特集5 中学生が小学生にサイバー教室 新井中学校(保土ケ谷区) サイバー防犯ボランティア  神奈川県内では約 800 人(2021年4月 現在)のサイバー防犯ボランティアが活動しています。社会人、少年補導員、大学生、高校生、中学生のボランティアが、活動の一つとして、小・ 中学生を対象にサイバー教室を開いています。  今日は、新井中学校のサイバー防犯ボランティアの生徒が、新井小学校でサイバー教室を開くというので、取材させていただきました。  2021年 12月21日 (火曜日) 5校時、新井小学校の体育館に6年生が集まり「サイバー教室」が開かれました。そこには警察の方たちに交じって、2人の中学生がいました。新井中学校サイバー防犯 ボランティアの生徒です。  「サイバー教室」が始まりました。ボランティアの生徒が、スクリーンに映像を映しながら話し始めます。「サイバー犯罪とは、コンピュータやインターネットを悪用する犯罪のことです」「誰もが被害者になることがあるだけでなく、間違って犯罪者になることもあります」 ●インターネットを使うときに大切な力  考える力  がまんする力  思いやる力  悲しませない力 ■新井中学校がサイバー防犯 ボランティアを始めた経緯を、 本田三千年主幹教諭(生徒指導専任)に聞きました。 「2年前になりますが、地域コーディネーターの方からサイバー防犯ボランティアのお話を聞き、生徒会の生徒が『やってみたい』ということで始めました。サイバー教室は、校内の生徒向けに行っていましたが、今年、地元の警察署から『新井小学校でサイバー教室をしてもらえないか』と依頼を受けて、今年のボランティアの生徒に聞いたところ『やりたい』というので引き受けました」 ■新井小学校でサイバー教室を開いた経緯を、坂本久教諭(児童支援専任)に聞きました。 「『SNS を介したトラブルが増えている』とよく報道されているので、本校でも効果的な防犯教室を開きたいと思っていました。地元の警察の方に相談したところ、新井中学校のサイバー防犯ボランティアを紹介してくれました」 ●言葉の行き違いからトラブルにつなが ることがあります。相手がどう思うか 考えてから送信しましょう。  A子「遠足のお菓子を買いにいこ」 B子「どこに行く?」C子「ららぽは?」 D子「わたしも行く!」B子「なんでいくの?」 D子「えっ?だめ?」  B子は「どうやって行くの?」と交通手段を聞 いたつもりでしたが、D子は「あなたは行ってはいけない」と仲間外れにされたと感じてしまいました。文字だけでは、顔が見えないし、声が聞こえないので、伝わらないことがあります。  サイバー教室も半ばを過ぎました。小学生が飽きないように、担任の先生たちが出演するドラマが映し出されました。タイトルは「炎上」。動画投稿によるトラブルを演じています。小学生は、寝てなんかいられません。 ■サイバー教室が終わり、小学生に感想を聞きました。 「年が近いし、卒業生なので親しみやすいし、警察の人が話されるより話がすっと入ってきました。それに、二人を見ていて、私も人に大切な事を教えられる人になりたいなあと思いました」 ■サイバー防犯ボランティアの生徒に、サイバー教室を引き受けた理を聞きました。 「ネットでの誹謗中傷などで自殺してしまう人たちがいます。僕は、そんなことで死んでほしくないので、小学生のうちから考えてほしくて、今日のサイバー教室を引き受けました」 「今年になって1人1台iPadが配られました。使い方が大事になってくると思うので引き受けました」 どこまでもさわやかな中学生でした。 サイバー防犯ボランティア活動については、 神奈川県警察ホームページをご覧ください。 https://www.police.pref.kanagawa.jp/mes/mesd7027.htm 2021 年 12月21日 横浜市立新井小学校(保土ケ谷区)にて 取材/町田 清 (横浜市教育文化研究所所員) 写真/森直実 (横浜市立万騎が原中学校講師)