中小企業とサイバーセキュリティ 第8回お手軽サイバー防犯対策6「職場の”見回り”できてますか?」  前回は、攻撃者が入りにくい環境を整える「戸締り」の重要性をお伝えしました。しかし近年では、AIが自動で脆弱性を探し出し、それを狙った攻撃コードを生成できるようになり、攻撃が容易になっています。  そのため、「戸締り」だけで防ぐのは困難です。重要なのは、「入られてしまった後に、どれだけ早く気づけるか」であり、そのために必要なのが「見回り」です。  まず必要なのは、ログの確認です。ログは「防犯カメラの映像」のようなもので、誰がいつアクセスしたかが記録されています。  深夜のアクセスやログイン失敗の連続など、普段と違う動きがないかを定期的に確認するだけでも、異常の兆候をつかむことができます。  次に、EDR(Endpoint Detection and Response/端末監視ツール)の導入です。EDRは「社内を巡回する警備員」のような存在で、不審な動きをリアルタイムで検知し、必要に応じて自動で動作を止めてくれます。  さらに、ネットワーク監視も重要です。これは「勝手口にセンサーを置く」イメージで、通常と違う通信量や海外からのアクセス、不審なポートスキャンなどを検知します。異常な通信は、攻撃者が内部を探っているサインかもしれません。  とはいえ、「ログを読むのは難しい」、「EDR導入にはお金がかかる」という声も多くあります。  そこで、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が推奨しているサイバーセキュリティお助け隊サービスの活用が有効です。このサービスは、端末監視やネットワーク監視、異常検知、初動対応まで専門家が担ってくれる“外部の見回り役”です。高額な製品を購入しなくても、現実的な費用で早期発見体制を整えることができます。  すべてを完璧に行うことは難しくても、最低限の見回りを習慣化し、異常に気づける仕組みを整えておくことで、被害をできる限り小さくすることはできるのです。 「戸締り」と同じく、「見回り」も会社を守るための基本です。 ※ この記事は川崎市産業振興財団機関紙「産業情報かわさき(2026年5月号)」に掲載されたコラムを再編集したものです。