しく使う」心を育む ・使い方を教える、危険性を伝えるのみならず、現実社会と同様に「やって良いこと、悪いこと」を考え、「悪いことをしない」と思う心(規範意識)を育む ・ネット利用者としての自覚を持って、ネット利用者として備えるべき「3つの力」を養っていくことが大切 ・ITリテラシーのみならず、メディアリテラシー、社会的なリテラシーを醸成する ・基礎的なサイバーセキュリティに関する知識も必要!! 周りの大人がてほんになれるか!? 手本になれる学生・生徒達の活用 ・安全・安心で責任あるサイバー市民社会の実現に向け、社会人だけでなく、大学生、高校生、中学生のボランティアが被害防止のための教育活動などで活躍しています 子育ての場としてのサイバー空間の活用 サイバー防犯ボランティア活動への中高校生の参加 サイバー社会で必要な3つの力 判断力(考える力) ネットの情報の正否、危険性の有無、行動の善悪を見極める力が必要 自制力(がまんする力) 興味本位や好奇心、軽い気持ちで行ったことが思わぬ犯罪やトラブルになることがあるため、誘惑に負けない、周りに流されない力が必要 責任力 ネット社会は自己責任が原則、自分の行動に責任が取れる力が必要 「使いこなす」とは?? 子どもたちは、スマホ・ネットを使いこなしていますか!? 「使いこなす」とは、 ・「自分のためになる」 ・「人のためになる」 ・「世の中のためになる」ことができることでは!? インターネットを使う時には 使い方よりも使い道が大切です